効果的なトラブルシューティングの鍵:発生時刻の重要性
システムやソフトウェアの運用において、エラーログの解析は重要です。解析にまず必要なのが「発生時刻」、つまりエラーがいつ起きたのかという情報です。この記事では、なぜ発生時刻が重要なのか、どのように取得し利用すべきなのかについて詳しく解説します。
なぜ発生時刻が必要なのか?
ログの分析を容易にする:発生時刻が明確になると、その時刻のログだけに絞って分析することが可能になります。これにより分析の精度が上がり、時間の節約にもなります。ログフォルダごと数か月分のログをサポートエンジニアに送っても、早期に問題が解決することはまず無いでしょう。
関連エラーの特定を助ける:発生時刻を元に、その時刻に発生した他のエラーやイベントとの関連性を探ることが可能になります。これにより、エラーの原因を特定しやすくなります。日常的に出力される軽微なエラーが多いログだと、サポートエンジニアはそのログにもフォーカスせざるを得なくなり、結果時間がかかります。
異なるログ間のコレレーションを作る:複数のアプリケーションを組み合わせたシステムの場合、製品間の処理のつながりを追っていく必要があります。ここであるエラー処理のトランザクションIDが存在しない場合でも、発生時刻を元に異なる製品のログを関連付けることが可能になります。これにより、より広範な視点からエラーの分析が可能となります。
発生時刻の取得方法は?
発生時刻の取得には以下の方法があります。
ユーザからの報告:エラーを発見したユーザから直接、エラーの発生時刻を報告してもらいます。ユーザがエビデンスとしてスクリーンショットやエラーメッセージを提供してくれると、より確実に時刻を特定できます。デスクトップの右下には時刻が表示されていますので、スクリーンショットはデスクトップ全体を取得するとよいでしょう。エラーダイアログもやURLも重要です。
クライアントログの利用:クライアント側のログからエラーの発生時刻を特定します。ログにはエラーが発生した日時が記録されているため、これを利用します。
エラー再現と記録:エラーを再現してその様子を動画に撮影し、発生時刻を記録します。これによりエラー発生の状況を詳細に把握できます。なお、サポートエンジニアは、スナップショットからとても多くの情報を得る能力に特化しています。例えばボタンがグレーアウトしていることに気づき、ウィンドウフォーカスがどこに移ったかを把握したりします。時刻に限らずスクリーンショットは重要です。
重要な点として、OSの時間は常に同期しておく必要があります。クライアントPCもサーバーもです。これはログの解析で発生順序が重要となるためです。クライアントとサーバーで時刻が10分ずれていると、両者のログを比べたときに発生順序が狂ってしまいます。
発生時刻の活用方法は?
発生時刻を活用するためには、以下のポイントを記録しておくと良いです。
エラー開始と終了の時刻:エラーの開始と、解消された時刻を記録します。解消のために何を行ったのかも一緒に記録しましょう。
エラーの繰り返し間隔:エラーが繰り返し発生している場合、その間隔を記録します。(毎日7時に発生。月末に発生)
作業とエラーの関連性:エラーがユーザの作業時間や定期的なバッチ処理と関連している可能性を探ります。
これらの情報を活用すれば、発生時刻をより効果的に利用し、エラーログの解析を効率的に進めることができます。発生時刻の取得・活用方法を理解し、システム運用やベンダへの問い合わせの効率化につなげていきましょう。