フランチャイズ契約書のつくりかた【ロイヤルティは高い方がいい理由】
もしあなたがフランチャイズ契約書をつくることになったらここだけは気をつけよう3
引き続き、フランチャイズ契約書のポイントを厳選してまとめます。今日はロイヤルティの決め方についてです。
ロイヤルティはいくらがいいのか
加盟店からのフランチャイズの対価、「ロイヤルティ」はいくらがいいのでしょう?
これも、フランチャイズ契約で最後まで悩むポイントです。
だいたい、相場を考えたりしながら売上の5%から15%の間かな、・・・などと単純に考えていませんか? あるいはロイヤルティを低く設定すれば、加盟店が加盟しやすいような気がして、できるだけ低い率のパーセンテージを模索していないでしょうか。あまり安易な設定はおすすめしません。ロイヤルティはできるだけ高くしましょう。高いロイヤルティにもかかわらず加盟店があつまるフランチャイズが理想的です。
なぜなら、加盟店が本当に喜ぶのは、ロイヤルティが安いことではなく、結果として利益が上がること、ようするに儲かることなのです。
加盟店が儲かるしくみをつくる
加盟店にとってロイヤルティが高いかどうかは、ロイヤルティを支払ったうえで結果として儲かるかどうかです。加盟店は、ロイヤルティの高さだけでフランチャイズ加盟を決めているわけではなく、仮に売上の50%を持っていかれたとしても、儲かるなら参加したいのです(そういう中長期視点が持てない方はセンスが無いので、むしろ加盟を控えていただいたほうがいいでしょう)。
ビジネスの将来性や、成長市場か、経験がなくても参入できるか、・・・加盟店が重視する点はロイヤルティ以外にあります。逆に、いくらロイヤルティが安くても(というか安いロイヤルティを理由に)本部がなにもしないフランチャイズは、加盟店にとっては最悪なのです。
戦略的ロイヤルティ
そもそもロイヤルティが安すぎてしまうと、本部が加盟店に十分なサポートや教育をすることが実際上無理になります。たとえば月額3万円のロイヤルティで、売上は本人の努力次第でいくらでも上げられますよなどといえば、なんか、いかにも良心的な気がしますよね。
でも、支払うものが少ないということは、サポートもそれなりということにならないでしょうか。ちょっと考えれば、月に3万円で本部が加盟店を本当にバックアップできるかなんて、すぐわかりますよね? 月に1回訪問する程度でも、費用倒れしかねません。良くてメールサポートくらいではないでしょうか。やはりロイヤルティは売上に連動した「売上歩合方式」「売上総利益方式」等のほうがよいでしょう。加盟店の成長が本部の利益にも直結するので、本部のインセンティブになるからです。つまり、確実に加盟店を儲けさせることで、本部に還元されるしくみです。
戦略的に十分なロイヤルティを設定して、それにより加盟店が本当に儲けられるようサポートをしていくことが、フランチャイズシステムの本来の強みだと思います。
フランチャイズによるスピード成長
フランチャイズは、事業を拡大させる点では非常にすぐれたビジネスモデルです。名だたるフランチャイズ企業にしても、最初は個人規模や驚くほど小規模から出発しているのです。なにしろあのマクドナルドだって、最初はミキサーの営業をしていたレイ・クロックさん( Ray Kroc, 1902年10月5日 - 1984年1月14日)が、マクドナルド兄弟とフランチャイズ化の契約をしたのがはじまりです。さらにいえばあのモスバーガーだって、今でこそ世界的企業ですが、もとは櫻田慧さん(1937年1月19日 - 1997年5月24日、60歳没。)という創業者が、1972年に成増につくった、わずか2.8坪(!)という小さなハンバーガー屋さんが出発点なのです。
なぜこんなスピード成長ができるかというと、ひとつのブランドの成功事例を、たくさんの事業体がシェアするしくみだからです。そして加盟店を増やす過程で、本部がまた多くの店舗で成功事例を「集合知」としてたくわえ、それをまた還元していくことでブランドが強くなります。この好循環を起こすために、十分なロイヤルティがむしろ必要なのです。
契約上も重要なロイヤルティの説明
契約上の側面も少し書き加えておくと、たとえば小振法ではロイヤルティの算定方法が法廷開示書面の記載事項とされているほか、公正取引委員会のフランチャイズ・ガイドラインにおいても、ロイヤルティについて具体的な開示が望ましいとされています。もちろん、フランチャイズ契約書でロイヤルティが書いていないなんてことはあり得ませんが、その算定方法と、加盟希望者に十分に説明しきれているかどうかも重要だということです。
契約書で何に気を付ければよいか
ロイヤルティに関しては、このように法的な意味でも重視されますが、シンプルにいうと、加盟店が「こんなに高いと思わなかった」と言い出さないよう、十分に情報を与える必要があります。たとえば算定方法が複雑すぎたり不透明だったりして、加盟店が納得できないとなると、加盟店と訴訟になることもあります。結局、ロイヤルティの計算方法が、①そもそも加盟店にとって合理的か、②本部がちゃんと説明したか、③加盟店に正確に理解されているか、のチェックが必要といえます。
たとえば「売上総利益の5%がロイヤルティです」といわれたら、納得でしょうか? 言葉の上では明確な気がしますが、「売上総利益」の計算式が本部と加盟店とで違うことは十分あり得ます。それだけでロイヤリティ額はズレてきます。
合理性と説明義務と理解度。これらを満たすには、もちろん契約書(フランチャイズ契約書+法定開示書面)の文面が鍵です。必要なら図を描いてでも、わかりやすく説明しなければなりません。
まとめ
・ロイヤルティは「安易に」安くせず、戦略的に検討するべき
・ただしロイヤルティは加盟店にとっても合理的であり、十分に説明されている必要あり(ここは訴訟リスク)
・なので、やはり契約書で具体的に記載するに限ります!
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