個別契約書のつくりかた
たまたま「個別契約書」のつくりかたについてのご質問が続いたので、簡単に解説します。個別契約書は「厳密にこうすべきだ」のような決まった書き方がない(つまり自由な)ため、かえって迷われる方が多いようです。
個別契約/基本契約とは?
すでにご存じの方は読み飛ばしてください。
そもそも「個別契約書」とは、基本契約を締結した場合に、その基本契約の枠組みによって個別的に締結される契約書です。「基本契約」とは、今後連続的、継続的に同種の取引が見込まれる場合に、たとえば契約の種類や契約期間、代金の支払方法などの「大枠」をあらかじめ決め、これらを基本契約にまとめます。そして個々の具体的な発注に関しては、その都度、「個別契約」で締結するわけです。
イメージでいえば、オンラインショッピングで買い物をする際に、たいてい最初に「会員登録」をして、以後の買い物では基本情報の入力の手間を省けるようになっていますよね。あくまでもたとえですが、あの会員登録が「基本契約」で、実際にカートに商品を入れて発注するのが、「個別契約」、のようなものだという言い方ができると思います。
個別契約の方式は自由
「個別契約」をどういう内容にするかや、どのように締結するかは「自由」であり、これについては「基本契約」で定めておくことになります。
つまり、基本契約において「紙の契約書を交わす」ことで個別契約が成立するとしてももちろんいいですし、簡便に「FAXで注文書を送る」ことで成立させてもいいわけです。もっと簡単に「メールで所定の内容を送信」すれば、それで個別契約が成立すると決めることだってできます。
今回はオーソドックスに「個別契約書」を作成することにした場合の説明です。契約の内容が込み入っているとき(具体的な仕様を決めて業務を開始したり、細かい条件を付けたいなど個別契約の内容が詳細である場合)や比較的高額の業務委託取引契約(たとえばソフトウェアの開発のように作業内容や契約金額のボリュームが大きい場合)には、後日の疑義を避けるために、その都度書面で個別契約書を作成して締結することが望ましいです。
個別契約書の基本形
個別契約書の「基本的な型」は、普通の契約書と同じです。タイトルと前文、条文で構成します。タイトルは自由ですが「個別契約書」が良いでしょう。また、前文で個別契約の趣旨を記載します。その後、個別契約の内容を箇条書きにします。契約書のように第〇条・・・としてもいいのですが、それほど長文にならないので、単に項目の番号をふるだけで足りると思います。ただし注意点は、基本契約で定めた「個別契約の内容」とズレないようにすることです。作成前に、基本契約書の個別契約の規定を確認しましょう。
基本スタイルは、以下の通りです。
個別契約書の具体例
以上がざっくりとした基本形の説明ですが、実際にオーソドックスな「個別契約書」を作成したいときのための、もう少し具体的な記載例が以下です。
まとめ
・個別契約は、基本契約書で定めた項目、内容になる(基本契約書をよく確認してから個別契約書を作成します)。
・個別契約は必ずしも契約書でなくても良い(メールなど別の方法で成立することにしてもいい)。
・個別契約書の具体例は、上記のようになる。
以上、少しでも実務の参考になれば幸いです。
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