自然のなかに「ただ、いる」ことの心地よさ
先日、奥さんと大王わさび農場に行ってきたんですが、僕にとってそこは、あまりにも心地よい場所でした。上手く言い表せる言葉が見つからないんだけど、自然の中に「ただ、いる」ということが、自分自身と向き合うきっかけとなり、なんとも言えない心地よい体験になりました。
入ってくるものを受け入れるだけでいい
大王わさび農場では、その名の通り”わさび”を育てているんだけど、わさびの栽培には綺麗な水が必要らしく、ここでは地下から出てくる湧水を使ってわさびを栽培している。
わさびを栽培している田んぼを見て面白いなと感じたのは、お米を育てる田んぼのように水を張ったところで育てるのではなく、田んぼの中を常に水が流れているという点。なんというか、広くて浅い川の中にわさび田があるようなイメージ。
訪れたのはちょうど4月の終わりぐらいで、暖かく、外で過ごすにはうってつけの気候。その日は天気も良くて、わさび田の中に流れる水に日が当たって、水面がきらきらと光っていたのが非常に印象的だった。
あまりにも綺麗すぎて、しばらくぼーっと見てると、水の綺麗さ、光る水面、水の流れる音、わさびの緑、空の色、鳥の声、風の音、風の感触、木々の揺れ動きなど、自然の中にある色んな変化や刺激を感じるようになった。それがなんとも言えない心地良さだった。
普段の生活の中でも、色んな変化・刺激・情報が入ってくる。ただ、多くの場合は、自分の中に入ってきた変化・刺激・情報に対して、何らかの思考・行動・判断が必要とされているように思う。仕事なんか特にそう。だけど、水が流れるわさび田を見ている時は、入ってくる変化や刺激を「ただ受け入れるだけでいい」ように思えた。
水がきれい
水面が光っている
緑がいっぱい
風が吹いている
空が青い
五感を通して得たもの、それをそのままシンプルに受け入れるというのは、こんなにも気持ちいいものなのかと。この感覚があまりにも気持ち良すぎて、出来るだけ長くこの感覚に触れていたかったので、しばらくずっとわさび田を見ていた。
その後もわさび農場の周辺を散歩していたんだけど、自然に囲まれた中をただただ歩くということも本当に気持ちよく、歩きながらも「ただ受け入れるだけ」みたいな状態をずっと続けていた。とにかく、ただただ、気持ちよかった。
あぁ、、言葉で表現する術を学びたい。。
ただ、ここにある
僕はマインドフルネスや禅ってのはやったことがない。けど興味はある。よく言われるのは、両方とも「ただ、ここにある」という状態になることが、一つの重要ポイントらしい。「今この瞬間に、自分が感じていることとともに、素直にそこにある」みたいな。
わさび田を見ていたり、わさび農場の近くで散歩をしている時は、そういう感覚に近かった。目に入るもの、肌に触れるもの、耳に入る音。それら一つ一つを、取りこぼさず、丁寧に自分の中に取り込む。それに対する自分の気持ちを、自分でつぶさに感じとる。
それらの刺激は常に変化しているから、その瞬間瞬間において自分が感じることも変わってくる。なんだかそこには「今」という瞬間が連続しているように思えて、その時に「ただここにある、ってこういうことか」と実感したのを覚えてる。
それと同時に、自分の心が静まり返るような感覚も得た。なんと言うか、平穏や穏やかに近いような気もするけど、それよりももっと「しんと静か」な感じ。自分の気持ちが澄み渡っていくような。
僕の稚拙な表現では、これ以上その時の感覚を上手く形容することはできないけど、僕にとってはこの上なく心地よい体験だったし、なんとも言えない心の充実感や幸せを味わうことができた。
自然の中で自分と向き合う
自然の中にいて「ただ、ここにある」というのは、自分自身の気持ちと向き合うことに繋がるんだなと思った。自分の五感を通して体に入ってきたものに対し、自分がどう感じるのか。きれいなのか、眩しいのか、冷たいのか、暖かいのか。
普段の生活においては「自分がどう感じるか」なんてほとんど考えないと思う。仕事であっても、それ以外であっても、自分が見ているのは「自分の外側」の世界であり、ましてや自分の内面に意識が行くことなんかない。だけどそうやって日々過ごしていると、自分という存在をおざなりしていってると思う。
自分という人間は
何が好きで
何を思い
何を感じ
何を大事にしているのか
別にこういったことに向き合わずとも、今の世の中を生きていくことはできるだろうし、これといった支障も出ないと思う。実際に、今の社会の中で働いて生活している人達の中で、自分自身に向き合うことができる人なんて、それほど多くないと思う。
だけど本当は、こういった自分の内面を大切にして日々過ごしていく、もっと言えば人生を生きていくのが、その人自身の幸せに繋がっていくと思う。何が好きとか、大切かまで行かずとも、今自分が何を通して何を思いどう感じたのかを、自分自身で気付く。
もしそれが、普段の生活から離れた環境の中で、少しでも出来るのであれば、それはとても幸せなことなんじゃないのかなと思う。わさび農場というところで、思いがけずそう言った体験ができた僕は本当に幸運だったし、自分にとって大事なことを思い出すきっかけになった。
今日はこれでおしまい。
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