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どうしたらアメリカで歯科医師として働けるの? 1 -デンタルスクールを卒業する-

みなさん、こんにちは!
お元気でしょうか?

今回から、どうやってアメリカで歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士になるのかについて説明していきます!

まずは第一弾!歯科医師編です!(以下、1$=¥150とします。)

アメリカで歯科医師として働くには

実はアメリカで歯科医師として働くためには複数の方法があります。
また、州によって法律が異なるため、その方法は一律ではありません。
以下に歯科医師として働く方法を列挙していきます。
研究者として働く場合は、また異なる方法があると思いますので、今回はアメリカで臨床歯科医師として働く方法に限定します。

  1. 歯科学校(デンタルスクール)を卒業する

  2. ASPID/IDPプログラムを卒業する

  3. Residency プログラムを卒業する

  4. ファカルティとして働く

  5. LGLに申し込む

どの国でも歯科医師免許を習得したことがない場合、1.の歯科学校を卒業するしか方法がありませんが、外国(日本を含む)で歯科医師免許を習得している場合、主にこの5つが歯科医師として働く一般的な方法になります。

アメリカの歯科医師国家試験(INBDE)は外国の歯科医師の学校を卒業している歯科医師でも受験可能ですが、アメリカで臨床医として働くにはそれに合格するだけでは、不十分です。通常、更にRegionalの試験(実技試験)に合格し、また、州によってはLaw and Ethics(法と倫理)などの試験を合格して初めて免許を申請することができます。

1.歯科学校(デンタルスクール)を卒業する

これは通常最も年月と学費がかかる方法です。なので海外ですでに歯科医師免許を習得しているのであれば、2.以降の方法を取るのが普通です。

高校卒業後、アメリカで歯科医師になるためには通常8年かかります。(1)

なぜ8年もかかるのかといえばデンタルスクールに通うためには、学士号を取得する必要があるからです。

カレッジ

学士号の取得のためには通常4年間大学(カレッジ)に通う必要があり、通常、学生は120単位を取得する必要があります。

ただし、一部の学位ではこの数が高くなることもあるようです。ほとんどの大学(カレッジ)通常、1クラスあたり3単位のシステムを使用しているため、120単位はおおよそ40の科目に相当します。

分野はどれでも構わないようですが、通常は生物科学の専攻を選ぶことが多く、特に化学、物理学、生物学の科目があるとよりよいようです。

DAT(Dental Admission Test)

学士号を取得後、DAT(Dental Admission Test)と呼ばれる試験を受験し、各歯科学校の基準以上の点数をとる必要があります。DATでは1から30までのスコアで採点され、平均で20以上のスコアがあれば、大抵のデンタルスクールに入ることが可能なようです(2)。ただし各デンタルスクールは独自のDTAスコア要件を持っているため、必ず資格要件の調査をすることは必要です。

ただし、DATの結果だけが考慮されるわけではなく、GPA(平均で3.5以上必要なようです)、推薦状などの他の要因も考慮されます。要するに、全て頑張らないとなかなかデンタルスクールに入学するのは難しいようです。

歯科学校(デンタルスクール)

晴れてデンタルスクールに入学することができたら、さらに4年間、歯科医師になるための教育を受けます。

学士号を取得し、DATを受験した後、歯学校に申し込むことができます。
歯学校は4年間で、 無事に終了できれば、DDS(Doctor of Dental Surgery)またはDMD(Doctor of Dental Medicineの学位を取得できます。

2つの違いはほぼありません(2)。卒業した学校によって名前が違うだけです。

通常、デンタルスクールでの最初の2年間は講義が中心で、最後の2年間は臨床設定での実務経験が含まれ、学生は実践的な知識とスキルを磨くことができます。

デンタルスクールの費用については、公立か私立かによっての違いもありますが、大体4年間で$150,000-$353,000(約2250万円-5300万円)ほど必要なようです。

日本では、国立大学であれば6年間で大体350万円(入学金含む)ほどであるため、やはりアメリカで歯科医師になるのは金銭的にはハードルが高いと言えそうです。

試験

日本でもそうですが、デンタルスクールを卒業したらそれで終わりではありません。

歯科医師免許を習得しなければ歯科医師として働くことはできませんので、まずはINBDE(Integrated National Board Dental Examination)という国家試験を受けて合格します。

この試験は昔はNBDEという試験でPart 1とPart2 に分かれていましたが、2020年の8月より、これらが統合されたINBDEになり、一定の移行期間を経て現在では完全にINBDEのみとなりました。(2023年11月現在)

以前のNBDEと比べてより臨床的な問題の割合が増え、すでに外国で歯科医師免許を習得し、臨床経験のある受験者にとっては有利になりました。

すべて選択式の問題で、コンピュータ上で行われる試験です。日本のCBTとほぼ同じです。この試験には実技試験はありません。

実際に受験した身としては、そんなに難しい印象はありませんでした。日本の歯科医師国家試験のように歯科医師を減らすために、ある程度落とさなくてはならない状況とは違って、ちゃんと基本的な知識を身に着けているかどうかの確認テストといった感じで、とてもシンプルな問題がほとんどでした。

ただし、テストで使われている実際の患者さんの口腔内写真がひどいものが多く、何をききたいのかわからないといった状況がしばしば遭遇しました。^^;

テストスコアは49から99のスケールで評価され、スケールスコアが75以上の場合、合格点と見なされます。(4)ただし、実際の点数は公表されません。

無事にINBDEに合格できたら、今度は臨床試験を受けます。

この試験は実技の試験で、実際の患者さんもしくはマネキン上で実際に治療を行い、受験者が基本的な診断、診療技術を有しているかをみる試験です。

コロナの前までは実際の患者さんを連れて来なければなりませんでしたが、コロナ以降、マネキンでの受験も許可され、今ではほとんどの受験生はマネキンを選択しています。

ただし、非公開のデータでは、今でも患者さんを連れてきて試験を受けている受験者はおり、その合格率はマネキンを使った受験者のものより若干高いようです。

臨床試験は、3つの試験機関のいずれかによって実施されます。

1.CDCA-WREB-CITA
2.Central Regional Dental Testing Services (CRDTS)
3.States Resources for Testing and Assessments (SRTA)

免許を取得したい州に合わせて適切な試験を受けて合格する必要があります。また、デラウェアは独自の試験を実施しており、一方、ニューヨークでは1年間のレジデンシープログラムの修了が必要です。(5)

一部の州では、CPRと応急手当の認定や、法律や倫理に関する試験など、追加の免許要件があることがあります。また、背景調査と面接を実施して、仕事に適しているかどうかを確認することもあります。

こうして希望の州の免許取得要件をすべて満たしたら、ようやく免許を取得でき、歯科医師として働くことができます。

ただし、クリニックによって経験年数や、スキル、専門性の有無など追加の条件の提示を求めてくる場合もありますので、自分にあった職場を選ぶ必要があります。

次回は2.のASPID/IDPプログラムを卒業するについて解説していきます!

お楽しみに!!



参考

  1. 歯科医師になるのに何年かかる?(https://www.shemmassianconsulting.com/blog/how-to-become-a-dentist)

  2. DATの要件(https://www.ada.org/en/education/testing/exams/dental-admission-test-dat/dat-scores#:~:text=DAT%20results%20are%20reported%20as,performance%20on%20a%20national%20basis.)

  3. DDSとDMDの違い(https://www.indeed.com/career-advice/career-development/how-to-become-a-dentist)

  4. INBDEの要件(https://www.kaptest.com/inbde/about-the-inbde#:~:text=The%20INBDE%20is%20scored%20on,students%20who%20pass%20the%20examination.)

  5. 州ごとの要件を満たす試験を受ける必要がある(https://www.ada.org/en/resources/licensure/student-licensure)


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