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シーズン終了
大卒1年目、23歳のシーズンが終わった。
サッカーを続けるためにもがき、苦しんでいた半年前。
他大学の選手の内定情報や同じチームの選手の卒業後の社会人での話に焦りを感じていた。周りが次々と未来を切り開いていく中、全く先の見えない何かに向かって走っていた。
大学に入学した時から、4年後にプロの世界に飛び込むことを考えてずっと準備してきたつもりだった。足りなかったと言われれば何も言い返すことはできない。現実がそれを表している。
「プロサッカー選手になれなかったら」
こう考えたことは何度もあった。就職留年も考えた。
けれど今、結果的にサッカーを続けられている。
サッカーする環境を与えてくれたチーム、両親、友人、同志。多くの人の支えがあって今の自分がある。
何より私自身サッカーに対しての熱量が冷めることが全くなかった。
知れば知るほどサッカーは深いスポーツだと思う。未だにサッカーという大きな箱のほんの上澄のところにいるという自覚もある。まだまだ底は深い。
2021シーズン
新潟でのこの半年間は思い通りにいかないことの方が圧倒的に多かった。
怪我を抱えた状態でキャンプインし、合流が遅れ結局シーズンイン直前で復帰することができたが、コンディションが戻らずプレーに精彩を欠くことも少なくなかった。
チームのスタイルへの適応と生活そのものへの適応にも時間がかかり、シーズンを通して闘えたとは到底言えず、チームから求められていた選手にはなれなかった。
それでも新しい環境の刺激は、私に多くのものを与えてくれた。
置かれた環境でどのように振る舞うか。その行動は信念に背いていないか。1人の人間としての器を問われる瞬間がとても多かったように思える。
不遇であっても理不尽であっても、逃げ出すことは決してしなかった。ただ漫然と受け入れるのではなく、覆すために声をあげる。もしくは行動する。そうすることで人間としての権利を主張し続けなれけばならない。
1人のアマチュアサッカー選手として、サッカーを続けていくための権利を主張し、その主張を受け入れてくれる場所を探さなくてはならない。理想に少しでも近づくために。
ただ、タイムリミットがあるのを忘れてはいけない。理想を追い求められる時間は限られている、制限の中でどこまでいけるか、楽しい時間にいつか終わりは来る。
市場価値
ここから私は1つの商品として流通市場に流れることになるだろう。サッカー選手は、己を商品として取り扱い値段を付けてもらう。
この半年間で様々な経験をし、得た知見を活用し自分自身の市場価値を評価してもらう。そうして、身の振り方を決めるのだ。昨年よりも多くの人に観てもらえることになると思うが、チャンスはそう多くないだろう。
チャンスをモノにできなければ、サッカー選手としての生活が終わることもあり得る。
けれど、その世界で生きていることに喜びを感じている。勝負の世界であり、結果が全てだが、運にも左右される。そんな理不尽に溢れたサッカーというスポーツに魅了されてしまっている。
努力は報われるとは限らない。けれど努力しないと報われない。
そんな正解の見えない、不確実な職業に就いております。
最高です。
それでは、また。