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水、空気、苔を使ったプロダクトで伝えたかったこと

7月6日。テクノロジーによりWell-beingの実現を目指す「Aug Lab」の2020年度の共同研究パートナー(We+, Loftwork)との取り組み成果報告会をメディア向けに行いました。

「自然とテクノロジーの関係をもう一度考えてみる」ということで、あんまりメディアには受けしないかなぁとも思っていたのですが、Web媒体を中心にCNET産経MONOist日経クロステックITメディアなどなどで取り上げて頂くことができました。ありがとうございます。

水と空気

We+さんとは、「空間を感じて、自然とつながる」をテーマとした水と空気を鮮明に感じるミストインスタレーション「Waft」。

人感センサーやファンを一切使わず、ミストが空気の微細な流れをダイレクトに捉えることで、周囲の空気の存在や、気流、人の軌跡に思いを馳せることが出来ます。人々が本来持つ自然への細やかな感性を呼び覚まし、自然とのつながりを取り戻すきっかけを提供します。

Loftworkさんとは、「環世界インタフェースプロジェクト」として、動植物をはじめとした生物の環世界の理解を通して、自然物との共生の可能性や豊かな生活を探求することを目指して、2つのプロトを作りました。

「UMOZ」は、コケロボット。本物のコケが植えてあります。湿っている場所が好き、日なたが好きなど植えるコケの特性に合わせて振る舞いのアルゴリズムも個体ごとに少し変えて設計しています。環境の変化に応じて自由に歩き回るUMOZたちの様子を眺めることで、コケの環世界の理解に繋がればと考えています。

「MOSS Interface」は、筐体内の湿度センサーがボディに植えられた本物のコケの湿度を常にセンシングし、その値と連動して照明の明度を変化させます。コケの性質を空間レベルにまで拡張することで、ユーザーが与える水の量とコケの状態、環境条件が影響し合い混ざり合い、ゆらぎのある魅力的な空間をつくります。

コケを使ったプトロタイプはTwitterでプチバズったようです。ネットでバズるのは「洗髪ロボット」以来で、ポジネガ両方のコメントに久しぶりにドキドキしました。笑

「自然とテクノロジーとの関係」について考えて、作って

2019年からやんわりとこのテーマについて考えて始めて、以下の動画のように多くの方とお話しする機会などの中で、すぐに「自然」と「ヒト」、「自然」と「技術」というのは、別に二項対立する存在でもないよなぁ~というところまでは、割りとスグに辿り着いて。

ただし、そこからの思考はあんまり深まらなかったというのが正直なところです。

We+さん、Loftworkさんとのディスカッションやワークショップを何度かさせて貰いながら、環世界の専門家やパナソニックの中の他の部門の方にも協力頂きながら、時に書籍からも刺激を頂き、とにかく今回のプロトタイプができました。

結果、まだよくわからないというのが結論なのですが、初めてWe+さんの事務所でまだ名前も付いていない「Waft」を見たときの「美しい」という感想、そしてloftworkさんとの進捗会議で動画を見せて貰ったときの「こみ上げる笑み」。そんな関係を作っていくのが、理想的な自然と技術との関係なのではないかと思うようなりました。

もちろん、今回の熱海の土砂災害のように人に牙を剥くことも多々あるでしょう。何とも言えない畏怖の念を持つときもあるでしょう。ただし、手つかずの自然はない。なんらかの人の行為や技術が入り込んだ自然と適度な距離感を持ちながら、日常生活の中で非常にプリミティブなレベルで「こころ」を動かしてくる関係を作っておくというのが理想的な関係なような気がします。ある意味、自然はすごい感性拡張を実現する存在です。

コケロボットの印象を聞いてみたときも、そんな小難しいことを考えずに、カワイイと思って貰える人が一定数いたことは良かったなと思います。

あたりまえの存在

今回の共同研究の中で感じたもう一つのこと。

「自然のあたりまえを伝えたい」

なぜか無性に伝えたくなりました。理由はわかりません。

結果的に、We+さんもLoftworkさんも自然のあたりまえを可視化するプロダクトになりました。

We+さんは、身の回りにある空気の動きをミストによって可視化することで、私たちは空気の中で生きている、そして、思ったより空気は動いている

Loftworkさんは、勝手にコケと一括りにするけど、湿気が好きなコケもいれば、乾燥に強いコケもいる。1種類、1種類、全然違う。ダイバシティーって別にヒトだけのものではない。

私自身も高地トレーニングするわけでもなく、普段空気の存在を意識したことはないですし、コケの種類や違いを知らないし、考えてみたことないです。

ヒト側が知ろうが知らまいが、気にせずに当たり前の存在として自然は存在しています。

そんな当たり前を知って欲しい。なぜかそう思いました。

そして、是非、こども達にもそのことを知って欲しい。

私たちは地球という中で、空気という中で生きている、そして、1つ1つ違う生物、1人1人違うヒトに囲まれて生きている。当たり前のことなんですが、改めてそんなことを考えるキッカケとしても今回のプロトタイプは使えるのではないかと思っています。

もし、そのことに気づけたら、少しだけでも地球に優しく、ヒトに優しくできる気がしています。

というわけで、プロトタイプをパナソニックのSTEAM教育施設AkeruEに展示することにしました!!

はい、宣伝です。笑
緊急事態宣言が出たときにどうなるか、最新状況はWebサイトで確認頂きたいのですが、もしタイミング合う方いらっしゃいましたら、是非お子さんと体験頂けると嬉しいです。


では、また来週〜。

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安藤健(@takecando)

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安藤 健/ロボット開発者
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