「一言で言うと?」を問わず、複雑なまま理解する
人の能力・魅力を引き出し、拡張することによりWell-beingを目指すという想いで4月に立ち上げたAug Labもあっという間に半年が経ちました。
まだまだヨチヨチ歩きながらも社内そして社外の多くの皆さんに助けて貰いながら、少しずつモノを作ったり、考えを整理できるようになってきてます。プロジェクトも半年経ったということで社内メンバーでプロトタイプとして作ったものの振り返り会を行いました。どんなプロトを作ったかというのはまた別の機会にして、振り返り会の中で感じた手探りで進めるプロジェクトにおけるマネジメントに対する想いについて書いてみたいと思います。
(自分への戒め的な要素が強く、伝わりにくい内容でしたら、スイマセン!)
Aug Labとは
Aug Labはパナソニックに設置されたラボです。これまでロボットを開発してきた組織を中核メンバーにしながらも、デザイン部門や社外の有識者の多大なる協力を頂きながら推進されています。「Augmentation for well-being」ということを目指していて、今まで自動化が主であったロボット技術の活用を、自己の身体能力・感性を拡張するために使えないかということに挑戦しています。
社外とのコラボも積極的に進めているのですが、もちろん社内のメンバーもWell-beingの実現を目指した研究開発をしています。とは言っても、いわゆる学術的なオリジナリティを追求するような感じではなく、プロトタイピングを通してWell-beingというのがどのように実現できるのか、何が大事なのかというのを身を以てトライしているという感じです。
徐々にプロトタイプの内容自体も共有していくようにします。
どう評価していくか??
かなり手探り状態で進めているプロジェクトとはいえ、10月には上期が終わったということで、社内メンバーで振り返り会を行いました。どんなことも目指して、どんなプロトを作り、どんなことがわかり、どんなことはわからなかったのか、というものをメンバー同士で共有して貰いました。
この中でとにかく一つのことだけはスゴク大事にしました。『体験したときにどう感じたのか?』ということです。この情報だけ知りたかったという想いです。楽しかったでも、ドキドキしたでも、恥ずかしかったでも、何でも良いので第一人称目線でどう感じたのかという想いを言って貰いました。
企業でプロジェクトを進めるという特性上どうしても客観的に考えたくなるのですが、作ったプロトのニーズの重要性でも深さでも、想定される市場規模でも、プロトの完成度でもなく、とにかく感じたことを最重要視します。
理由は単純で、Aug Labというのはヒトの感性にアプローチしようとしている取り組みだからです。感性というものを自分たちがちゃんと理解できていない以上、とにかく自分たちそれぞれの感性を大事にしようと思っています。自分がどう感じたかを起点として、自分で深掘りしていくしかないのです。
一言からこぼれ落ちる体験、失敗
そしてもう一つ。特にロジカルな説明も求めていません。私自身は、ついついいつもの癖で仕事の話を聞いていると、「要は何なのか?」「本質は何なのか?」「一言でいうと何なのか?」と相手の話を理解したがってしまいます。特に議論が長くなったり、複雑になったりすると、その傾向が強くなります。このプロジェクト、特に今の段階では出来るだけそのような思考を排除したいと思っています。
それはヒトは決してそんなにシンプルではないし、一言で表せることばっかりで動いていないと思っているからです。どちらかというと、その一言の裏にある、「でも実は・・・」とか「もしかしたら・・・」みたいなことこそ、人間らしいというか、リアルで重要な情報が潜んでいるのではないかと。「テンション上がった。でもこのプロトでテンション上がっているとはあまり知られたくないと思ってしまう自分がいる」とか。人間の生理的な欲求や欲望というのは、日本人は特にあまり表に出したがりません。一言で表現することは、かえって本質的なところを隠してしまう可能性があります
特にエンジニアは現象を客観的に理解し、「シンプル化、モデル化、数式化し、制御する」ことを生業としているときが多いかと思います。ただし、多様性のあるヒトにアプローチするときには、あまりにも単純にこのプロセスを回してしまうと危険で有り、「一言で言うと何?」は出来るだけ後にして、複雑なことを複雑なまま理解を深めていくことが必要だと感じています。
Aug Labというプロジェクトを進めさせてもらっている立場であるからこそ、「一言で表せないこと」、「一言から漏れ落ちてしまったこと」に積極的に目を配らないといけないというのを学ばせて貰っています。
自戒の意味も込めて、文章にさせて頂きました。
ヒトを理解するということの難しさや大企業でオープンイノベーションを進めることの難しさなども色々と分かってきましたので、別の機会に纏められたらと思います。
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