デザインとマーケティングの違いって何?
素材感やイメージを重視してデザインの核となる部分をプロダクトのアイコン化していくような方法はデザイナーとしては割と馴染みが良いデザインアプローチの方法だと思います。ロジカルに説明しながらも、イメージやインスピレーションを重視したプレゼンをしていきます。自分が使っていて心地が良い体感となるプロトタイプを練り上げて創り出し、エンドユーザーに近いターゲットに使ってもらいながら、形状や機能を整えていきます。ブランド商品であれば、ブランドの世界観・理念を基軸にして、そのブランドにふさわしい商品を産み出していく事になるでしょう。
一方でマーケターはどうでしょうか。今市場で何が売れている!だからこれも売れる!という明快な論理視点から、市場での競合優位を保つ商品コンセプトを打ち出そうとします。競合情報が最も重要な分析対象となるので、売れている商材との比較検討をじっくり時間をかけて吟味します。機能訴求ポイントなども競合から差別化して、価格の妥当性まで検証します。STP分析、4P分析などのマーケティング思考のフレームワークツールを用いながらプレゼンする方法が常套手段だと思います。とにかく早く上市をして商品を市場で検証していきたいと思うでしょう。
僕は今この二つの立場に立ってみると、お互いの領域で考えている事の理解も出来ますし、でもなんだか違和感がぬぐい切れない。そんな気持ち悪い感触にさいなまれることが多くなってきました。デザイナーのモノ作りプロセス思考と、マーケターの市場思考、お互いが上手く融合出来たら新たな独自価値を見出せるのかもしれませんが、なぜか相容れない部分があるのも事実です。僕自身もこのように言語化してみないと、何が原因でモヤモヤしているのかもわかりませんので、書いていきたいと思います。
マーケティング思考は結局のところは、ユーザーの潜在ニーズを浮き堀にして、売れる商品を創りましょう。ということになるかと思います。ニーズアプローチは根本的にはマーケティングの範疇にある気がしています。
「あ、そうそうこんなの欲しかった!」
デザインはより感覚的な世界で、意識的な部分なのかな。使っていて心地が良いとか、ストレスなく使えるとか。
「そうそう、この感じ、いいよね!」
でもこれだと何かが足りていない気がするんです。デザインはWANT商品。マーケターはMUST商品。ちょっと言いすぎかもしれませんね。ちょうどその間にWILL商品みたいなものがあるかもしれないなと思っています。
「私はこれが欲しいの」
というものですね。