【企業分析】アイドマ・ホールディングスの魅力と課題(マザーズ.7373)
こんにちは!子どもがジュラシック・ファイトクラブという番組を見て恐竜研究をしている横で企業の有報を読んでいるたけぼーです。
今日は2021年6月23日にマザーズ上場し、好調に株価続伸しているアイドマ・ホールディングスについて考察していきます。参考資料は、有価証券報告書、決算説明資料、ホームページ、採用サイト、SNSなどです。
アイドマ・ホールディングスとは
まず初めにどんな会社かというと、一言で簡単に言うと「営業支援会社」です。営業支援というとざっくりしていますが、創業時はテレアポ代行から始まり、テストマーケティング→クラウドワーカー活用→営業支援プラットフォームの活用提案と約10年で営業支援の形を進化させてきています。
※写真は瀧本美織さんの同社CMです
追い風
まず、営業職はほとんどすべての企業に欠かせません。新規・既存深耕・toC・toB・インサイドセールス・アカウントエグゼクティブなど色々と種類はありますが、どんな良いプロダクトやサービスがあってもそれを顧客に提案する機会が無ければ売り上げは伸びません。
そして今、以下の理由で営業職にも大きな転換期が来ています。
・人口減少や転職の一般化で優秀な営業職の確保が困難になってきている
・コロナ到来でコミュニケーションの転換期を迎え、顧客接点の在り方が変ってきている
・IT技術やSNS含むオンラインサービスの進化により、ビッグデータの解析やマーケティング手法の重要性が上がってきている
そんな中、顔を突き合わせて信頼を獲得する人情派の営業スタイルや、荷電数や足で稼ぐ営業スタイルが通用しなくなってきています。コロナ禍・アフターコロナを見据えた新たな営業体制の構築や効率化を支援するアイドマ・ホールディングスはそんな時代のニーズをとらえた企業だと言えます。
同社のターゲット
同社は中小企業をターゲットとしています。日本には約358万社の中小企業があり、大企業は1.1万社と事業者のうち99.7%が中小企業です。※令和2年度 小規模企業の動向(経済産業省)
大企業の営業支援ツールはシステムインテグレータに制作を依頼したり、大手向けのパッケージシステムを使っている場合が多いです。一方で中小企業は、営業用のシステムを内製したり大手向けのシステムを使うには組織規模が小さいためコスパが合わず、エクセルや紙のファイルを使っています。
最近だとセールスフォースやMAツールを活用している会社もありますが、導入・運用面でのサポートが足りていなかったり、活用しきれていないケースも少なくありません。また、営業の全工程をカバーできるシステムはあまり無く、複数のシステムを組み合わせて固定費がかかってしまったりする現状があります。
取り巻く環境とマーケットの大きさは十分将来性を感じますねー。
業況
第13期の四半期報告書を見てみると、第三四半期の累計時点で売上141% 経常利益330%と絶好調です。前年の3Q同士の比較では受注者数1.6倍となっています。サブスクリプション型のサービスなのでリピートも順調なのでしょうか。この手のサービスは一度導入し軌道に乗ると、サービス乗り換えの社内体制構築コストが膨大にかかるので当面継続される場合が多いです。セールスフォースもそうですが、他のシステムやデータと連携するため変更負荷が大きいのです。
事業セグメントは単一と記載してありますが、他の資料では主要KPIの推移として自社サービスの「セールス・プラットフォーム」関連で売り上げ比率82%となっています。その他はクラウドワーカー向けの求人サイト11%と「meet in」というWEB会議システムのアカウント利用料7%となっています。成長率としては圧倒的にプラットフォームが伸びています。
お客さんの営業を支援する会社なので、自社の営業活動においても成果を上げているのは安心感ありますね。
採用・組織
採用ホームページを見ると、募集職種はマーケティング支援職と営業職が記載されています。マーケティング支援は東京で、営業職は東京・大阪・福岡と地域拠点も含まれています。
人材紹介会社の求人も含めてみてみると、経理、労務、法務など管理部門を強化しているようです。これはIPOにかかわるコーポレート強化でしょうか。
気になったところとしては、技術系職種の募集が見当たらないところです。私の所感ですが、こういった自社システムを売り込んでいく会社は常に開発を続けて機能を追加したり改善していくことが必須となります。
既に社内リソースとして技術者がいたとしても、成長企業では一般的には優秀なエンジニアは常に門戸を開いていることが多いです。
仮にプロダクトの開発保守は完全に外注だとすると、企画開発力の面は不安材料になり得ます。(外資系企業の日本法人であればほぼ販社なのでよいですが・・・)
加えて、就活系の口コミサイトを見てみると社風としてはイケイケベンチャーの営業会社気質というイメージを持ちます。売れるプロダクトを開発したから、ガンガン売っていこう!という感じですかね。伸び盛りのベンチャーあるあるではあるますが、今後数年スパンで見て組織が拡大してくると、少人数で取れていた統制が効かなくなってくることも考えられるのと、労務面のリスクも若干感じるところではあります。
総評
投資家目線で行きますと、「買い」だと考えます。
但し、高値掴みしないようにタイミングを気を付けることと、数か月スパンくらいで細かく見直していく必要があります。
今後の成長戦略として、上場による資金調達をTVCMなどのマーケティングに投資していくようです。気になるはCMが「ママ・ワークス」というクラウドワーカーのサービスの認知拡大ですが、どちらかというと自分は中小企業の経営者向けのCMで一気にセールス・プラットフォームを拡販したほうがよいのではないかと思ったりします。
また、成長戦略では多角化が謳われていることと、テクノロジー投資の記載があるがベンダー投資では開発コストのコントロールと、サービス理解に懸念がるので内製化したほうがベターかなと。ただそこで問題になるのはエンジニアを社内に迎え入れるための制度や社風で、エンジニアがイケイケの営業組織と同様にはマネジメントできない人種であることが懸念されます。
まとめますと、アイドマ・ホールディングスは1年くらいのスパンでは投資したいものの、さらに組織として跳ねるための課題はまだまだあり、早い段階で手を付けたほうがよさそうということでした。
読んでいただきありがとうございました!
※記載されているすべての内容は、個人の所感です。
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