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スパーズレポ vsチェルシー

 カラバオカップ準決勝1stレグ、トッテナムvsチェルシーのマッチレポートです。
 前半26分にケインのPKで先制し、そのゴールを守り抜いて1-0で勝利しました。しかし、試合を通して主導権を握られ、逆転されてもおかしくない内容でした。前回対戦の敗戦もあり、チェルシーはかなり研究してこの試合に臨んできたのではないかと思います。

<試合結果>
トッテナム 1 vs 0 チェルシー
26分 ケイン

<試合運び>
①ビルドアップ
 チェルシーは攻撃的プレッシング。GKやCBには積極的にプレスを欠けに来ないが、SBへボールが渡ったときのプレスともらいにいく中盤のマークはかなりタイトでした。スパーズはCB間でボールを回して様子を見ながら、最終ラインから裏へのロングボールとショートパスでの前進を使い分けました。
 SBから裏へのロングボールはCBからボールを受けたSBが1タッチで前を向き、2タッチで素早く縦にボールを送るという形がよく見られます。特にトリッピアーはこのプレーをよく行います。W杯でもこの形からチャンスを作り出していました。この試合ではソンフンミンが抜け出しを試みていましたが、チャンスに繋がるシーンはありませんでした。そのかわりにトビーからのロングボールにオンサイドギリギリで反応したケインが抜け出してPKを獲得し、先制することに成功しました。
 ショートパスでのビルドアップは、ボールを受けたSBがダイレクトで中盤に渡し、そこから狭いスペースでつないで前進する形が見られます。チェルシーのオーバーロードに少し似ています。この形での前進は、中盤に前を向く余裕があれば成功することが多く、成功すれば一気にチャンスを作れますが、この試合相手も中盤にボールが入るところで潰すことを試みており、危なっかしいシーンが見られました。

 ショートパスでの前進でうまくいったのは、チェルシーの寄せが少し遅れたとき、又は片方のサイドでボールをまわしてからサイドチェンジに成功したときでした。また、うまくいくときのビルドアップは大抵アリかエリクセンが絡んでいるように思います。

②ポジショナルな攻撃
 この試合では、アタッキングサードでボールを保持するシーンはほとんど見られませんでした。理由としては、チェルシーが最終ラインをかなり高めに設定していて、スパーズは前進後裏へのボールを狙いにいきましたが、そのほとんどを相手CB(特にリュディガー)に潰されてしまったことによるものだと考えます。

③ネガティブトランジション
 この試合ではネガトラを成功させる場面もありましたが、いつもよりはうまくいってなかったと思います。チェルシーは早めにサイドチェンジを行うことでスパーズのゲーゲンプレスを回避しにきました。

 この試合、左サイドのバークリーがサイドチェンジを成功させる場面が数多くありました。バークリーへのマークはウィンクスが担当していましたが、サイドチェンジを許した動画のシーンは二つとも激しく付くことができていないように思います。ゲーゲンプレスは展開されて突破されると一気にピンチになってしまうので、最悪ファウルで止めるくらいの気持ちで激しくマークに付くべきではないかと思いました。

④プレッシング


 内容的にはネガトラと被るところがあります。プレッシングも今回はそれほどうまくはめることができませんでした。スパーズは前回対戦したときと同様、アリ(たまにソン)がジョルジーニョに対してマンマークで付きました。これに対してチェルシーは無理に縦を狙わずサイドチェンジを多用して空いたスペースから前進してきました。

ここでもバークリーのサイドチェンジは利いており、一本のパスでプレスをかわされてしまいました。また、動画にはありませんが下りて来たアザールに突破を許すシーンもあり、前回の対戦よりインテンシティの高いプレーはできてなかったのではないでしょうか。(ダイアーの不在も関係しているとはおもいます。)

⑤組織的守備
スパーズは前後半かなりの時間押し込まれました。その理由としてはやはりネガトラとプレッシングがうまく機能しなかったことが挙げられます。
チェルシーはポジショナルな攻撃においてもサイドチェンジを用い幅のある攻撃を仕掛けてきました。CFのアザールは常にボールサイドに顔を出して崩しに参加してきました。スパーズは、前にソニーとケインを残して中盤にアリを配置し、残りの7人で4-3のブロックを作って対応しました。スパーズの両SBは絞り気味で中央のスペースを埋めることを優先しました。相手のSBが上がって来たときも大外のスペースは明け渡し、ボールが入ってからプレスにいきました。アザールの独力でミドルを撃ってくるシーンも見られましたが、バイタルを経由してから逆サイドに展開されるとスライドが間に合わずピンチになるシーンが多く見られました。

スパーズは後半65分頃からエリクセンとアリのポジションを変えます。よりインテンシティの高いアリを下げて守備の強化を図った変更だと思います。また、前線からの攻撃的プレッシングを止め、2トップはボールサイドのSBにプレッシャーにいけるポジショニングをとりました。それに対してチェルシーは、CBにボールを保持する余裕が生まれたことを活かして、リュディガーから両ワイドに直接ロングボールを通すことを狙い、そこからチャンスをつくられてしまいました。

スパーズは試合を通してジョルジーニョを自由にさせないことを優先した守備を行いましたがそれでも相手の前進を止めることはできませんでした。ジョルジーニョを経由せずに前進する相手に対して最後まで有効な策を見出せなかった印象です。

⑥ポジディブトランジション
 ポジトラを制してロングカウンターに繫げるのはスパーズの得点パターンのひとつです。奪うもしくは跳ね返したボールを中盤を経由してすぐさま前線に供給します。今回もそのようなシーンが見られました。

 しかし、ロングカウンターをフィニッシュまでもっていけたのはごく僅かでした。相手のラインが高めであるため、中盤で受けたアリはDFラインの裏へ通すことを最優先に考えていたと思います(受けるFW側も同様)が、相手CBのリュディガーにうまく対応されてなかなかマイボールにできませんでした。逆にケインがポストプレーの役割をした動画の最後のシーンはフィニッシュまでもっていくことに成功しています。2つのパターンがあることで相手守備の対応を遅らせることができる効果的な攻撃の形だと感じました。

⑦スローイン(攻撃側)
 この試合自陣でのスローインもハーフェーライン付近でのスローインもほぼ相手ボールになってしまいました。特に印象的だったのが左サイド自陣深くでのスローインです。ローズは3本とも縦へのロングスローを選択しましたが、すべて相手に拾われてしまいました。自陣でのスローインからボールを奪われると失点に繋がることもあるので、改善策を見つけてほしいと思います。

<感想>
 個人的には1点リードの状況で第1プレッシャーラインを3枚に設定するのは少し疑問でした。リヴァプールが行うような4-5-1のブロック、ジョルジーニョをケアするのに一人使い4-4-1-1のシステムに変更するなどの策は講じないのかと感じました。
 だらだらと押し込まれたことばかり書いてしまいましたが、なによりホームで先勝できて嬉しいです。2ndレグも難しい試合になると思いますが、ポチェがどのような策で挑むのか非常に楽しみです。


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