コンサマトリーとインストルメンタル
『理想的な仕事との向き合い方』とは?
私はこれまで仕事とどう向きあってきただろうか。お金を稼ぐための手段か?それとも、仕事自体が報酬となるような、何かやっていて楽しいものか?新卒で証券会社に入社した時。あのときは、「年収1,000万稼ぎたい」とか「同期よりも優秀でいたい」とかがモチベーションだったと思う。これは、仕事を目的を達成するための手段と見なしている。こういう仕事との向き合い方を“インストルメンタル”と言うらしい。
3年で退職し、その後は米系の運用会社へ転職した。よって大学の頃から憧れていた「外資系」に勤めるサラリーマンになった。なぜ外資系に憧れていたかというと、「高収入」「エリート」といったイメージがあったから。そして、自分の力が通用するかチャレンジがしたかったから。ステップアップしたよう思っていたが、モチベーションの源は変わらない。要するに、仕事を目標達成のための手段とみなす、インストルメンタルな働き方。
でもこの仕事を続けるうちに、仕事に没頭して時間を忘れる、いわゆる”ゾーン”に入るような感覚を味わうことができるようになってきた。そして、周りの人から自分の仕事を褒められるととても嬉しく感じ、仕事が楽しいと思えるようになった。この頃くらいから「年収1,000万稼ぎたい」とか「周りより優秀と思われたい」とか思わなくなってきた。なぜなら多分、仕事自体が楽しくて、仕事して周りに褒めてもらえることが報酬と感じるようになったからかもしれない。これは社会人5~6年目の頃だったと思うが、今になって振り返ると大きな変化があった時期だったと思う。こういう仕事の向き合い方を“コンサマトリー”と言うらしい。充足的とか、そんな意味。
インストルメンタルからコンサマトリーに変化してから、人生の充実度も上がったように思う。もう長いこと、日曜日の夜になると憂鬱な気分になる、いわゆる「サザエさん症候群」が押し寄せてくることもない。休みの日には、早く仕事したい、と思うこともしばしば。そんな仕事でそこそこお給料も頂いているのだから、もしかしたら自分は恵まれているのかもしれない。
コンサマトリーに転換するためには、①過程のすべての段階に明確な課題がある、②行動に対する即座のフィードバックがある、③挑戦と能力が釣り合っている、などの条件が必要らしい。これらを意識することで、もっと幅広い仕事に対してコンサマトリーに向き合えそうであるし、普段から意識していきたいと思う。