ソリッドビジョン実現への道【遊戯王Advent Calendar 10日目】
この記事は刺身さん主催の遊戯王Advent Calendarの企画記事になります。詳細はリンクにて。
こんにちは、Reoと申します。
まずは自己紹介から。YARDS(Yu-Gi-Oh! AR Dueling System) という、ARの技術を使って、アニメのような演出を再現しながら決闘できる非公認のシステムを個人で開発しています。また、各地のオフ会主催者様へご協力いただきながら、そのシステムの体験会を行っている者です。
当システムの動きや実際の対戦風景は、ぜひとも下記やTwitterのハッシュタグ #DuelOnYARDSからご覧ください。
今回このような素晴らしい企画の枠をいただいてお話しするのは、
決闘者なら誰しも夢見る
ソリッドビジョンシステムが、
現代の技術でどこまで実現できるものなのか。
実現できるとなった場合、
YARDSがどこまで関わりを持てるのか。
といったことを、主に技術的な側面から書き連ねていきたいと思います。技術・作文ともに稚拙ではありますが、どうぞお付き合いください。
目次
・空間投影を行うには
・ホログラフィ
・立体的に表示する工夫
・一番ソリッドビジョンに近い技術はこれ!
・YARDSとそれらの技術との関わり
空間投影を行うには
まず一番最初に断りを入れておきたいのが、ソリッドビジョンという言葉の定義についてです。
アニメの遊戯王は来る2020年春でついに6作目(の予定)となります。これまでの作品の中で、ソリッドビジョンの在り方は様々でしたが、その中でも原作ベースのDMを中心に考え、「裸眼で視認できる」ものをベースとします。そのため、Dゲイザーを着用したり、VR空間に Into the VRAINS したりすることは考慮せずに進めていきます。
なお、これは同時にYARDSの開発方針に従うことにもなります。やっぱり今持ってる思い入れのあるカードでやりたいですからね。
ホログラフィ
さて、上記の視点で考えると、ソリッドビジョンは「肉眼で」「フルカラーの」「3D映像を」「立体的に」視認させる技術です。もっと掘り下げると「投影空間内にいる人 (決闘者)からも視認」できる必要があります。概ね、後ろになればなるほど難しい技術となります。
前3つだけであれば、既に3DSなどにも搭載されている3Dディスプレイが存在します。また、遊戯王カードにもレアリティであったり、全てのカードの右下に存在するホログラフィがあります。
ホログラフィは狭義には3次元映像を2次元に保存・表示する技術ですが、ここ最近では、ホログラフィで動画を写す試みがなされているそうです。いずれホログラフィックディスプレイなるものも登場するかも?
立体的に表示する工夫
上記はあくまで平面への表示でしたが、立体への表示となるととたんに難しくなります。研究レベルでもこれを完璧にできているものはかなり少ないですが、特定の条件の下で達成しているものもあります。
現在のところ、ミラーやガラスなどを巧みに利用して投影するものは、簡単なものであればショッピングモールや駅などで広告用途において見られるようになりました。
しかし、これは (とても精巧に実物と融合させて作ってあるものの) あくまで平面映像を斜めに取り付けたミラーで反射させ、任意の空間上に見せているだけなので、厳密には3D映像の表示ではありません。
また、この空間内に人間が入ったところで、その人にはその映像は見えません。これでは残念ながら、ソリッドビジョンの実現には至りません。
一方で、原作遊戯王を知っている人からすると親近感の湧く?こんなものも存在します。
これは上のパターンの応用で、上部のプロジェクターの映像を中央のミラーの回転と同期させながら変えることで、擬似的に周囲360度どこからでも3D映像が視認できるというものです。
これ、どこかで見覚えがありませんか?
そうです、カップ焼きそばとも名高い(?)プロトタイプ版デュエルディスクです。アニメのようなサイズ感――とはなかなかいきませんが、それでも実現性で言えば一番近いのかな、と思っています。
これを当時の技術から予測して考えていた高橋和希さん本当凄い。
一番ソリッドビジョンに近い技術はこれ!
他にも霧の指向性を利用したフォグディスプレイや複数のカメラ・プロジェクターを用いたリアルな映像など様々なものがありますが、個人的に今一番ソリッドビジョンに近い技術は、こちらです。
こちらはレーザーをプラズマ発光させ、毎秒1000ドットの点描を行うことで、実際に3次元の映像を投影させる技術です。これは紛いもない3次元の投影なので、投影空間内部からでもどこからでも視認することができます。
……ただし、生きていればの話ですが(笑)
というのも、プラズマという状態を作り出すには、とても高い温度にしなければなりません。具体的には、原子とその周りを回る電子が分解されてしまうくらいの高温です。レーザーの特性 (波長や指向性) にも依りますが、少なくともレーザー光線の当たるところにいくと焼き焦げてしまうでしょう。
その危険性をなるべく少なくした研究も既に行われています。
詳しくは4Gamerさんの記事を参照してほしいのですが、設定次第では少し触るくらいであれば、目に見えないような僅かな傷で済むようなものも研究開発されているようです。
リアルソリッドビジョンには程遠いですが、これらの研究が進めば、デュエルディスクから飛び出していたような4箇所からの3次元投影で、アニメや原作のような決闘が体験できる日が来るかもしれません。
YARDSとそれらの技術との関わり
上記に挙げたのはまだ研究レベルの話が多く、僕たち一般人が目にする機会はかなり先か、ディズニーやUSJのようなアトラクション施設で一部目にするに留まるかもしれません。しかし、皆さんが想像しているよりもう目の前に来ているんだなという事実を今回は知っていただきたくてご紹介しました。
一方で、YARDSにソリッドビジョンが取り入れられたら、というお話はオフ会などでよくいただくのですが、YARDSはソリッドビジョンはやりません!
……というのも、一度妄想したことがある方は分かるかもしれませんが、もし仮に3D投影技術が実現したとして、膨大な3Dデータは誰が用意するんだというお話が次に待っています。MMDなどで活躍されている有志モデラーさん等と協力できれば一部実現できるかもしれませんが、それでも完全網羅は難しく、つい最近10000種を突破したカードのデータを用意するのは難しいと思っています。
YARDSはあくまで演出装置として割り切り、Project code Neuron を始動させたKONAMI公式さんとの共同作業で実現できたら良いなーなんて妄想だけしておきます。KONAMIさん、お声掛けお待ちしてます(笑)
YARDSはそれ以外の部分、主に先日投票していただいた「デュエルディスクっぽさを追求する」ところに重きを置いてアップデートしていきます。そちらの進展も長い目でお待ちいただければと思います。
そんなこんなで長くなりましたが、以上とさせていただきます。
お付き合いありがとうございました。
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