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JC論:日本青年会議所の議長・委員長
多くのLOMと同じように、日本青年会議所にも本会、地区協議会、ブロック協議会にも議長・委員長がいます。ただし、LOMの議長・委員長とは少し異なる所があります。成功する議長・委員長になるためにはこの点を理解する必要があります。
期間が短い
通常LOMであれば、予定者期間があり、活動は年度の後半まで続きます。しかし、日本青年会議所の議長・委員長はせいぜい7月のサマーコンファレンス、協議会でも次年度発表ぐらいまでしか活動できません。しかも、スタッフやメンバーとそうそう会える機会はありません。青年会議所は元々1年という短期間なのに、日本青年会議所の議長・委員長には6か月ぐらいしか活動期間がないということになります。
この短期間で、長期のインパクトを残すことが求められているので、自己成長という言葉に浸っている時間はありません。ピンポイントで運動を構築し、結果を残す必要があります。組織も毎年全部かわるので、○○を5年やり続けたら効果が出るなんていう手法は使えません。1年で結果を出せるようにしなければならないのです。
正直な話、本会の議長・委員長であれば1月の京都会議の時点で成果が出るか出ないかは8割がた決まっています。1月の京都会議で何をどうやるかよくわからない会議・委員会が成功することはありません。
組織を自分で作る必要がある
通常のLOMでは、議長・委員長が委員会のスタッフやメンバーの構成を自分で決められる幅は狭いと思います。しかし、日本青年会議所の議長・委員長の場合は、スタッフやメンバーもすべて出向者であり、自分で集める必要があります。ある程度出向になれたLOMでは、多くの出向者を出してくれたり、バーターで集めたりしてくれる場合もありますが、基本は自分で集める必要があります。
しかし、先に述べたように期間はほとんどありません。副委員長や幹事などをできるだけ素早く集め、事業を実施できるだけのメンバーをどれほど集めることができるのか、これが非常に重要です。そして、集められる期間も限られています。ひとたびスタッフやメンバー集めに失敗すれば、もう取り返しはつきません。その時点で勝負は決まっています。
しかも、出向してくるスタッフやメンバーのモチベーションは様々です。単に名前を貸しているだけ、といったメンバーも少なくありません。何としてもできるだけ早くスタッフを集め、予定者中に活動的なメンバーを一人でも多く獲得する努力が求められます。
エリアが広い
LOMと違って日本青年会議所の場合、本会は言うまでもなく、協議会のエリアも相当広いものになります。そんな中で、スタッフと仲良くなったり、メンバーを集めたりするのは容易ではありません。オンライン会議やSNSにより連絡はしやすくなりましたが、人間関係を作るのは至難の業です。
そして、運動の対象となる対象者も膨大なものとなりますから、対象者のカバー率を稼ぐことのできない、いくつかの手法は無意味です。例えばLOMであれば、教育プログラムを作って市内の小学校の5年生全員に出前事業を行うことは、不可能ではありません。しかし、日本青年会議所の場合、協議会であっても子供たちの○○を育成する、という目的で出前事業という方法を使うのは不可能です。会議で、「日本に小学五年生が何人いるか考えてから、手法を選択してください」という意見をもらうことになります。
広いエリアで社会にインパクトを与えるためには、事業の中身だけではなく、広報もとても大事です。担当する運動の広報の責任者は、広報担当委員会や広報担当者ではありません、議長・委員長です。どんなにいいことをしても、対象エリアの人々やLOMに広まらなければ無意味なのです。
30年後のために、いまやろう
私の父は70を過ぎますが、かつて日本青年会議所の委員会に副委員長で出向していた仲間と30年以上同窓会をしています。委員会は1年だけであり、せいぜい月に1回しか会っていないでしょうから、委員会が終わってから会った回数の方が断然多いということになります。他のどの組織でそんなことが起こるでしょうか?しかも、未だに会うたびにその時の成果が政治に影響を与えた、という話をしています。スケールの大きさとつながりの深さに驚愕します。
20代、30代のひとときを、日頃考えもしないスケールの大きな話に、広いエリアの仲間とともに取り組んでインパクトを残し、30年後も付き合える仲間となる、そんな体験が日本青年会議所の会議・委員会にはあるのです。