見出し画像

JC論:青年会議所の年会費は高い?安い?

青年会議所の年会費はLOMによって異なりますが、大体15万円ぐらいが中央値ではないでしょうか、月1万3千円程度ですね。さて、この金額は高いでしょうか?安いでしょうか?

学習の機会として考えると?

中学生の年間の平均学習塾費用が公立で20万円、私立で14万円といったところですので、ほぼ同じといった感じです。社会人の学びなおし(リカレント教育)という言葉が広まってきましたが、リカレント教育に使っている費用は月1万円~5万円が最多というデータがあります。月1万3千円程度はどちらかというと安いほうに入ると思われます。

この金額で、多くの青年会議所では少なくとも年に12回の例会という一般的な学びの機会、12回の委員会という個別テーマの学びの機会があります。さらに、日本青年会議所(ブロック協議会、地区協議会、本会)の開催している無料ないし少額のセミナーは合わせると月1回以上はあるでしょう。他の青年会議所のセミナーも無料で受講できると考えると、さらに機会は増えます。おそらく延べると年間100時間以上の受講機会があるはずです。時間単価にすると1500円ぐらいのものですね。社会人向けセミナーの価格としてみると格安だと思います。

さらに、実際に社会貢献等の事業を体験する実践による学び(アクティブラーニング)の機会や、異業種や年代の違う人とのネットワークを築く機会もあります。

こうしてみると、年会費が高いと感じる人は学びの機会をほとんど活かしていないか、学びの機会に価値を感じていないと考えられます。安いと感じる人は、学びの機会やつながりや実績を活かしているということになります。

なぜある程度の年会費が必要なのか?

とはいえ、年間15万円というのは安い金額ではありません。世界に目を向けると、開発途上国ではもちろんもっと安いですし、先進国でも2万円~3万円程度のところもたくさんあります。しかし、現実として、年会費の水準が最も高い日本は現時点で世界で最も青年会議所のメンバーが多いところなのです。

日本の青年会議所がなぜ他国に比べて年会費が高いのかといえば、いくつかの理由があります。

①自分たちだけで事業を決められる
青年会議所は親会がありませんので、もともと自分たちで決められる団体ですが、予算がなければスポンサーの言うことを聞かざるを得ないということになります。しかし、年会費が15万あると、30名いればLOMには450万円の収入があるということになります。青年会議所では通常お金をためることはありませんので、その収入はそのまま事業と運営の支出になります。事業にどれほど使えるかは運営状況にもよりますが、100万、200万というお金を事業に使えれば、それなりのことはできます。イベントを行うにしても、他の人のお金だけでやるのか、自分たちのお金である程度のことをできるのかで、事業の自由度は大幅に変わってきます。

②メンバーのための青年会議所
青年会議所の理事会にとって、メンバーは単に理事を選んでくれた人、ではなく、年会費を出してくれる人でもあります。理事会はメンバーのことをまず考えて意思決定をしなければなりません。だからこそ、メンバーのための、青年のための青年会議所であり続けることができます。真に民主的な団体であるためにも、年会費を払うメンバーによって構成されていることが必要なのです。

③メンバーの逆選抜
青年会議所の入会条件は20歳~40歳ということ、そして年会費を払えるかどうかです。前記のように、青年会議所の年会費は教育費としてみれば決して高いものではありません。この金額を自分への投資として使おうと思わない方に「青年に発展・成長の機会を与える」という青年会議所の使命に共感してもらえるか、といえば難しいのではないでしょうか。ある程度年会費を高く設定しておくことでメンバーとなろうとする方に逆選抜していただく、仕組みでもあります。要は、タダ乗りしているやつは、いない、なのです。

年会費を下げるとメンバーが減る

メンバーが増えないのは、年会費が高いせいだ、ということで年会費を下げるというケースは外国だとよくあります。でも、その後メンバーが持続的に増えることはありません。年会費を下げ、スポンサーや寄付に資金を頼った結果、自主的な面白い事業を行えず、メンバーのために活動できず、ただ青年会議所の名前にただ乗りしようとするメンバーが増えることで、LOMの中身が悪化し、ついにはメンバーが減っていくという構造があるからです。

いいなと思ったら応援しよう!