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JC論:Active Citizen Frameworkの実践⑦
実践⑥では実行段階について述べました。Active Citizen Framework(ACF)の4段階うち、4段階目が検証です。ここはACFのキモの一つだといえます。日本の青年会議所では、一般的に報告議案で検証を行うことが多いです。
検証は最後の段階ではない
実践⑤でも記載しましたが、本来ACFは分析、展開、実行、検証の各段階を複数回回すことを前提としています。ですから、次年度のために検証を行う、というのが本来の意味ではありません。検証はあくまで、次の分析のために行うのです。「計画の反省」ではなく、次の分析に活かせる検証を行う必要があります。そのためには、分析、展開、実行の各段階でそれぞれ将来どんな検証を行うのかを想定して実施しておく必要があります。
また、検証は報告議案だけで行うものでもありません。事業の実施中でも随時検証を行って、計画を変更する必要があれば、再度修正議案を出さなければなりません。
何を検証するのか
検証はACFの一連の流れ全てについて行います。主に検証すべきものは以下です。
①分析で見つけた真の原因が適切なものであったか
②目的は適切なものであったか
③そのための持続可能な解決策は本当に解決策であったか(効果はあったか)
④解決策は持続可能なものであったかのか(波及しているか)
⑤実行段階での問題はなかったか
よく報告議案では、⑤の実行段階での問題を多く記載していますが、これは実はそう重要ではありません。最も重要なのは、上記の①~④の部分です。
報告議案で忘れがちなのが、①と②です。分析が間違っている、目的が適切でないという検証を行わないと、誤った目的でいろいろな事業をやる羽目になります。計画議案では背景、目的をうるさく言うのに、報告になったら目的の達成だけを見る、というのは4段階を回転させるというACFの考え方に合っていません。
パートナーを巻き込もう
分析段階ではパートナーが重要な役割を果たします。事業の対象者だけではなく、実際にパートナーに評価を得ることで、事業が本当に持続可能な解決策となっているかが明らかになります。参加者が「参加してよかった」という事業よりも、パートナーが「今度から私がやりたい」と言ってくれる事業が成功した事業です。その意味では参加者アンケートは検証方法として王道のやり方ではありません。
白黒つけよう
検証段階で重要なことは、有効だったのか、有効でなかったのか、はっきりさせるということです。こうやったほうがうまく行くとか、小手先のノウハウをため込むことが重要なのではありません。分析、展開、実行の各段階で行った行動は有効だったのか、有効でなかったのか、ここを白黒つける必要があります。白黒つけるのは、実施責任者である委員長であり、委員会です。
自分が汗水たらしてやったことが有効でなかったというのはつらいかもしれませんが、これをやらずして次の良い分析に繋がることはあり得ません。この道はダメだった、と×をつけるのも重要な役割です。事業を実施して全部が有効であることも、全部が有効でないこともないと思います。これらをちゃんと区別して、有効であった点、有効でなかった点を明らかにするのが検証の重要な点です。
巨人を作る
検証をきちんと行えれば、次の分析は数倍高度なものになるはずです。このうまみを次年度に引き継ぐ、というのが青年会議所の一つの美学です。次年度は「ゼロベース」で運動を始めるのではなく、過去のACFループという「巨人の肩」の上に乗って分析を始めることができる。これが組織としてACFを取り込むことのメリットです。
ここで注意すべきはタイムスケジュールです。日本の青年会議所では、通常検証を報告議案で行いますが、青年会議所の年間スケジュールでは本年度の実行段階と次年度の分析段階がかぶることが往々にしてあります。このため、本年度が検証したときには、次年度は展開ないし実行段階に入っていてうまく検証が引き継がれないということが起こります。これは重大な問題です。
ACFの理念をよく理解して、実行段階であっても検証を行い、次年度の分析に役立ててもらう。これが青年会議所という巨人をさらに大きくするポイントです。