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消費税減税がコロナ対策にならない理由

コロナ対策で消費税減税を叫んでいる人が結構いるので、経営者目線でそんなことないでしょ、と思ってたら、ちゃんとフランスの例で消費税を減税しても価格減少の効果は少ないことが示されていました。減税した分、消費者にとっての価格が安くなるとは限らないのです。むしろ大企業だけがもうかるのです。

消費税の減税は販売者にとっては価格上昇のチャンス

最近内税表示(本体価格+消費税)で表示されている場合と、外税表示(本体価格のみ)で表示されている場合の2種類あることにお気づきでしょうか?

内税表示をしている場合は、販売者にとっては減税は価格上昇のチャンスです。例えば内税表示で1000円のものを売っていて、10%の消費税が5%になったなら、もともとの本体価格約909円+消費税5%45円で、954円での販売にするでしょうか?普通しませんよね。消費税減税チャンスとか何とか言って980円にするのがせいぜいです。この時本体価格は26円の値上げになります。消費者は、5%分ちゃんと下がってないから買わないという判断ができるでしょうか?おそらく多くの人はしないでしょう。

外税表示の時もチャンスです。この際は中身を増やしましょう、消費税の減税にあわせて10%増量し5%アップで売るのです。10%増量したところで、かかる費用は高々2パーセントぐらいしか増えませんから、これももうかります。

便乗値上げを禁止すればいいという声も聞こえそうですが、そんなことは簡単に回避できます。例えば、洗剤なら「香りを新しくしました」といって新商品を出します。パッケージ代ぐらいは必要かもしれませんが、香りを変えたところで追加費用はほとんどかかりません。でももはやそれは新商品なので、価格付けは自由です。これを禁止する方法はありません。こうやって簡単に回避できるわけです。

法人税は消費税より抜け道たくさん

消費税を減税する代わりに法人税を取ればいいという話がありますが、実は消費税は企業にとっては大変嫌な税金です。消費税はごまかしがきかないのに比べ、法人税は色々節税する手段があるからです。

だから、消費税が安くなって法人税が高くなると、企業は喜びます。前記のように価格は上昇できるし、もうかった分はうまく節税することができるからです。二倍おいしい。

一体誰の味方なのか考えよう

こうしてみると、消費税減税だ!と叫んでいる人達が、実は消費者の味方ではなく、企業の味方だということがよくわかります。しかも、価格アップや法人税対策ができるのは、たいてい小規模や中小企業ではなく、大企業なのです。だから、減税したところで儲かるのは大企業だけ、ということになります。5%の消費税減税は国の収入を大きく下げますが、今コロナでお客さんが来なくなっている業種にとってはほとんどプラスの影響はありません。

まあそんなことないと信じたいですが、消費者の味方のような顔をして、どさくさに紛れて実は大企業に利益提供しようとしている輩がいるのではないか、ということを疑った方がいいですね。相当怪しいです。

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