
1月3日:台北動物園
動物園が好きである。
なにしろ子供のころには近所に私立の小さな動物園があって、小学校のころはそれはもう頻繁に動物園に出入りしていた。小学生なら入場料が50円で駄菓子を買うぐらいの感覚で動物園に行っていた。生き物を見るというよりは、動物園の匂いとか動物たちの叫び声とかそういうのが好きだった。その動物園に入ると、まずフラミンゴがいつも「ああ今日も泥水がいい感じよね」みたいな感じで群れるでもなく離れるでもなく片足で立っている。ちなみにフラミンゴは両足で立つよりも片足で立っているほうが都合がいいらしい。
懐かしの地元の動物園と同じく台北の動物園も入るとまずあるのがフラミンゴである。なぜか台北動物園にはフラミンゴが2か所にいて、入り口のフラミンゴは完全にお出迎え用である。なぜフラミンゴがお出迎えなのかは謎だが、まあ大方赤くて景気がいいからとかそんな理由なんだろう。確かにテンションが上がる。
外国の動物園に行くといつも思うのが、動物の檻と檻が離れているということである。なぜか日本ではどんな大きい動物園、例えば多摩動物園とか東山動物園とかでも大抵檻と檻が隣接している。広い場合でも、檻が続いた後に空白地域があり、また檻があるという感じである。でも、外国の動物園は檻と檻が連続しておらず、一つの檻を見終わるとちょっと歩いて次の檻、という感じである。日本型のほうが確かに動物は見やすいのだが、動物のメンタルヘルス的にはどうなのだろう。僕の檻の隣が小うるさいシロテテナガザルとかだったらちょっと嫌だなと思う。
まあそれはともかく、台北動物園にはパンダとコアラがいる。まさに動物園の二大ヒーローである。今日は平日だからなのか、日本であればベルトコンベア式にしか見ることのできないこの2つのヒーローたちをじっくり眺めることができる。だが、どちらも判で押したように寝ている。パンダは一日12時間は寝るし、コアラに至っては20時間は寝ている。みんな寝ている動物が好きなのだろうか。そういえば懐かしの動物園の目玉はミユビナマケモノだった。このナマケモノも一日18時間は寝ている。だが、ナマケモノの人気は二大ヒーローほどでないところを見ると、寝ているだけでは不十分なようだ。
懐かしの動物園は私立でいつもお金がないので、熱帯のナマケモノたちの檻には暖房がなく、ナマケモノたちも寒そうだった。心ある人が電気カーペットを差し入れたら、いつもは天井にぶら下がっているナマケモノたちがみんな降りてきて地面にへばりついている。やっぱりナマケモノの名に恥じない生態だなと思っていたら、さすがにかわいそうということになったのか、次の冬には暖房が入るようになっていた。
そんなことを思いながらぶらぶらと歩いているとあっという間に時間が過ぎてしまった。台北動物園は歩きやすくておすすめである。