色んな絵

JC論:議案の書き方:計画議案の背景2

計画議案の背景が、長くなったので分割しました。先に1のほうを読んでください。ここでは、背景の文章の作り方について考えてみます。

まずは項目ごとに書いてみる

さて、ここまで出来たらあとは文章にまとめるだけです。

まず、問題、問題の原因、あるべき姿の項目ごとに書いてみましょう。例えば理事長所信に人口減少の問題が書かれており、市町村の総合戦略を見て今後の人口動態について調べると、下記のような文章になるはずです。

問題:地域の人口減少が進んできており、このままでは2040年には2010年にくらべて2割近い人口減少が予想されています。これに伴って人手不足と消費者不足で地域経済も縮小し、経済環境もさらに厳しくなり、税収も下がり公共サービスも低下すると予想されています。
問題の原因:人口減少の原因は少子化と転出超過にあります。出生率は全国平均よりもやや高いものの2を下回っており、子育て世代の賃金が上がらないことが主な要因です。また、転出者が転入者を上回っており、特に高校生が進学のため転出しそのまま帰ってこないこと、転職者が地域外に出ていくことが転出超過の要因となっています。
あるべき姿:高等教育卒業後に地域に戻りたくなる環境と、地域で働き続けられる環境があることで、転入者と転出者がバランスし、人口減少のスピードが緩まります。その間に出生率が向上し、人口が安定します。

よくまとまっていますが、これでは長いですね。

ここで考えるべきは、どこに絞り込むか、です。このままでは改善すべき原因の範囲が広すぎて、背景の後、目的、事業内容にうまくつながらなくなってしまいます。絞り込んでいくことで、うまくつなげていくことができます。

事業内容から検討できる場合

事業内容を考える自由度が高い場合、一番インパクトがありそうなところに絞り込んでいくと、事業内容も考えやすくなります。ここで考えるべきは「JCの持つ可能性」です。JCにはほかの社会貢献団体に比べて明らかに優れた点がいくつかあります。

1、メンバーが青年世代なので若者に近い
2、歴史と実績があるので行政や学校と話がしやすい
3、経済人が中心なので経済関係に強い

このあたりから考えると、若者に何か働きかけるか、企業に何か働きかけるかを行政と一緒に行う、といったあたりがインパクトがありそうです。ここで、委員会がひとづくり系なら若者に働きかける、まちづくり系なら企業に働きかける方向が受け入れられやすそうです。

ということでひとづくり系ならこんな感じにまとめられます。

少子化と転出超過により地域の人口減少が起き、人手不足と税収の減少が懸念されています。原因の一つは進学で地域外に出た人が戻ってこないことにあります。大学等の卒業後地域に戻りやすい環境が必要です。

まちづくり系ならこんな感じ

少子化と転出超過により地域の人口減少が起き、人手不足と経済の縮小が懸念されています。原因の一つは地域外への転職者が多いことにあります。地域で働き続けられる環境が必要です。

事業の対象範囲が見えてきましたね。

もう事業が決まっている場合

次に、継続事業やあらかじめ大体の事業内容が決まっている場合は、その範囲内でよりインパクトがあることに寄せていくことになります。こういう場合はもうひとひねりが必要です。

例えばお祭りとか花火大会とかイベント系なら、人が集まってくる環境があるわけなので、若者に訴えかけたり、つながりを作るにはよさそうです。例えば地元に帰らない大学生の理由を調べると、「帰ってもコミュニティーがない」ということがあるようです。では、イベントをきっかけにコミュニティーを作ってみてはどうでしょうか。

少子化と転出超過により地域の人口減少が起き、人手不足と税収の減少が懸念されています。原因の一つは進学で地域外に出た人が地元とのつながりがないために戻ってこないことにあります。進学前・進学後の若者が地元とのつながりを持つことが必要です。

例えば子供たちを集めた事業なら、子供たちに直に訴えかけることができます。地元に帰らない大学生の理由を調べると、「就職先がない」ということがあるようです。でも本当に就職先はないのでしょうか?地元に多く就職先があるということを訴えかけることが考えられます。

少子化と転出超過により地域の人口減少が起き、人手不足と経済の縮小が懸念されています。原因の一つは進学で地域外に出た人が地元には就職先がないと考えていることにあります。進学前の若者が地元での就職先のイメージを持つことが必要です。

注意点

まあ書いたものだけをみると「こんなの当たり前」と思った方も多くいらっしゃると思います。いきなりググるのはどうか?自由な発想ができないんじゃないの?思う人もいると思います。でも、天才ならいざ知らず、普通の人は限られた情報で考えても、大した発想は出ません。重要なのは、広く調べて絞っていく、というプロセスです。ここに頭を使うのです。まず問題に対して広い地図を書いて、その中でどこを攻めるかを考えることが重要です。そこに独自性も生まれます。このプロセスを踏んでいないと、結局質問があったり意見がついたときに、「そう思いついたから」となってしまい、きちんとした回答、対策ができないのです。

また、文章の書き方として注意すべきは、背景は「状態を書くもの」ということです。問題も、原因も、あるべき姿も、全てある「状態」です。日本では状態を意識して書く訓練はほとんどされない上に、日本語は状態と動作を書き分ける能力に欠けているので難しいかもしれませんが、単なる○○をやるべきになっていないかに注意してください。簡単な方法は主語を私たちではなく、第三者や無生物にすることです。例えば、「私たちはAのように社会を変えるべき」、ではなく、「社会はAであるべき」、ということです。あと単なる形容詞(より良くする必要がある、とか)になっていないかにも注意する必要があります。

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計画議案の目的・対象者

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