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JC論:なぜ財政審査・規則審査・会計監査が必要なのか

日本JCには財政審査会議、規則審査会議という2つの重要な会議があります。また、日本JCには内部と外部の会計監査があります。なぜこのような仕組みが必要なのでしょうか?

法令・規則に則って、適切で効率的に

そもそも、JCは自分たちだけで成り立っているわけでなく、たくさんの外部からの信頼を受け、支援を受けて成り立っているわけです。さらに、JCメンバーは年齢制限がありますが、JCは組織としては何十年と継続され、引き継がれている団体です。このため外部からの信頼に足る組織運営を行い、組織を継続していく必要があります。そのためには、法令を守り、自ら決めた規則を守ることは必要不可欠です。

また、JCは社団法人であり、その資金の主な出所はメンバーからの会費です。さらに公益法人であれば寄付金や補助金など外部からのお金もあります。どんな事業を行うにしろ、いわゆる事業実施者の「自分のお金」ではなく、「みんなのお金」で行うわけです。だからこそ、「お金をできる限り適切に効率的に使う」ことが必要です。

しかし、JCは毎年役職が入れ替わるため、担当者は初めてその役割を行うことが多い状況です。その担当者に全ての法令と規則を理解し、最も効率よく行うことを求めるのは相当無理があるということになります。

そこで、JCでは、法律・規則に則って、効率的に運動・活動を行っていくために財政審査会議、規則審査会議という会議を行なって、事業計画を事前に精査します。そして、内部と外部の会計監査によってお金が不適切に使われていなかったかを事後的に確認します。

財政は攻め、規則は守り、監査は改善

似たような役割と思われがちな、財政と規則ですが、実は全然違うものであって基本的には担当者をまとめるべきものではありません。なぜなら、財政は「もっと効率的にお金を使いなさい」というのが役割であり、どちらかと言えば「攻め」の役割です。一方、規則は「ルールを守りなさい」という「守り」の役割です。だからここには当然矛盾が起きることがあります。

例えば、百円の支払いが発生した時、ルール上「記録を正しく残すために、支払いは振り込みによる」と決まっているのであれば、百円であろうと「振り込みするべき」というのが規則としての考え方です。しかし、百円の振り込みに数百円をかけて振り込みを行うことは効率的とは言えません。それがルールだから、といってもお金を出しているメンバーからすると、「お金を無駄に使っている」としか思えないでしょう。財政としては、「記録を正確に残す形で現金で支払うか、別の支払いにまとめなさい」というべきです。

結果どのような形で執行されたとしても、それが適切に記録され、執行されているかをチェックする、これが監査の役割です。もし、不適切な会計処理となっていたら指摘を行って改善を促す、というわけです。

このようにそれぞれ違いがあるものなので、1人が担当するのは好ましくありません。監査がまとまることはあまりないと思いますが、人員的な要素で財政、規則が同じ委員会等になっていても、せめて担当者は分けるべきです。

内部で行うことの意味

財政や規則や内部会計監査は少なからず専門的で、慣れていない人にとっては容易ではありません。しかし、これらをあえて内部で行うことには意味があります。

一つ目は、メンバー目線というものです。JCは無給のボランティアであるメンバーのお金と時間で成り立っているものですから、役所と同じようにやればいいというものではありません。公平公正で質の高い公理的な運営を自らの手で実施する必要があります。

二つ目は、メンバーのトレーニングというものです。メンバーの多くは経済人であり、多かれ少なかれ法律といったルールや、効率の良いお金の使い方を学ぶ必要があります。JCの事業を通してメンバーのスキルを上げることができます。

三つ目は、組織の信頼性を上げるというものです。まず財政・規則に精通したメンバーが多く生まれることは、組織の信頼性を上げるでしょう。さらに、外部監査で事後的に問題が発見されるより、計画段階や内部監査のチェックにより、いわば「走りながら正していく」ことは、事故を未然に防ぐことにつながります。


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