地域の課題の知り方(検索編)
あなたの住む地域の課題ってなんですか?と聞かれて、すらすら答えられる人は多くないと思います。現在の日本は大都市であれ地方であれ、多くの市民が感じている共通の重大で喫緊の課題は少ないので、普段地域の課題について考えずに済みます。人口減少が課題です、といったところで、人口減少による実害を受けている人はまだ多くないので、イメージしにくいものです。そんなとき、地域の課題をどうやって知ればよいのでしょうか。とりあえず行政文章を検索して探してみましょう。
市町村レベル
・「地域総合戦略 ○○市」「人口ビジョン ○○市」で検索
これは大体セットで掲載されているはずです。20年後の地域の姿がよくわかります。
・「総合計画 ○○市」で検索
五か年計画などの中期戦略を作っている市町村もあります。当面の課題とその施策が分かります。
・「住民アンケート ○○市」で検索
多くの市町村では、住民アンケートを定期的にとっています。住民アンケートにも地域の課題を見つけることができます。
まず、この3点には必ず目を通した方がいいでしょう。少なくとも代表的な課題を抑えることができます。
特定テーマ
・「教育振興 計画 ○○市」で検索 (小中学校が主です)
・「文化芸術 計画 ○○市」で検索
・「男女共同参画 計画 ○○市」で検索
・「健康 計画 ○○市」で検索
・「観光 計画 ○○県」で検索
・「都市 計画 ○○市」で検索
・「交通 計画 ○○市」で検索
・「防災 計画 ○○市」で検索
このあたりは名称が違えど、大体どの市町村でもあると思います。まちづくり、ひとづくりを考える上では見ておくべきものです。
このような計画を見ると、お役所文章でちょっと頭がくらくらするかもしれませんが、基本的には公務員だけでなく、議会の議員が見てもわかるように書かれています。特に「概要」を見るとイメージが付きやすいと思います。
また、同程度の人口の市町村の基本計画と比較するのも良い方法です。自分の市町村の特徴がよくわかるからです。
都道府県レベル
都道府県レベルになるとより広域で、産業的な色合いが強くなりますが、基本的に市町村とまず検索するものは同じです。
・「地域総合戦略 ○○県」で検索
・「人口ビジョン ○○県」で検索
・「住民アンケート ○○県」で検索
このあたりから攻めていけば大枠はつかめるでしょう。
個別項目で行くと
・「教育 計画 ○○県」で検索
・「健康 計画 ○○県」で検索
・「文化芸術 計画 ○○県」で検索
・「観光 計画 ○○県」で検索
・「産業 計画 ○○県」で検索
・「環境 計画 ○○県」で検索
・「交通 計画 ○○県」で検索
・「防災 計画 ○○県」で検索
このあたりも大抵の都道府県にあります。タイトルがバラバラなのが憎らしいです。
これも市町村と同じで、同規模の人口の都道府県と比較するとその地域の特徴がよくわかるでしょう。
都道府県レベルだと行政以外のレポートも役に立ちます。
・「全国企業短期経済観測調査 ○○県」で検索 いわゆる日銀短観
・「経済研究所 ○○県」で検索
大抵の第一地銀には経済研究所があり、地域の経済レポートを書いています。ホットな話題を扱っているので、興味深い内容になっています。しかし、残念ながら名前が各地で違うので、検索で出てこない場合は地元の第一地銀に聞いてみてください。
各種の提言を出している団体もあります。
・「提言 経済同友会 ○○県」
・「提言 商工会議所 ○○県」
広域レベル
都道府県までは、ある程度どこの地域でも同じような文章があるのですが、四国、九州といった広域になるとぐっと難しくなります。都道府県レベルのデータを自分で集計するしかない場合もあります。
インフラ系なら国土交通省の地方整備局、産業系なら経済産業省の地方経済産業局にまず注目しましょう。
インフラ系(地方整備局関連)
・「広域地方計画 ○○(地方名)」で検索
・「社会資本整備重点計画 ○○(地方名)」で検索
この2つのレポートで大枠はわかります。
産業系(経済産業局関連)
・「統計 経済産業局 ○○(地方名)」で検索
経済動向、地域経済産業調査などが役に立つでしょう
・「産業競争力強化戦略 ○○(地方名)」で検索
複数の都道府県が集まって計画を立てている場合もあります。
・「広域連合 戦略 ○○(地方名、地域名)」で検索
○○広域連合がある所は、個別に戦略立てている場合もあります。
・各種の白書
大抵の白書には地方ごとの分析があります。
行政以外だと
・日本銀行の地域経済報告(さくらレポート)
各地方ごとの報告があります。
・「提言 経済連合会 ○○(地方名)」で検索
各地の経済連合会も提言やレポートを出しています。
おまけ
もっと詳しくデーターが見たい!というときはRESASという便利なツールがあるのですが、使い方と読み方が難しく、ある程度知識がなければ活用は簡単ではありません。
まずは活用事例集を読んで、よさそうなものを自分の地域でやってみるのがおすすめです。