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消費税を下げて、法人税を上げるとどうなるでしょうか?
A:日本経済が悪化します。理由は市民の購買力が減るからです。
日本の財政の半分以上は社会保障のために使われています(地方も3割が社会保障、国債費を除く)、社会保障のためのお金は市民の購買力にダイレクトに影響しますから、社会保障のためのお金が減れば購買力も減るわけです。消費税が上がっても市民は必要なものは買えますが、社会保障のお金が減れば、必要なのにお金がなくて買えないという現象があちこちで起こります。
消費税があまり景気に影響されない安定した税金なのに対し、法人税は利益を上げなければ払う必要のない税金ですから、景気に影響されるわけです。税収が低いからと言って、社会保障を毎年機動的に増やしたり減らしたりはできないわけなので、当然社会保障に使うお金のレベルを下げる必要があります。しかも、高齢化で社会保障費は増えて続けています。良く政府の借金が多い、少ないという議論がありますが、そこは問題ではありません。増え続ける社会保障費を借金でまかない続けるのが問題なのです。政府の資産がどうとかほとんど関係ありません。
しかも、消費税を下げても小売価格はそれほど下がらず、たいして景気も良くならないことは事実として示されています。問題は消費税なのか法人税なのか、という問題よりも「増え続ける社会保障費をどうするのか」ということなのです。
よく社会保障費以外のお金を削ればいいといいますが、それをやってきたのがここ20年ぐらいです。市民の安全にかかわることもそうそう減らせないので、教育費やら先進技術開発に使うお金やらをバンバン削ってきました。その結果国際競争力が下がってきました。しかも、社会保障費の割合が大きすぎるので多少他を削ったところで、焼け石に水です。
かといって、社会保障を落とすのは得策とは言えません。答えは、消費税も上げる、法人税も上げる、お金持ちの高齢者にはお金を出してもらって(相続税、固定資産税、財産税を上げる)、お金のない市民の社会保障は落とさない(むしろ上げる)ということになるのでしょうね。
よく国のお金は「無駄に使われている」といいますが、国のお金を「使っている」かなりの部分は直接市民に届く社会保障なのだということに気を付ける必要があります。
そして、根本的な社会保障費の増大の問題の解決は、税制ではなく、急激に人口が減少しないレベルに子供の数を増やすことしかありません。