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JC論:議案の書き方:計画議案の目的・対象者2
計画議案の目的・対象者1の要素が理解できたら目的を書いてみましょう。
考えよ
背景はググることが可能ですが、目的はググることはできず考えることが必要です。背景は事実だけで成り立つことができますが、目的には意思が必要だからです。背景の問題の原因を解決し、あるべき姿に近づけるために放つ一本の矢が事業であり、その矢が刺さる場所が目的です。敵の軍がごまんといる中で、どこを攻めれば全軍の崩壊につながるかを考える必要があります。敵将を討てば良いと考えるかもしれませんが、いきなり一矢で敵将を討つことはできないでしょう。しかも現代においては一人説得できれば実現するということはありません。首相がいいねといって実現したら「オトモダチ」とか「ソンタク」とかいって問題になります。
目的を決めることは、戦略を立てることなのです。
目的の文章
目的の文章フォーマットで最も簡単なものは、「○○を △△に 変える(こと)」または「△△をする ○○を [増える/減らす/なくす/つくる](こと)」です。まずこのフォーマットで間違いありません。
変える:現状のルールや慣習などを変えるというものです。例:大麻を合法に変える
増える:今すでに一定数いるがさらに増やすというものです。例:SDGsを認知する人を増やす
減らす:今一定数あるものを減らす。というものです。例:煽り運転をする若者を減らす」
なくす:今あるものをゼロにするというものです。本質的になくなる可能性があるものでなければなりません。例:極度の貧困に陥る子供をなくす
つくる:今ないものを加えるというものです。例:(外国人観光客が来ない地域に)外国人観光客が来る地域の魅力をつくる。
1で書いた、明確、比較できる、大きすぎないことも意識してください。
Step1:あるべき姿から逆算する
背景が下記だったとします。
少子化と転出超過により地域の人口減少が起き、人手不足と税収の減少が懸念されています。原因の一つは進学で地域外に出た人が戻ってこないことにあります。大学等の卒業後地域に戻りやすい環境が必要です。
この背景のあるべき姿は、「大学等の卒業後地域に戻りやすい環境が必要です。」この状態となるにはどんな要素が必要でしょうか?
・働きたい仕事がある
・人間関係がある
・家族の理解がある
・楽しみがある
・成長がある
といったところでしょうか。一見どれもすぐにどうこうできなさそうに見えますね。しかし、JCは行政ではありませんから、全部に取り組む必要はありません。
Step2:対象者とどう変えるのかの組み合わせを出す
次に要素ごとに、対象者とどう変えるかを出してみましょう。
・仕事がある:「若者が働きたい仕事を提供する地元企業を増やす」「地元企業に興味を持つ若者を増やす」
・人間関係がある:「地元に残る友達・知人との強い関係を持つ若者を増やす」「地元の有力者と地域外の若者のネットワークをつくる」
・家族の理解:「地元に戻ることを希望する家族を増やす」「行政を地元に戻る若者を支援するように変える」
・楽しみがある:「地元の楽しみを楽しむ若者を増やす」「若者が好む地元の楽しみを増やす」
・成長がある:「若者が地元での成長をイメージできる社会に変える」
といったような感じでしょうか、どれも取り組むに値しそうなことですね。
Step3:対内目的も同時に考える
次に考えるべきことは実は対内目的です。JCメンバーやLOMにとってどのようなメリットがあるのかを考えましょう。対内メリットの少ない事業はあまり人を巻き込めません、つまりは議案も通りません。
・仕事がある:「メンバー企業の人材採用を向上させる」「メンバーの企業の風土を変える」
・人間関係がある:「メンバーの若者の友達を増やす」「LOMと若者のネットワークを作る」
・家族の理解:「地元に戻るメンバーの家族を増やす」
・楽しみがある:「メンバーの趣味を増やす」
・成長がある:「メンバーの成長の機会を増やす」
ふむ、どれも面白そうですが、どれがその年のLOMの方針に合っているでしょうか?このあたりで絞り込んでいけそうですね。
Step4:数値目標が立てられるか
次に考えるべきことは数値目標が立てられるかということです。数値目標が立てられないことは、やっただけに終わる可能性があります。今現在調査があるという話であればやりやすいですが、ない場合は「現状の数値を調べる」ということ自体を目的にするというウルトラCもありですが、数値目標が立てられないものはいったん削除しましょう。
Step5:選択し、まとめる
まずは箇条書きでまとめましょう。箇条書きにする際に優先順位の高い目的を先に書きましょう。
次に、これだけはやりたいという目的に絞りましょう。目的は多ければ多いほど事業のインパクトが下がります。みんな理解できないからです。おおよそ3を目標に絞るといいでしょう。絞る基準は1を参照してください。
議案フォーマットが箇条書きでよければこれで完成です。文章にする必要があれば、箇条書きを接続詞でつないで文章にします。対外目的を先に、対内目的を後に書きます。
これで目的の書き方は終わりです。