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JC論:JCにはどんな事業があるか(マイナー)
運動してますか?、運動の作り方、事業の評価軸に続いて、社会実験か、人材育成か、キャンペーンというJCのメジャーな事業について説明しました。これ以外にもJCの事業にはいくつかのマイナーな類型があります。マイナーなものはそれ自体で大きなインパクトを出すことは珍しいですが、運動の一環としてはありというものです。
提言
青年会議所の特徴として、どこにもしがらみのない青年の団体という特徴があります。青年の考えをまとめて、しがらみだらけの行政や団体に提言することには一定のインパクトがあります。このため、古くから青年会議所ではアンケートなどをもとに提言書を作成し、提言を行ってきました。
実際に東日本大震災の際には、日本青年会議所の提言が政策として実現したものがあります。また、2020年の新型コロナウイルス感染症にあたっても提言書を提出し、劣後ローンの推進などいくつかの政策が実現しています。
また、私の所属する高松青年会議所でも瀬戸大橋が開通する前に「高松に明日はあるか」という都市間のベンチマークを行った提言書を発表し、世論を動かしその後の政策に大きな影響を与えたことが伝説的に語られています。おそらく多くのLOMでこのような例があるかと思います。
一方で、多くの提言は行政や団体が受け取っただけで何も起こらない、というケースが多くあります。そもそも青年会議所という1団体が提言を出しただけで多くの政策が変わるということはある意味民主主義としておかしいとも言えます。
民意を捉えた時代を半歩程度先行く提言が、十分なデータと専門家による理論的裏付けを持って作成され、多くのパートナーの支持を受け、マスコミにも取り上げられ、民意を動かすようなものでなければ、実際にインパクトのあるものとはなりにくい、という意味で、提言という手法は難易度が高いと言わざるを得ないでしょう。
会議(コンファレンス)
会議とは、重要な関係者を集めて合意を形成するものです。コンファレンスとついていても、何の合意形成もなされないものは会議とは呼べず、単なるイベントです。
会議は重要な関係者が特定されていて、その人たちを動かすことが社会的インパクトがある場合に有効です。古くは日本青年会議所では、青年経済人会議を行い、政治経済のキーパーソンを招いて政策に影響を与えてきました。
会議での発言が議事録として後に残ったり、コミュニケと呼ばれる声明書の形となったり、共同宣言という形で全員がサインしたり、と何らかの「合意形成の証拠」を残すことでその後の参加者の活動に影響を及ぼすことになります。これも運動を推進するうえでの一手法です。
ただし、会議は「やりっぱなし」になることも少なくありません。会議で合意形成されたことをどうやって担保していくかが重要です。
交流会
交流会は「つながりを作る」という効果があります。普段はつながらない人や団体を交流会でつなげることで、社会に変化を起こすものです。
「お祭りイベント」も交流会の一種としてなされることがあります。「お祭り」は集客力があるので人が自然と集まり、そこで生まれるつながりが社会を変化させる運動となるわけです。例えば近年各地の青年会議所では、在日外国人と地域の日本人のつながりを作るために「お祭りイベント」を開催するということが行われています。
また、2019年にはサマーコンファレンスにおいてSDGs Parkと呼ばれる展示会を行いました。ここで、出展者の交流会を設け、出展者同士の新たなつながりを生み出し、実際にその後のSDGsを軸としたコラボレーションが生まれました。
このような交流会は確かにつながりを作るよいツールではありますが、結果を計測しにくいという問題があります。また、つながりを継続的に維持する仕組みを作らなければ、その時だけで終わってしまうという問題もあります。
手法を組み合わせて運動を作る
重要なことは、メジャーな手法やマイナーな手法をどう組み合わせて、運動を生み出すインパクトを与えていくかです。単一の事業だけでインパクトを与えようとするのではなく、1年間という期間でこれらの手法をどう組み合わせてインパクト作っていくのかという戦略性が求められます。予定者段階ではぜひホップステップジャンプでどうインパクトを生み出すかの議論をするべきです。