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ロマサガ2Rクリア後感想

(C)SQUARE ENIX


RomacingSaga2 REVENGE OF THE SEVEN、通常ロマサガ2Rが発売されて2週間と少々。配信界隈でも今回のリメイクで初めてサガに触れる方も多く、原作プレイ済み、未プレイを問わず高い評価を得ているようですね。ロマサガ2あるあるをあちこちで見かけて思わずにやりとしてしまいます。

私ものんびりと進めて難易度オリジナルをクリア、ドレッドクィーンと七英雄の幻影も倒しましたので、現在はロマンシングに向けて育成をかねて2週目ベリーハードをプレイしているところです。そんな中、ある程度今作に対する感想が固まりましたので、感想をまとめてみたいと思います。ネタバレがあるので未クリアの方は一応ご注意を。

いろいろ書いていたらずいぶんと長くなったのでお暇な方むけ。使い勝手の変わったクラスや技、陣形や術に関しても個別にまとめてみたいですね。

前提

前提として、私は原作SFC版のロマサガ2のファンであり、多くのゲームをプレイした中でもトップクラスに好きな作品の1つです。それこそプレイ時間がどれほどになるかわかりません。リマスター版はSFC版ほどではなにせよPS4でそれなりにプレイしましたし、舞台「SaGa THE STAGE ~七英雄の帰還~」も見に行きました。

原作の特徴

まず、ロマサガ2がどういうゲームかというところを振り返ってみます。ロマサガ2は1993年12月10日に発売された作品。当時のSQAUREはRPGが主力であり、前年1992年は「FF5」が、同年には「FF USA ミスティッククエスト」が発売されていました。また、他メーカーからも「ブレスオブファイア」「新桃太郎伝説」「エストポリス伝記」「アルバートオデッセイ」など多くのRPGが発売されています。

前作にあたるロマサガそのものが、「8人の主人公から選ぶ」「選択肢でストーリーが分岐するフリーシナリオ」などの異色のRPGで、良くも悪くも話題を集めました。そして、続編となったロマサガ2も同様で、かつ以降のサガシリーズに多くな影響をもたらしたシステムが登場しています。

では、ロマサガ2のどのようなところが異色だったのか、簡単にまとめてみます。

主人公の扱い

1つ目。ゲームを開始するとまず主人公らしき人物の性別と名前を決めます。このキャラクターでプレイするのかと思いきや、一向に自身が決めたキャラクターが登場しません(冒頭のシーン、画面内の隅に姿だけは映っているのですけれど)。最初に操作することになるのはレオンとジェラールと仲間たち。どうなったのかと思いつつもゲームを進めていくと、その正体にたどり着くという流れです。
プレイヤーが決めた自分の分身ともいえるキャラクターが終盤にしか登場しないという、当時ではありえない流れが採用されていました。

ゲーム開始時

操作キャラクター

2つ目。操作キャラクターが頻繁に変わります。皇帝は「伝承法」を用いて力と技を次の世代に託していくことになり、レオンからジェラール、そしてそこからはプレイヤー自身の選択に委ねられます。いゆわる年代ジャンプと呼ばれるもので、これが初見プレイ時にはいつ起きるかがわかりません(慣れてくると把握できるようになります)

年代ジャンプ

このキャラが好きと皇帝に選び、パーティメンバーもそろえ、強敵を倒すなど旅路を続ける中、愛着がわいたころに唐突に総入れ替えすることになります。

皇帝継承

また、不慮の事故で全滅してもゲームオーバーになりません。次の世代に託すことになります。特定のタイミング以外では、全滅によるゲームオーバーというものが存在しないのです。

閃きシステム

3つ目。今のサガシリーズの代名詞ともいえる閃きシステムの採用です。戦闘中、頭の上に「ピコーン」と電球が輝き新しい技を閃く、もしくは敵の攻撃を見切ることが多々あります。

ピコーン

ただし、これがいつ閃く/見切るかはわかりません。特に閃きに関しては、後述しますが、誰が閃くはわかりません。それだけに物語性を生むことがあります。

ボス戦中、万事休すの状態で強い技を閃いた、もしくはボスの攻撃を見切って倒せたという熱い展開を経験した方も多くいらっしゃると思います。私もその1人です

七英雄の目的

4つ目。七英雄の目的が原作ではほとんど語られません。「復讐」というワードは出てきます。ただ、誰に対してどのような経緯でというのは断片的な情報で推測するしかありません。

進め方次第では、会話もなく唐突に戦闘が始まる七英雄もいたります。皇帝たちは七英雄が何をなしたいのか把握することもなく結果的に敵対することになります。

ある種TRPGに近いところがあるのかもしれません。プレイヤーの数、さらにはプレイ毎に歴史が存在します。

原作の問題点

では、次に原作ロマサガ2の問題点を見てみることにします。多くの意見があるとは思われますが、間違いなくあげられる1つがマスクデータの存在です。いわゆるゲーム上で表示されないものの、内部的に参照されゲームの挙動に影響をもたらすデータが多々あります。

閃きにおけるマスクデータ

ロマサガ2におけるシステムの肝でもある閃き。ここに重要な問題があります。ロマサガ2には多くのクラス(FF的に言えばジョブ)が存在し、クラスごとに得意・不得意があります。話しかけると「剣が得意です」「大剣ならまかせてください」と得意分野をアピールしてきたりします。そういうならと、パーティにいれると強い技を閃かないことが多々あります。これは、各クラス8人それぞれに対していわゆる「閃きタイプ」という設定が内部的に存在し、タイプごとに閃くことができる技が決まっているから、ということになります。

オライオンは「ツバメ返し」を閃くことができない

今でこそこの閃きタイプはネット上で確認することができるものの、当時そのようなものは存在しません。「不動剣」を覚えたくてホーリーオーダー(男)で戦闘を繰り返しているのになかなか閃かず、別のキャラにしたらあっさり閃いた、ということもありました。

このキャラがこの技を閃いたという手探り感とそれをもとにした情報交換というのは楽しくもありますが、大きな問題点ともいえるでしょう。何せ自己申告があてにならないのですから。

その他

あとは、目的のわかりづらい、ゲーム上で見えない「理力」の存在、ゲーム上の数値があてにならない、同時期に発売されたNTT出版の攻略本があてにならなかったりといろいろと問題を抱えていたりもしました(攻略本の責任がSQUAREと出版社どちらにあるかはさておき)。敵の数の多さ、雑魚的の強さを挙げられる方もいらっしゃるかもしれませんね。

特に目的のわかりづらさ、戦闘回数のよるイベント発生と消失、雑魚の強さが「サガシリーズはわかづらい」「難易度が高い」といったイメージが広まった一因でしょう。

それでもなお、熱狂的なファンを生み出したのが原作のロマサガ2でした。素材はいいものの粗削り・未完成、というとしっくりくるかもしれません。

原作の問題点解消

閃きの可視化

リメイクの大きなところとして、閃きが可視化されたことではないでしょうか。閃く可能性が高い場合、戦闘中に電球が表示されるようになっただけではなく、「次のどの技に派生する可能性があるか」「派生先の技をそのキャラクターは閃くことができるか」といった2つの要素をゲーム内で確認できるようになりました。
原作のように閃く可能性がないにもかかわらずそのキャラクターを使い続けるということがなくなったのです。この表示はオプションでオフにすることもでき、原作通りマスクしたままプレイすることも可能で、まさに至れり尽くせり。

閃くことができない技は斜線が入る

目的の可視化

可視化という意味では、イベントの目的地も明示的に表示されるようになりました。例えば、人魚イベントにおいて月の光を集める場合、「満月亭」「半月亭」「三日月亭」が目的地として表示されます。原作では、宿屋の名前を覚えおいてそこから推測しかありませんでした。
また新たに発生したイベントには「?」がついたりと、ロマサガシリーズの1つの悩みでもある「わかりづらさ」が見えるようになったことも大きいでしょう。

進行中のイベントの目的は★、新規イベントは?で表示
帝国記から目標の進行状況も確認可能

マスターレベル・攻撃力の可視化

攻撃力も数値として見えるようになり、「この装備をつけるとこのステータスがあがり、攻撃力がどれぐらいあがる」というのが一目でわかります。

物理攻撃・術法攻撃力とステータス

原作では戦闘に勝利した・退却したを問わず「戦闘に入った」回数がカウントされ、その回数に応じて雑魚敵が強くなります。極論してしまうと、逃げてばかりいると皇帝含めパーティは成長せず敵ばかりが強くなるという事態が発生します。今作では、その点にも手が入っています。戦闘に勝利した回数によって敵勢力Lvがあがり、雑魚敵が強くなります。退却しても敵勢力には影響ありません。

皇帝継承後の各武器・術の基本Lvとなるマスターレベルも可視化されており、原作においてわかりづらいとされていた点に悉く手を入れ、初めてサガシリーズに触れる方でもわかりやすく、遊びやすくしたのがこのリメイク作品と言えます。

マスターレベルを帝国国力で確認可能

その他改善点

都市開発や武器開発の完了通知、改造可能の通知、ダンジョン途中からでもファストトラベルですぐに街に戻ることができる、ダンジョン内でエリアが変わっても倒した敵が復活しないなど、可視化以外のところでも遊びやすくなっています。

武器バランスにも手が入っており、不遇だった弓・小剣が大活躍です。

3D化とグラフィック

リメイク発表にあたり大きな反響を呼んだのが、3D化とキャラクターモデル。今時にしてはグラフィックがほかのゲームに見劣りする、という意見もありました。私個人としてはサガシリーズにフォトリアルを求めていないこともあって特に気にはなっておりません。

キャラクターモデル

キャラクターモデルは、小林先生原作の雰囲気を残しつつロマサガRSのイラストをもとに仕上げたという印象です。身長もクラスごとに異なり、それぞれにあった雰囲気がでていたのではなかと。女性キャラがのきなみ可愛いですね。フリーメイジ(女)が原作ではもう少しお年を召していたような……?

X(旧Twitter)ではシティシーフ(女)の人気が高いように見えました。個人的には、原作のころから宮廷魔術士(女)・ホーリーオーダー(男女)がお気に入りで、今回の3Dモデルにも満足しています。

宮廷魔術士

モデルの話からそれますが、年代ジャンプ、もしくは皇帝退位による継承時に先代皇帝時のイベントが背景に出たり、クラスにあった一言があるのもよいですね。

継承時のセリフ

あとは揺れます。

各エリアと街並み

各エリアの表現、また各街並みの小物を含めた美術が素晴らしかったです。ソーモンなどの港町では海鮮物が売られていたり、ネラックでは軍事物資が積まれているなど、その地方や街、用途の特色が外観にも内装にも出ていました。

アバロン玉座
ソーモン
フォーファー. 壁紙がおしゃれ
移動湖が見えるメルー砂漠
魚をさばくユウヤンの町人

チョントウ城では、原作ではなかった庭園をヤウダという地方にあった美術で再現されていましたし、ただの洞窟だったイーリスの村も、イーリスという種族がそこで生活をしているという雰囲気が出ておりました。

原作にないチョントウ城の庭園
イーリスの村

2Dでは表現しきれなかったハリア半島の断崖絶壁も、確かに陸路で行くのは極めて困難という説得力がでていましたね。

ハリア半島の崖

BGM・イベント・演出面

七英雄を含めた一部ボスバトル

七英雄とのバトル時には、「七英雄バトル」が流れつつ盛り上がるタイミングで原作ドット絵をそのまま再現したポーズを取ります。ずるいの一言ですね。格好良さと原作への愛情をかんじるワンシーンです。

原作ポーズを再現した戦闘への入り

イベント

倒れるヴィクトールに声をかけるレオンとジェラール、その後、自室で号泣するジェラールに対して、部屋のノックを一瞬戸惑うなど声がついたことで演出面が強化されたイベントも多数あります。

セキシュウサイとの一騎打ちとそこに駆け付けるジュウベイ、ヴィクトールと手合わせする最終皇帝のイベントも素晴らしい出来でした。

テレルテパの塔、河馬人間の「こ・う・て・い?」も声付きになるとコミカルさが増しますね。

エンディング

長い歴史に終止符を打つエンディング。原作では七英雄を倒したのち、最終皇帝が1度振り返るのですが、今作でもちゃんとありました。原作よりもしっかりと目に焼き付けているようにも見えます。

七英雄の最後を見届ける最終皇帝

そこに何を想うかはプレイヤーに委ねられているのでしょう。原作のころから言われているように、皇帝と七英雄が敵対することになった根本原因はクジンシーであり、彼以外とは直接的な因縁はなかったのですから。

そこから続くエンディング。スタッフロールの左に映る一枚絵に目頭が熱くなりました。文官に指示を出すレオン、手合わせするヴィクトールとヘクター、本を読むジェラール……プレイヤーの知ることができない過去の光景や、裏の出来事などを垣間見ることができます。こんなことをしていたのかと、1枚1枚に対してこみあげてくるものがありますね。河馬人間に指示を出すノエルには思わず笑いましたけれども。

帝国年表。こちらもちゃんとありましたね。これがなければ、歴代の皇帝が歴史を紡いだことになりません。

そして、エピローグ。冒頭の詩人の詩につながることになります。ここまで、アバロンの歴史を詩人が詩っていたというものなのですよね。原作では残った皇帝に「いかがでしたか」と声をかける詩人。「そうでもないと思いますよ」の後、1人残った皇帝の背後に回想するかのように仲間にしたクラスの幻影が現れ、最終パーティメンバーが迎えにくるというものです。ここをどのように表現するのかと期待半分、不安半分でした。

ジェラールが迎えに来たかと思ったら主観視点になり、アバロンの街並みを一歩一歩ゆっくりと歩き、そんな自分に対して仲間たちが笑顔で挨拶してくれるという……これまでの戦いの歴史と思い返しつつ、同時に本当に戦いが終わったことがわかるシーンでした。そして、最後。玉座の前に立つ皇帝をメンバーたちが迎えに来てくれます。歩み寄る皇帝と、残された玉座と王冠。感動の一言です。本当に素晴らしいものでした。

BGM

原曲を損なうことなく丁寧にアレンジされていたと思います。ただ、若干音質が悪いような……?気のせいですかね

その他細かい要素

細かいところながらも丁寧に作られている要素が多々あります。

  • エレベータに乗って下降する際、ふわりと浮くマントや髪

  • 床の材質によって変わる足音

  • チカパ山での登ることができる蔦の着雪

  • 術法研究所の水エリアにおける流れ落ちる水の表現

リメイクで気になった点:戦闘面

全身鎧

全身鎧の存在価値がなくなりました。服と重ね着できないうえ、同ランクの個別装備を全部装備したほうが防御力が上という始末。ステータス補正もないため、コレクションする以外意味がありません

盾とガーダー

盾の価値の低下。ウィルガード改が発動率40%で完全回避できるのに対し、盾は最も発動率の高い水鏡の盾において発動率50%で防御力+61。属性耐性でもウィルガード改が優れています。

属性耐性

属性耐性の不可視化。原作ではあった「斬殴突射熱冷雷状」という耐性に関して、状態異常以外は見えなくなりました。火・水・土・風系統に関するアクセサリーやアビリティがあるので、無くなったわけではないと思われるのですが……

陣形

原作ではなかったクラスにも陣形が追加されました。が……コレクション要素ですね。原作同様一部陣形のみ使うことになります。追加が必要だったかどうかといわれると疑問の余地があります

合成術

今回古文書を取得して合成術を開発するという形式に変わりました。雪の遺跡などいつでも行けるダンジョンであればよいのですが、地上戦艦やハクロ城(浮遊城がでると取れない宝箱がある)など、1度しか行けないダンジョンに古文書があるケースもあります。取り逃すと2週目まで取れません。これはちょっといただけない気がします。

リメイクで気になった点:声

皇帝の性格

声が付いたことでイベント時などの演出に深みがでました。一方で、イベント時において基本的に皇帝はしゃべらずに選択肢になったことで、個性が薄れることになりました。フリーファイター(男)が皇帝のときの選択肢で「私」となっていたりなど……原作では男2パターン、女2パターンで若干セリフが変わることがありました(テレルテパの河馬人間イベントなど)から、ちょっと寂しいですね

選択肢の弊害

大きなところでいうと、コムルーン火山爆発を阻止した際のサラマンダーとの会話。原作では建物から出ようとした際に、族長が「一つ聞いていいか」と声を掛け、あと一連の会話があります。ここは作中でも人気の高いイベントですね。今回、それがぶつ切りの選択肢になってしまいました。話の流れがおかしいのですよね。ここは非常に残念。

SFC版では1つのセリフ
リメイクでは選択肢になってしまっている

その他

そのほか恨みのこまったセリフが「皇帝のおかげで」というちょっと微妙な表現になっていたりもしましたね。この場合、意味として「皇帝のせいで」とするのが適切ではないかと。「おかげで」も通じなくはないのですけれども。

個人的なわがまま要素

その他わがまま的な要素として。

玉座イベント

一定の条件を満たして玉座に座るとイベントが発生します。原作では、皇帝が「誰か!」と呼び、やりたいことを説明するのですが、今作ではすべて文官が話を進め、皇帝は座っているだけ。全クラス全パターンのボイスを収録する必要があるので難しいのはわかるのですが、値段があがってもよいのでここは皇帝のボイスをつけてほしかったところ。

運河要塞をシティシーフの協力でクリアしたあとの「抜け目ないな」のボイスもほしかったですね。

戦闘ビュー

戦闘が斜め後ろからの視点になったので陣形を組んでいる感覚が薄れました。難しいところだとは思うのですけれど、視点をもう少し下げるなどにより、陣形全体を見せてほしかったですね。

陣形開発

陣形開発において名前を付けるのが兵士になっていました。せっかく声もはいったので、ここは皇帝の声で名前を付けてほしかったですね。あと、陣形開発メンバーがフリーファイト以外しなくなったのはちょっと残念。

クラスメンバー

各クラス髪型3パターン、衣装の色3パーンで8人を表現しています。さすがに8人全員変えてほしいとは言えませんが、髪型4パターン、衣装4パターンほしかったかなと。

総評

繰り返しになりますが、原作への敬意と愛情をもちつつ、今の時代にあわせたリメイク作品、それがこのRomacingSaga2 REVENGE OF THE SEVENです。

遊びやすくなった分、サガ特有の手探り感やとがった要素は薄くなっていますから、河津氏が手掛ける昔の「サガらしら」というのは、人によっては感じられなくなっているかもしれません。

それでも、私は原作ファンとして、これはロマサガ2の1つの完成形と言いたいですし、素晴らしい作品だと言います。

開発を担当された田付氏をはじめとする株式会社Xeenの皆さまに感謝致します。

玉座と王冠

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