源翁禅師のことども その四
玉泉寺の本尊 六観音をめぐって
先に触れたように、玉泉寺のご本尊は如意輪観音で、含粒寺のほうは千手観音観音である。
観音さまは菩薩がたのなかでも人気ナンパーワンのほとけさまで、阿弥陀さまをまつる寺では、阿弥三尊といって、本尊の阿弥陀さまの両脇に勢至菩薩と観音さまの二尊が控えておられる。
そればかりでなく、西国三十三箇所の札所巡りは、観音霊場巡りであって、いわば観音さまに出逢う旅で、観音さまの霊験、ご利益をもとめての旅でもあるわけだ。
次に挙げる六観音もそうだが、七観音、三十三観音など、変化観音とよばれ、じつに観音は、パリエーションの多い菩薩さまだ。
いま少しく述べてみるならば、その六つとは、
(1) 聖観音、(2)十一面観音、 (3) 千手観音、(4) 馬頭観音、(5) 如意輪観音、(6) 准胝観音
とである(以上、真言系の六観音)。
このうち、最後の准胝観音の代わりに不空覇素観音を用いたのが、天台系の六観音である。
六観音は六道輪廻の思想との関わり合いが深く、各自がその担当される世界をもっておられる。
ちなみに、「六道」とは、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天道の、六つ世界(道)である。いずれの世界も、迷いにあるものが住むところ。
一番目の聖観音は、雷門で有名な東京浅草の浅草寺のご本尊さまがよく知られている。
六観音の筆頭がこの聖観音で、この観音さまは、観音のなかの観音とでも呼ぶべき存在の普薩であるから、「聖」の字をあえて冠している。
六道輪廻の世界では、「地獄道」を受け持たれている。
次の十一面観音さまは、真言宗豊山派の総本山たる、大和の長谷寺のご本尊さまがよく知られている。
長谷寺は「花のみ寺」の愛称でも知られているが、この木造の観音さまは、古さも古いが、像高はなんと、十メートルあまりという大きさである。
この菩薩さまの受け持ち=担当は、修羅道。
先年、関東地方でも、出開報があって、多くの人びとが参集した。
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