『王様戦隊キングオージャー』第2話感想
第2話 誰がための王
前回のあらすじ
五王国同盟の調印式が行われるはずだったその日。
2千年の時を経てバグナラクが再び襲来したその日。
シュゴッダムのシュゴッドが永い眠りから目覚めたその日。
そして、伝説の守護神・キングオージャーが地上に降臨したその日。
始まりの国・シュゴッダムでごく普通の青年として日々を過ごしていたギラは、国王・ラクレスに剣を向け、自らを「邪悪の王」と称して戦うことを決意し、反逆者として追われる身となった……とさ。
※上記は創作あらすじです。本来のあらすじの語りを楽しみたい方は、TTFCあるいは各種配信をご覧ください。
Let' GO!ンコソパ
第1話の終わり、シュゴッダムの街でギラを兵士たちが取り囲んだところから本編が始まる。
ラクレス様の側近の武官・ドゥーガさん、文官・ポシマールさんがギラを王宮に連行すべく歩み寄ってくる。
ギラは邪悪の王モードでむしろ好都合だと笑い、自分を城まで連れて行けと王の剣・オージャカリバーを二人に向ける。遠巻きにして成り行きを見ていた市民が一斉に怯える。
ドゥーガさんが兵士たちにギラを捕らえるよう命じたその時、トンボのシュゴッドが荒っぽく着地する。
ソイツらについて行ったら殺されるぞ、とぶっきらぼうに言いながらギラに近づく一人の青年。ギラが誰だと問いかける。
左耳全体を覆うキラキラでトゲトゲなシルバーのイヤーカフ。イヤーカフの下で揺れる、ンコソパの紋章をかたどったチャーム。
「ンコソパの総長、ヤンマ・ガストを知らねえとは言わせねえぞ」
そして瞬く間にトンボのシュゴッドは、シュゴッダムの街を飛び去った。
荒涼とした大地の上を高速で飛ぶトンボのシュゴッド=ゴッドトンボ。
コクピット内では、ギラがここはどこだと悲鳴を上げる。ヤンマ君がニヤリと笑い、「初めてか」と飲み物のビン(!)を一口あおる。琥珀色に輝く何かが収められた透明なケースのふたを開けて指で弾く。
すると、外の景色が空と山だけだったのに、あっという間にシュゴッドでは全く見かけない建物だらけの街に変わった。1話で根拠なくワープって言ったけど、本当にワープしてた!
驚いて外を眺めるギラに、ヤンマ君が告げる。
「テクノロジーの国、ンコソパへようこそ」
見とれるばかりだったギラがふと我に返ってつぶやく。「ンコ……ってなんだ?」
ヤンマ君が半ギレ気味にギラを見る。自分のことをチキュー中の人間が知ってると思ってるくらいなのに、まさか5王国の名前を知らないなんてとんでもない話だ(笑)
超絶カッコいいハードロックなンコソパのテーマに乗せて大型漫才コンビが爆誕したところで、静かにタイトルが現れる。
そう、2話目なのにまだOPが流れないのだ!斬新!
提供様用カット。
ンコソパの雲より高い建物のそのテッペンで、逆さ向きに止まるトンボのシュゴッド。何故逆さ向き?トンボってそうだっけ?
ンコソパの街。
まるで視聴者たちの世界(しかも日本含めたアジア圏)で見かけるような高いビルが林立し、ネオンサインがあちこちで光り、様々な技術を駆使した様々なものが街中にあふれている。街頭ビジョンの一つが、世界中の便利な生活を支えるシステムが、ンコソパで生まれたものだと説明する。
街中では、二人連れが分かれた後、一方の姿が自動転送なのかバーチャル映像なのか、光ったかと思うと消えてしまう。
また別の人間が手元のデバイスを操作すると、デバイス上に表示された広告のデータ(謎の白いモフモフとか、ヤンマ君が飲んでた飲み物とか)がそのまま近くのビルの壁に転送される。
さらには、一人の通行人が少し離れたモニターに向けてタッチするような仕草をするだけで、モニターに映し出されたイヤホン型のマイクロデバイスが実体となって装着されるのだ。もはや便利の域を越えている。
人々の服装もカジュアルやロック、パンクに近未来SFテイストを足したような、少し……だいぶ変わったものになっている。しかし服の素材が精密機器の天敵である静電気をたくさん発生させそうなので、その辺をどう克服したのかが気になる。他の4王国が割とクラシカルなスタイルなので、ンコソパにだけどうしてこの文化が花開いたのか実に興味深い。
初めて見る街、初めて見る文化と文明を、ギラはクワゴンに乗って静かに飛びながら眺めている。ンコソパの人々は、メカっぽいものには見慣れているのか、ギラとクワゴンにはまるで見向きもしない。
街頭ビジョン(実は空にいくつも浮かんでいる)の熱い説明は続く。ンコソパのシステムは、なんと、ヤンマ総長が全て管理しているというのだ。え?ちょっとどういうこと?どんだけ天才?
街頭ビジョンの映像。
左右に居並ぶ白い衣装をまとう若者たちが頭を下げて出迎える中、真ん中を堂々と歩くヤンマ総長。その姿は、その頭脳のスマートさを紹介するアナウンスとは裏腹に、ある程度以上の年齢の日本人なら誰もが目にしたことがあるヤンキー漫画そのものである。何処の誰がンコソパにこの文化を根付かせたんだ(笑)
ンコソパ・ペタ城。
戻ってきたヤンマ君に駆け寄る舎弟の青年改め、側近のシオカラ君、早速お説教をする。ヤンマ君は目をそらし、横を向いて頭を掻いて文字通り右から左へ聞き流す。シュゴッダムと喧嘩したことを責められ、売られたから買っただけだとシオカラ君をはたこうとするが、素早くよけられてしまう。
「総長と呼べ」とシオカラ君に言うということは、ヤンマ君の周辺がヤンキー風味なのはヤンマ君のせいなんですね。本当に何処で覚えたんだヤンキー文化を。
二人が仲良くじゃれている(?)間、ギラはンコソパ流の入国審査を受けている。センサーでチェックしていると思われるが、ギラには分からない技術なので、変な動きをしている。とりあえず入国審査はパスできたようだ。
下手すりゃ国際問題だとのシオカラ君の言葉を気にせず、ダンジームの死骸を解析しろと命令するヤンマ君。何のためかと思いきや「アレは使える」え?何に?何を?ヤンマ君コワッッ!
ヤンマ君の自分勝手な言動に、それでもンコソパの国王かとシオカラ君が突っかかる。するとヤンマ君がシオカラ君に向かって怒鳴りつける。
「黙って言うこと聞いてろ、スカポンタヌキ!」
くぅ~んとタヌキのようにひと声鳴いてしおれるシオカラ君。二人の様子を見守っているギラ。
すると3人が乗っている床が大きく揺れる。ヤンマ君が右手の人差し指から親指の内側に引いてある黒い線のようなものに、左手をかざし、素早く動かす。
ンコソパにあるとは思えぬほどシンプルな作りの作業机。その上に置かれたコンポが起動し、音楽が流れる。3人が乗った床がゆったりと動き出す。
通路ではなく床が丸ごと移動するとか、生体にセンサーがプリントされてて遠隔操作ができるとか、ザ・SFなテクノロジー……いいぞ、もっとやれ。
音楽に聞き入っていたヤンマ君が目を閉じ、息を整えると、真剣な顔でギラを振り返り、どうやってキングオージャーを動かしたのかと尋ねる。
問われたギラは、邪悪の王モードの悪い笑みを浮かべ、両手を広げてカッコつけて「どうやってだと?」と聞き返す。
ヤンマ君が言う。シュゴッドのシステムを理解しているのは自分だけで、ギラがクワゴンことゴッドクワガタを目覚めさせ、クワガタオージャーに変身し、さらにはキングオージャーを降臨させたこと、その全てが全くあり得ないことなのだ、と。
ギラは驚きと喜びの余り素に戻ってしまい「僕にしか使えないの!?」と聞き返す。
じっと見つめるヤンマ君とシオカラ君。ギラは素に戻っていたことに気付き、もう一度邪悪の王モードになって高笑いする。
この時の「あ、僕って言っちゃった……?」という表情とか、広げた手を口元に持って行く仕草とか、さらにその手の動きをごまかすように握りこぶしを作るとか、何ですかこのカワイイ動きの見本集は……。
邪悪の王モードのギラを見て、シオカラ君が指名手配犯であることに気付いて叫び声をあげる。そしてさらに気付いてしまう。「しかも野放し……」
ヤンマ君は浮遊する床の奥へとつかつかと歩み寄る。そこには巨大な機械がドーンと立ち、その後ろのやはり巨大なモニターには、様々なシステムのパラメータらしきものが表示されている。機械の前には先ほど起動させたコンポが載った、シンプル極まりない作業机と、快適さが抜群だと噂の某ゲーミングチェアにそっくりな椅子がある。
ヤンマ君は、ラクレスが気に入らないから邪魔してやろうと思ったとサラッと打ち明けつつ、シオカラ君からお気に入りのドリンクをかすめ取ろうとする。
シオカラ君は何をやってんだと怒りつつ、ドリンクを差し出してあげる。
ギラは邪悪の王モードで自分をシュゴッダムに帰らせろと言い、オージャカリバーを抜く。言うことを聞かないとキングオージャーでンコソパを破壊すると脅す。わざとらしいぐらい震えあがって悲鳴を上げるシオカラ君。
ゲーミングチェアに背を預け、やってみろと返すヤンマ君。その冷静さと自信に裏打ちされた威厳は、玉座にいる王そのものである。
一瞬戸惑うギラに、本当はワルじゃないだろとヤンマ君は語りかける。ギラは慌てて否定するが、慌ててる時点でもうワルじゃないのよ、ギラ。
警報が鳴り響く。ヤンマ君が立ち上がる。街のあちこちを映したモニターには、ンコソパの街で暴れるサナギムと逃げ惑う人々の姿が!
それを見たヤンマ君がスタスタと歩き出す。シオカラ君が机の上のパソコンを持ってその後を追う。
変身、トンボオージャー!
ンコソパの街。
サナギムに倒された特攻服姿の若者たちが、痛みに悶えながら地面に転がっている。また一人、特攻服の一人がサナギムに手ひどくやられてぶん投げられて転がされる……と思いきや、しっかりと誰かに抱き止められる。
誰かって誰だって?それはもちろん、我らがヤンマ君ですよ!
特攻服の若者たち(彼らはヤンマ君の親衛隊)を褒め、あとは任せろとサナギムたちを見据えるヤンマ君。その横には一緒に駆け付けたギラもいる。シオカラ君は負傷者に肩を貸し、その場から非難させる。
邪悪の王が人助けかと言うヤンマ君に、雑魚が目障りなだけだとギラが答え、二人は王鎧武装する。
というわけで、ヤンマ君の初変身である。
様々な起動をしやすいように、オージャカリバーの柄を右側にして横向きに腰の後ろに差しているのは、効率重視でメカニックなヤンマ君らしいスタイルである。
右手でオージャカリバー起動後に剣を抜いて一振りし、そのまま右肩に担ぎ、左側を前にして半身に構える。左手を上向きにして「来いよ」というジェスチャーをしたあと、「王鎧武装」とサラッと言う。これがもうマジでカッコいい。ブルース・リーかヤンマ・ガストかっていうぐらいカッコいい。
初めて観た時はあまりのカッコよさに鳥肌が立ちました。そしてその後も観るたびに「カッケェェェ……」と見惚れてます。
気分が高揚したギラ=クワガタオージャーはやはり身振り手振りが大きくなって、ヤンマ君=トンボオージャーに手がぶつかったことにも気付いていない。しょうがない、ずっと一人で来る日も来る日も邪悪の王やってて、隣に立つ仲間なんていなかったもんね……(涙)
トンボオージャーはシャシャんなとクワガタオージャーをたしなめつつ、サナギムたちへと向かっていく。
※以後、王鎧武装前後であることが(私が)分かるように、変身前はキャラの名前で、変身後は王鎧武装の時の名称(例:○○オージャー)で書き分けます。抜けや間違いがあった際には気付いた折にそっと訂正します。
クワガタオージャー、初の近接戦闘!ということでサナギムを斬って斬って斬りまくる!
一方のトンボオージャー、手にはもう一つの武器=キングスウェポンを盾のように使い、サナギムたちが放つ銃弾……というか小さいサナギム?を避けつつ突っ込んでくる!そのままキングスウェポンを突き付けてゼロ距離射撃!振り返っては上から撃って来るサナギムたちに逆に銃弾をお見舞いして撃ち落とす!
第1話でのヒメノ様たちも、もう一つの武器であるキングスウェポンを使って戦っていて、オージャカリバーは腰に差していましたね。そしてそれぞれの形態も違っていました。ヤンマ君は銃ですね。
一人は頭脳派ワンマンプレー、一人は接近戦というか戦闘自体の初心者、当然狙った敵がかち合うこともあり、クワガタオージャーが倒そうとしたサナギムをトンボオージャーが先に銃撃。
素人と毒づくトンボオージャーを尻目に、クワガタオージャーはトンボオージャーのキングスウェポンを奪い取ってしまう。アンタ今のところ邪悪というより盗人やで。
何故かトンボオージャーを敵認定して謎の上から目線で「背中を見せるとは甘いなあ!」と威張るクワガタオージャー。そりゃトンボオージャーだって小さい声で「メンドクセェ」って愚痴るわな。
さらに現れたサナギムたちに「雑魚どもが!」と言い放って突っ込んでいくクワガタオージャー。手にしたキングスウェポンとオウジャカリバーの柄をつなぎ合わせ、公式いわく薙刀モードにして、バッサバッサとサナギムたちを倒していく。とっさの思い付きなのに、剣より上手に使いこなしてる気がする。
登場!デズナラク8世&カメジム!
サナギムたちを倒したクワガタオージャーにトンボオージャーが歩み寄ろうとしたその時。足元全体が大きく揺れて、二人がよろめく。
トンボオージャーの後ろでは、ドドーンとマグマ(!)が噴き出し、舗装やら何やらが砕け散る。音と破片の向こうから、場違いに落ち着いた声が聞こえてくる。「……さて、ここからは話し合いと行きましょうか」
画面に映るのは、マグマとともに現れた2体の生命体の足元だけだが、視聴者にはシュゴッダムを山の上から見ていたバグナラクたちだと分かる。
だが、もちろんクワガタオージャーもトンボオージャーもそんなことは知らない。
背後の異変に立ち姿で振り返っているクワガタオージャーに対して、揺れに負けて地面に倒れているトンボオージャー。その体勢のままで、突如現れたバグナラクたちに「アア?茶でも出してくれんのか?」と凄んで見せるのがマジでカッケェぞ、トンボオージャー!
残念なことにクワガタオージャーの「誰だ、貴様?」と丸被りしちゃったけどね!
2体のうち、体も装備も強そうで威厳がある方が答える。
「我らは地帝国バグナラク。我が名は奈落王デズナラク8世」
続いて、もう1体のいかにも頭脳労働担当の幹部な方が答える。
「私はカメジム。お見知りおきを。ウフッ……」
何だかんだと聞かれたら答えてあげる情けを持ち合わせる敵、ロ○ット団以外にいたんだな……とか言ってる場合じゃない。2話目にして、主役と悪の親玉のご対面である。近年稀に見る(というか戦隊もの史上最も)アウトドア派なんだな!と確信。
彼ら2体が予言を実行した首謀者だと悟ったクワガタオージャーは数歩前に出る。その間に立ち上がったトンボオージャーも、静かに身構える。
デズナラク8世が静かに宣言する。「我々は人類を皆殺しにする」
言い回しが静かな分だけ、確たる決意が伝わってきて怖い。
「……あぁ、でも」カメジムが前に出てくる。「死ぬ前にチキューの秘宝を渡していただけますか?」
こっちも物言いは丁寧なのに、お願いしているように聞こえなくて怖い。そしてチキューの秘宝ってなんだ?知らないぞ?
全く心当たりがないトンボオージャー、当然ながら秘宝?と聞き返す。
トンボオージャーの言葉に「とぼけるな」と呟き、デズナラク8世が何本もの自らの触手を使ってクワガタオージャーとトンボオージャーに襲いかかる!と思いきや、ンコソパの街を破壊する!強い!そして便利過ぎる!
街を壊しながらも、デズナラク8世はさらに二人に追求する。「伝説のシュゴッドのことだ」
カメジムが「夜まで猶予を差し上げます」と畳みかける。カメジムの含み笑いを残し、マグマのしぶきを激しく上げて、2体は地中へと姿を消した。
破壊による砂塵の中で、クワガタオージャーとトンボオージャーは立ち尽くすしかなかった。
ここで、奈落王デズナラク8世とカメジムの初見の印象について。
デズナラク8世はヴィジュアルから察せられるのですが、ミミズがモチーフというか、公式設定によればミミズのBNA(DNAみたいなもので、ベースになった生き物の特徴みたいなもの?)を持っているそうです。ミミズというのは全身筋肉ですから、ンコソパの街を触手で破壊しても、説得力があります。
ちょっと(かなり)リアルめのデザインのせいか、虫やそれっぽいものが苦手なうちの子どもは見た目で嫌がっていました。他にもそういうお友だちたくさんいそうだな……。
さて、大体の戦隊ものにおける敵のボスは、自身の欲望によって侵略行為を行っているせいか、それぞれに「コイツ嫌いだわー」となる要素があり、それが初期段階から部下に対する発言や態度から漏れ出ていたりします。
しかし、デズナラク8世は余計なことをしゃべらないし、無駄な動きがないし、動いても隙が無い。小物感が全くない。彼なりの美学も感じます。
カメジムは出で立ちが学者の正装のようなデザインだったり、ステッキ(実はとても大きな虫ピン)を持っていたり、言葉遣いや仕草が丁寧で紳士的で、頭脳労働担当だと分かりやすくなっています。
しかし、やはり悪の頭脳労働幹部あるあるというか(笑)、小仕草が多かったり、常に含み笑いをしていたりして、若干の小物感が漂います。
こうしてみると、登場段階でこの2体にも深い行間があったんですねえ。
ラクレス様の非情な通告
ンコソパの街。
全破壊を免れた場所には、避難してきた人たちが数多くいるが、みな命からがらだったせいか一様に疲れている。そんな彼らを介抱する人たち、また、瓦礫を片付けたりする人たちもいる。
そこにいた3人の若者たちも、やはり元気がない様子で話をしている。
瓦礫を片付けながら、オールバックの男性=アッカがどうすりゃいいんだとぼやく。
ポニーテールの女性=マユタが、五王国同盟があるし、助けも来ると励ます。
二人の言葉を聞きながら、メガネの男性=ウスバはノートパソコンを操作している。
彼らの会話で、情報伝達が速そうなンコソパの人たちでさえ、まだシュゴッダムで何が起きたのかを知らないと分かる。
そこへ、何とラクレス様がンコソパの人たちに語りかける声が流れてくる。3人が見上げた先には空飛ぶ街頭ビジョンに映るラクレス様の姿が!
声だけが先に聞こえて、ビルの後ろから街頭ビジョンが出てくるという演出がまた、より一層不意打ち感を高めている。あれ、これさっきのデズナラク8世とカメジムの登場場面と一緒だ……と今気が付いた。つまり、良くないことが起きる!
「ンコソパの民よ。我々はンコソパを五王国同盟から外し、防衛出動を一切しないことを決定した」
当てにしていた助けが来ないことを宣言され、はあ⁉と驚くアッカたち。ヤンマ君とギラが、街頭ビジョンを見上げながら、アッカたちがいる場所へとやってくる。
「全ての原因は、ヤンマ・ガストの身勝手な行動にある」
ラクレス様に名指しされて、「ああ?」と声を上げるヤンマ君。
ラクレス様の背後には護衛の兵士、さらにその後ろにはシュゴッダムの民たちがズラッと並ぶ。その中には包帯を巻いた人が何人もいる。
「我が国を危機に陥れ、指名手配犯ギラをかくまっている」
ラクレス様の言葉に、ンコソパの人たちがギラへと視線を送る。ギラ本人の顔や名前を知らなくても、ヤンマ君の隣りにいるシュゴッダム風の衣装を着た人間がいたら、いくら何でも察しが付く。
ギラ兄ちゃんは悪くない、という男の子の声が街頭ビジョンから聞こえる。予想外のタイミングで予想外の声が聞こえて、息を呑んで驚くギラ。
ギラとキングオージャーごっこをやっていた男の子=ブーン君と、コガネちゃんがラクレス様の演説の現場に紛れ込み、カメラの前に駆け付ける。
コガネちゃんがギラに、早く帰ってきて、一緒にレインボージュルリラ食べよう、と必死に語りかける。同調するブーン君。乱入してきた二人を兵士が捕まえて、カメラ前から引きはがす。
コガネちゃんとブーン君が出て来てからつまみ出されるまで、小さいながらもずっとラクレス様の顔が見えていて、なおかつ微動だにしていない。二人(特にコガネちゃん)の感情的な行動と、ラクレス様の冷徹さの対比をサラッと見せてくる。
コガネちゃんとブーン君、そしてシュゴッダムの民が本当は誰のせいで恐ろしい目に遭ったかを知っているギラは、怒りを込めてその名を口にする。
「最後のチャンスをやろう」ラクレス様が、鋭く右手を振り下ろす。
「誠意を示せ、ヤンマ・ガスト。死んでいった我が国の民に、ひざまずいて詫びるのだ」
きゃあああカッコいいラクレス様あああ!と初見でウットリし、後々こう思いました。「『頭(こうべ)を垂れてつくばえ』ってテロップ付けたい」
某鬼殺隊の作品の舞台版では別の方がやっておられますが、実写ドラマ版があるならメッチャ推したい。某ロックシンガーより推したい。
そんな妄想はさておき、ラクレス様の政治手腕の高さよ!
起きた事実はラクレス様の言った通りなので、ヤンマ君にもギラにも非があります。ギラはラクレス様の陰謀を知っていますが、それを証明し、なおかつ防ぐための様々な力がありません。
バグナラクの襲撃に動揺し、不安になったンコソパの人たちの心をさらに揺さぶることで、ヤンマ君への不信感を煽っています。
そして最後の謝罪要求は、国際政治としてはあまりに簡単に思えますが、ヤンマ君個人にとってはあまりに屈辱的な行動を具体的に指示しています。
裏にある様々な事情や真相をうまく隠し、あるいは操り、表向きにはきれいに見せるのが政治なのだと、この通告場面だけで見せています。
ホントすごみがある作品!だってまだ2話目だぞ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
これがンコソパのタイマンだ!
黙って街頭ビジョンを見つめるヤンマ君。その場にいたンコソパの民たちも、視線をヤンマ君に向ける。
ゆっくりと民たちがヤンマ君とギラに近づく。その先頭にいるのはアッカ、マユタ、ウスバの3人。
アッカは気合を入れるように髪形を整えると、ズボンの両ポケットに手を突っ込み、彼らを代表するかのように叫ぶ。
「総長!あんた何やらかしてくれてんだコラァ!!」
口の利き方に気を付けろスカポンタヌキ、と言い返すヤンマ君。
自分たちは不良だけど、犯罪者とつるむのは違うと意見するウスバ。
ヤンマ君をかばおうとして前に出てきて、何やら言おうとしたギラに「うっせえ!テメェは引っ込んでろ」と怒鳴りつけるマユタ。ギラはすごすごと引き下がる。
マユタがもう我慢ができないと言い、ヤンマ君に向かってタイマンを宣言する。上等だと笑みを浮かべて受けて立つヤンマ君。
ええ?マユタって武闘派なの?そしてヤンマ君肉弾戦強そうに見えないよ?などと思っていると、ヤンマ君がシオカラ君にボロを持ってこい、と言いつける。成り行きを見守っていたシオカラ君が「またか……」と弱弱しくつぶやく。
衆人環視の中、生き生きとした顔でノートパソコンを手にするマユタ。向かい合うヤンマ君もまた、魔改造されたパソコン=ボロを手にしている。シオカラ君が審判役となり、二人の対戦を開始する。
二人がものすごいスピードでそれぞれのパソコンのキーボードを叩く。二人のモニター画面に出ているものが映し出されるが、ぱっと見が昭和のゲームセンターにあったインベーダーゲームみたい……やっぱりベースは日本の昭和の不良文化か?
盛り上がるンコソパの人たち。必死のマユタに対して、余裕たっぷりのヤンマ君。軽いあくびさえ出て来てしまう。感じ悪いぞー(棒読み)。
人の輪の外側で、ギラはチビッ子に肩車をしながら、何をしているのかを尋ねる。チビッ子がンコソパ流の喧嘩・ハッキングタイマンだと答える。
マユタのモニターにエラー表示が出て、パソコンが火花を散らして爆発する(!)悲鳴を上げてマユタが倒れる。すかさずウスバが現れて、次は俺だと対戦を申し込む。
するとヤンマ君、メンドクサイからまとめてかかってこいスカポンタヌキども、と言い放つ。何故かテンション爆上がりの人々。
ヤンマ君はマユタの壊れたパソコンをテーブルから払いのけ(壊れてるからってヒドイ)、その上にかがみこんで戦闘態勢に入る。
その場にいたンコソパの人たちはそれぞれマイデバイスを操作し、一斉にヤンマ君にハッキングを仕掛ける。ジャケットを放り投げ、キーボードを叩くヤンマ君。その顔はどこか楽しそうである。
戦いも束の間、ヤンマ君以外の全ての対戦相手のデバイスが火花を散らして壊れてしまい、その衝撃で彼らもみな地面に倒れる。
脱いだジャケットを肩に羽織ると、ヤンマ君は二度と口答えするなとクールに命じる。立ち去るその背中に、鋭い視線を向けるギラ。
テッペンのプライド、悪の覚悟
ペタ城・ヤンマ君のワークルーム。
ギラがラクレス様の要求に従うことと、自らのシュゴッダムへの送還を要求する。両方とも断るヤンマ君に、くだらないプライドのために雑魚ども=バグナラクに滅ぼされることを選ぶのかとギラがさらに問い詰める。
ギラにくだらないプライド、と言われ、ンコソパがずっとシュゴッダムの下請け仕事をしてきたこと、それが気に入らないから、パソコン一つで貧民街からテッペンまでのし上がったことをヤンマ君が打ち明ける。
その行動でどれほどの犠牲が出るのかと問いかけるギラ。ヤンマ君は自分はテッペンが欲しかっただけで、他が勝手についてくるだけだ、とギラの真ん前まで歩み寄ると、その眼をにらみつけ、胸倉をつかむ。
ギラも視線を外さないまま、力なく嘲笑い、その手を振りほどく。ラクレスを憎みながら、ラクレスと同じことをしているとギラに言われ、カッとなってもう一度ギラの胸倉をつかむヤンマ君。ギラもヤンマ君の肩を掴み、ラクレスの正義を討ち滅ぼすために自ら悪になったと打ち明ける。
突然の告白に驚くヤンマ君に、ギラはさらにラクレスの陰謀と、その時に「民は道具だ」と言い放ったことも教える。
ヤンマ君はギラを突き放し、ラクレスが言いそうなことだと背を向ける。その背に向けて、ギラは語る。ラクレスを許せないこと、そもそも王とは国民を守るものではないのか、そうでないなら王と戦うしかないこと。
ギラの思いを知り、振り返ったヤンマ君は、ギラの行動の真意を尋ねる。
ギラはヤンマ君にオージャカリバーを向ける。
「貴様に命ずる!民を救うため頭を下げてラクレスに詫びろ。その後は……」ギラは視線を外し、自分に言い聞かせるように続ける。「オレがどんな手を使ってもラクレスを倒してやる」
ラクレスを倒すと口にして、ヤンマ君に向けた眼差しにも表情にも、確固たる決意があった。
ギラの言葉に、何かに気付かされ、思いを巡らすように目を伏せたヤンマ君。ギラに背を向けてワーキングデスクのドリンクを手に取ると、どっかりとチェアに座り込み、瓶の中身を一気飲みする。胸の中に沸き上がった様々な思いを自分の中に落とし込むように。
ギラがヤンマ君に自分の思いをぶつける場面、しびれますね。ここで第1話に続き「誰かの正義≠正しい事」「誰かの正義を否定する→悪」「王とは何か」をギラに言わせることで、正義と悪の単純な二項対立になりがちな思考をぶち壊してきます。
また、ギラの「ラクレスを倒してやる」という言葉には、あれこれ言いながらもヤンマ君がこれまでに味わった色々な思いを察する優しさと、あくまでギラが一人でなすべきことという覚悟が込められています。
一人で色んなことをやり遂げてきたヤンマ君だからこそ、一人で何とかしようとするギラに、昔の自分を重ねたかもしれません。
バラバラだった一人と一人が、ようやくつながろうとしています。
ンコソパ総長、ヤンマ・ガスト!
夜。ネオン輝くンコソパの街。ペタ城前にはボシマールさんとドゥーガさん、そしてシュゴッダムの兵たちが並んで待っている。相当待たされたのか、ボシマールさんはため息をついている。
親衛隊が並ぶ間から、ヤンマ君、縛られたギラ、縛ったロープの端を持つシオカラ君がやってくる。さすがンコソパ、ロープまで光るとは!
この様子は空飛ぶ街頭ビジョンにも映し出されているので、生中継されている模様。町の一角では、アッカ、ウスバ、マユタやンコソパの人たちが街頭ビジョンを見上げている。
シュゴッダム。コーカサスカブト城・王の間。
玉座に腰かけ、ラクレス様が浮遊する小型のモニターで中継を見守っている。左ひじをひじ掛けに乗せ、両手の指を前で組み合わせ、背もたれにゆるく背を預けている姿勢も麗しい。
ちなみにこのモニターも昆虫を模した機械で、デミシュゴッドと呼ばれる物の一種である。
ンコソパ。ペタ城前。
引っ立てられたギラがボシマールさんとドゥーガさんの前に立ち、サッサと連れて行けと高飛車に言う。
ボシマールさんが、ギラには行き先は処刑場だと告げ、ヤンマ君にはギラの引き渡しとラクレス様への謝罪を要求する。
強張った表情で前へと進み出るヤンマ君。不安そうに見守るシオカラ君。
ヤンマ君は足を肩幅に広げ、両手を腰の後ろで組んで胸をそらすという、応援団のような姿勢を取ると、肚の底から声を出す。
「この度の非礼、誠に……!」
頭を下げるべく姿勢を低くし、地面に指先を付けようとした瞬間。ヤンマ君の脳裏に、ラクレス様の動きにキレがあり過ぎる謝罪要求の映像が蘇る。
ヤンマ君の動きが止まったことに、ギラ、ボシマールさん、ドゥーガさんが眉をひそめる。
ヤンマ君の指先は、震えながらも、あとわずかで届く地面には触れることはなく、クワッと開いていた目が、強張っていた表情が、次の瞬間には一転して生き生きとした目、清々しい笑顔に変わる。「……やっぱ無理だ」
片手で顔を覆うシオカラ君。ギラを突き飛ばし、ボシマールさんたちに背を向け、ヤンマ君が告げる。「この話、ノーカンで」
突然のことに、転がったままのギラがどういうことだ、それが国王のすることなのかと騒ぐギラに、ヤンマ君が「ピーピーわめくな三下が!」とどやしつける。
「俺は媚びねえ、へつらわねえ。誰が相手になろうとも、意地とドタマでぶっちぎる!」
それまで(視聴者に)背を向けていたヤンマ君が振り返る。
「それがンコソパ総長、ヤンマ・ガストだ!」
背後には輝きが過ぎるくらいに青く光る、ペタ城のンコソパの紋章のネオンサイン。ナニコレもうカッコいい……!
ンコソパの街。
街頭ビジョンには、「お前ら、いいから黙ってついてこい」と、カメラ目線でクールに決めるンコソパ総長のどアップ。一度目を閉じ、再びカメラというよりンコソパ中のスカポンダヌキども(と視聴者)を見据えて告げる。その顔には、さらに器が大きくなった頼もしさがある。
「俺は誰にも負けねえからよ!」
街頭ビジョンを見上げていた人々は、それぞれの形で感動している。ヤンマ君の頭脳はもとより、人となりを信じることで成り立っているンコソパは、ヤンマ君が揺らがなければ揺らがないのである。
シュゴッダム。
一部始終を見守っていたラクレス様がつぶやく。「バカな選択を」
ンコソパ。ペタ城前。
ヤンマ君の決断と宣言を聞き、ひと睨みしてからきびすを返すドゥーガさん。小馬鹿にするような表情で目を閉じ、もう一度開くと、何故か小指を差し向けてから背を向けるボシマールさん。
引き上げていくシュゴッダム勢に、自分を連れて行けと必死で呼びかけるギラ。その後ろには、どうしようと言わんばかりに両手で顔を覆っているシオカラ君と、明らかにヤンマ君のカッコ良さに感動して手で目頭を押さえている親衛隊員たち。
完全に置いて行かれたギラが、ヤンマ君に詰め寄る。絶望に崩れ落ちるシオカラ君に気を取られて、そちらを見てしまうものの、気を取り直してヤンマ君を「貴様もラクレスと同じか」と非難する。
するとその時、二人の後ろの街頭モニターがオンになり、ンコソパの人々が興奮して叫んでいる様子を映し出す。叫び声の大きさに、ギラはこれが民の怒りの声だと訴えるが、よくよく聞くと……。
「さすが俺らの総長だー!」と涙ながらにアッカが拳を突き上げている。思っていたのと違う声が聞こえて、実に珍妙な表情で驚くギラ。
「誰にも頭は下げねえ……それでこそヤンマ総長よ!」あふれる涙が止まらないウスバ。
「やっぱあんたがテッペンだ……」興奮して叫ぶ人たちとは対照的に、しみじみと涙を流すマユタ。
ボルテージは最高潮に達し、一同は叫ぶ。「あんたが総長だー!」
ペタ城前。
街頭モニターを見ているヤンマ君。ギラはモニターを見ているヤンマ君を見る。さっきは絶望のあまり地面に伏せて泣きわめいていたシオカラ君が、いつの間にか立ち上がって、「やべえよヤンマくん……マジかっけぇっす……」と言いつつ、大泣きしている。
ンコソパの人たちとヤンマ君の信頼関係の在り方を知り、ギラは優しく微笑む。
シュゴッダム。何かを思案する様子のラクレス様。王の間を後にする。
わずかな表情の動きの行間が深すぎる……。
夜のンコソパ空中決戦!
ペタ城前。モニターを見つめるヤンマ君が、これが自分の国・ンコソパだとギラに語りかけ、笑顔で振り返った時。ギラは突然邪悪の王モードで高笑いを始める。ギラに面白い、と言われてまんざらでもなさそうにヤンマ君が笑う。
しかし、ギラの「これがウンコソパか!」という天然とお調子ノリが悪魔合体した言葉に激怒する。しかもヤンマ君が言うには、どうもンコソパ最大のNGワードのようだ。
どつき漫才が開幕したところで、文字通りのお邪魔虫、カメジムの声が聞こえる。そういえば、もう一組別のお客様の予定があったねえ。
ということで、デズナラク8世とカメジムのご来訪である。秘宝を渡すか、虫けらのように死ぬかと迫るカメジム。
涙が止まらないままのシオカラ君が、バグナラクが告げた夜になっていたことを思い出し、ヤンマ君にどうしようと泣きつく。
ヤンマ君はギラを軽く突き飛ばし、デズナラク8世とカメジムに告げる。
「お家へ帰んな、スカポンタヌキ」
ヤンマ君のセリフに「カッコいい……」とまたしても感動の涙があふれ出るシオカラ君。後ろの親衛隊も、ヤンマ君のカッコ良さにしびれすぎて、バグナラクの二人がまるで眼中になく、ずっと泣いている。
一瞬で交渉(そもそも秘宝が何かも分かってないから無理な話なんだが)は決裂し、デズナラク8世が皆殺し宣言をし、カメジムが不敵に笑う。
立ち去る2体と入れ替わるように、怪ジームが巨大化しながら現れる。
現れたのはボダルジーム、ホタルの特徴を持つ怪ジーム!
悲鳴を上げるシオカラ君。初めて見る怪ジームに驚きながらも態勢を整える親衛隊員たち。
巨大怪ジームやサナギムはシュゴッダムで見たものの、怪ジームが巨大化する瞬間を見て、その原理にまず興味が行くヤンマ君。
そして、どうせバグナラクなんだからと、光るロープを振りほどき(そもそも見せかけだから縛り方もゆるいのだろう)、オージャカリバーを抜いて返り討ち宣言するギラ。
この一瞬で、それぞれの思考・行動パターンを表しててスゴイ。
仕切るなタコメンチ、とギラの前に出たヤンマ君が王鎧武装する。続いてギラも王鎧武装すると、いきなりキングオージャーを呼ぶ。夜の変身は、色んな光るエフェクトが映えて、キレイでかっこいい。
呼ばれて飛んでくるシュゴッドたち。すでにクワガタオージャーとトンボオージャーはそれぞれのシュゴッドに乗り込んでいて、彼らの視点からも合体するシュゴッドたちの動きが見える。第1話よりは時間は短めだが、見せ方を変えることで、第1話と同じかそれ以上の満足度が得られる。
夜のンコソパの街……の空に、キングオージャーが見参!そう、ゴッドトンボの羽が動いて、空を飛べるようになっていた!
素直に驚くギラと、乗り手がいるシュゴッドの力が使えることを瞬時に理解するヤンマ君。
キングオージャーとしてのコクピット形態が初めてのヤンマ君は、興味津々で装置を動かす。
そこへボダルジームが体当たりをしてくる。いよいよ〈夜のンコソパ空中決戦〉の始まりである。そのまま飛び去ったボダルジームを追いかけ、キングオージャーが夜のンコソパのビル群の間を飛び回る!
その速さ、ボダルジームとキングオージャーそれぞれが、二条の光の糸を引くほどである。某有名アニメ映画の某空賊が見たら「糸を引いた!」と大興奮しそうである。
すれ違いざまにボダルジームを捕まえたキングオージャー、そのまま道路へと突っ込む!激突した時の速さによる摩擦で、道路から火花が上がる!
しかしボダルジームはキングオージャーを振りほどき、また高速で飛び去ってしまう。追いかけるキングオージャー。速すぎて何が何だか目が追い付かない。
すると今度はキングオージャーが高いビルにたたきつけられ、そのままビルの外壁を滑り落ちていく。重みと勢いで、砕け散るガラスや外壁。ビルの中の人たち無事に逃げてえええええ!
今度は急上昇し、キングオージャーがボダルジームを別のビルに叩きつけ(!)、必殺パンチを食らわせる!
するとボダルジームが、叩きつけられたビルと、さらに別の高層ビルを一直線に貫く(と言っても見えるのはボダルジームが引く光だけ)!
もう一つの方のビルが、その衝撃で爆発して横に割れ、ビルの上階の部分がゆっくりとこちら側に倒れてくる。
トンボオージャーは、「俺は引かねえ!」と叫び、キングオージャーは落ちかかるビルの上部へと突っ込んでいく。
もはや巨大な瓦礫となったビルを突き抜けた先には、渾身の一撃を決めるべく、エネルギーを集中させて待ち構えるボダルジーム!さすがのクワガタオージャーとトンボオージャーが危機一髪の大ピンチに焦ったその時!
何と、ビルが2棟生えて(!!)1棟はボダルジームのビームを受け止めて曲がりながらもキングオージャーを守り、もう1棟はボダルジームを勢いよく跳ね飛ばした!何だビルが生えてくるって!!第三新東○市かよ!?
何回も巻き戻しては見て、巻き戻しては見てを繰り返しましたが、何がどうなってるのか、10秒ずつ設定のTTFCでは限界があります。これはもう何らかの手段で録画・DVD等でコマ送りにして確認するより方法がありません。それくらいこのロボ戦はすごいです。いやあ日本でこれできるんだなあマジで……って何回唸ったことか(そしてこれからも唸る自信がある)。
くらえ、ンコソパ流必殺技!
ゴッドトンボ内にはモニターが表示され、ウスバが「また勝手に突っ走って……」とぼやく。その隣には「まあケツ拭いてやっからよ」と笑顔のマユタ、さらに隣には「ぶちかましてやれ!」と気合を入れるアッカが映るモニターが次々に現れる。
3人それぞれの言葉に小さく笑うと、ンコソパ流でぶちのめすぞ、とヤンマ君が呼びかける。
トンボオージャーのコクピットに、青い光で作られた仮想のモニタールームが形作られる。操縦者が乗ることで引き出される力にも、いろんな形があるようだ。
アッカたち3人、さらには彼ら以外のンコソパの人たちも、マイデバイスを構えて勢いよく応じると、ノリノリでキーを打ち始める。さすがンコソパ、昼間火花を吹いたノートパソコンがもう直ってる……複数持ち説もあるかもしれないが、マイパソコン組み立てられて当たり前な気もする。
ンコソパ民のパソコン事情はさておき、ンコソパが国の名前だと知らない上に地雷を踏みぬいたギラは、彼らが何をしようとしているのか分からず、「手は敵を潰すために使え!」といかにもなセリフを吐く。
すると、キングオージャーの頭部がパカッと開き、バイク型メカに乗ったクワガタオージャーがボダルジームに向かって飛び立っていく!いや待って、何その頭の開き方!!!
クワガタオージャーには構わず、トンボオージャーがウスバの名を呼ぶ。ウスバはボダルジームの動きの計算をしていたようで、その計算が終わったことを報告する。
空中バイクを駆るクワガタオージャーとボダルジームの空中戦。空中バイクはクワゴンだからだろうか、スムーズに操縦する姿がカッコいい。
その間にも、準備は着々と進み、トンボオージャーはマユタとアッカの名を呼ぶ。マユタはエネルギーの充填ルート構築を、アッカは集めたエネルギーを使える時間を計算していて、それぞれが結果を報告する。
いくらンコソパが電子システム制御に特化してる国とはいえ、この短時間で優秀過ぎるだろ……公式がアッカ、ウスバ、マユタを指して〈ンコソパの3賢者〉と呼ぶ所以が分かる場面である。
結果を聞き、「上等!」と答えたトンボオージャー。コクピット内の大きな青い枠を叩く。あれ、ボタンだったのか。
ただでさえ青く光り、四六時中放電しているペタ城に、四方八方からつながる極太のケーブルを通って、光を放ちながらエネルギーが集まってくる。
ペタ城近くの地表では、シオカラ君が巨大なダンゴムシ型のロボを連れて現れる。エッ、アレ、もしかしてだけど、もしかしてだけど……それってダンジームの……アレ!?
ウソだろヤンマ君、ギラと一緒にそれもお持ち帰りしてたんかーい!デキる子通り越してもはや怖い……。
そしてもう一人怖い子、シオカラ君よ……君は一体ンコソパの技術者に何をどう説明して、ダンジームのカケラから、一体のダンゴムシロボを事実上半日で完成させることに成功したんだよ……怖いよ、この子怖いよ!
そして、ンコソパで一大事が起きていることなど関係なさそうに、高架上をゆったりと進むカタツムリ型のデミシュゴッド……カワイイな!
シオカラ君を褒めたトンボオージャー、諸々含めて「上出来」の一言では足りない気がするけど……ヤンマ君の誉め言葉は貴重だからいいのか……いいのか?
自分の役目が分かっているかのように、自ら丸まって飛んでくるダンゴムシロボ、一瞬でお尻の方に(丸まってるのに関係あるのかとか言わないで)チェーン付きグリップが現れ、キングオージャーがしっかりと握りしめる。
いつの間にか戻ってきたクワガタオージャーが、コクピットで「面白い」と笑う。
ンコソパ中のエネルギーがペタ城に集まって、尋常じゃないくらいのプラズマと輝きを放つペタ城。ちょっと前からうすうす思っていたけど確信したぞ……これアレだろ、絶対に「ヤ」の付く作戦だろ!
キングオージャーがペタ城の前で飛び上がり、ダンゴムシロボをブンブン回す!遠心力で伸びていくチェーン!どういう仕組みだ!ンコソパ怖い!
ダンゴムシロボに蓄えられていく放電エネルギー!どういう仕組みだ、ホント怖い!
クワガタオージャー「雑魚の分際で!」
トンボオージャー「頭が高えんだよー!」
ボダルジームが「お前がな!」と応じながらエネルギー弾を次々と投げつける。当たるも構わず、ものすごい速度で垂直降下しながらダンゴムシロボを振り回し続けるキングオージャー。
飛び散る火花の眩しさに、某有名アニメ映画の某大佐みたいに「目が、目がぁぁぁ……」って呟いてしまう。
夜空を見上げて、キングオージャーの戦いを見守る……いやさ熱烈に応援するンコソパの人々。「ぶちかませ―!」と一斉に声を上げる。
クワガタオージャーとトンボオージャーも同時に叫ぶ。
「ひざまずけー!」
……本当に自分がひざまずくのがイヤなんだな、ヤンマ君。
ペタ城近くに降り立ったボダルジームの頭に、ただでさえ放電しまくってるほどのエネルギーがたまっている上に、超頑丈な素材でできたダンゴムシロボを、重力と遠心力と魂の叫びを込めて叩きつけるキングオージャー!
颯爽と地上に着地するトンボオージャー。そこにはンコソパの人々、アッカ・ウスバ・マユタに親衛隊たち、シオカラ君がいる。
トンボオージャーがペタ城のンコソパの紋章を背にして振り返る。
「これが……ンコソパ流だ!」
彼らの視線の先にはエネルギーが体の隅々までいきわたり、放電しているボダルジーム。一瞬置いてその体が爆発する。爆炎と爆風を避けるかのように背を向けて立つキングオージャー。逆光が映えてカッコいい。
さて、今回の怪ジーム、ボダルジームです。ンコソパに派遣されるにふさわしい、輝きと速さとガラの悪さが印象的です。
よくもまあ儚さの象徴みたいなホタルから、こんなアクの強いキャラ設定が生まれたものですが、よく考えたらホタルって幼虫の時は肉食なんですよね……。環境に左右されがちとか成虫の寿命が短いとかで、こっちのイメージが勝手に狭まってるだけなんだと、ちょっと考えさせられました。合掌。
戦いが終わり、電気の供給も通常通りになったンコソパの街。
総長の王鎧武装を生で拝めた幸運な人々が、ヤンマ君の周りに集まってきて真似をしてみせる。
いい加減にしろと言うヤンマ君だが、まんざらでもなさそうだ。
ギラが彼らの輪に歩み寄りながら語る。ンコソパの国とは、民と王に上下の壁がなく、ためらわずにぶつかり合うことによって、強くつながるのだと。その言葉にふっと笑みを漏らし、ヤンマ君が言う。
「王だの国民だの超越してんだよ、俺たちは」
そしてギラに顔を向け、告げる。「仲間だ」
ヤダああカッコいいいいい、と泣き崩れるのかと思いきや、シオカラ君やアッカたちは、ピースサインを出し、ドヤァと言わんばかりの笑顔になる。
ひと時の沈黙ののち、閃いた!という顔をしてギラが叫ぶ。
「俺様に必要なものはそれだ!」
ヤンマ君が不審げにリアクションするが、一切気にせずギラは続ける。
「俺様は邪悪の王となる男、ギラ!ラクレスを討ち滅ぼすために俺様の仲間となれ!」
ネオンサインが光り輝くンコソパの街と、地上の光で霞みつつも、うっすらと見える満月を背にしたギラの、何と絵になることか。
しか~し、世の中そんなに甘くない。ヤンマ君はギラにギリギリまで近づくと、「なるわけねえだろ、タコメンチ!」と暴言を吐く。
どつき漫才3度目のお披露目かと思いきや、実にタイミングよく二人の真横に、カマキリ型シュゴッド=ゴッドカマキリがピンポイントで降り立つ。
同時にゴッドカマキリへと振り向くギラとヤンマ君。ゴッドカマキリは実に鮮やかに両前足で二人を挟み込むと、ンコソパを飛び立っていった。予想外の出来事の連続に、ギラとヤンマ君は叫ぶのが精一杯である。
さてはて、どうなるギラ、どうなるヤンマ君!?
というわけで第2話でした。
ヤンマ君の仕事場スペース、CDコンポがあったり、山積みのボロボロのCDケースがあったりと、ンコソパにしてはレトロなものがあって、彼の原点のようなものを感じます。ヤンマ君の現在地、そしてギラと出会ったことで確かに何かが変わった瞬間が描かれていました。
そして、おそらくギラほどではないにせよ、他国にはさほど長く滞在したことがなさそうなヤンマ君が、イシャバーナで何を見てどう感じるのか。
そう、若人に必要なのは旅なのだ!
そして2023年12月当時、この第2話自体が壮大な行間であったことを私はまだ知る由もないのだった……。
初出:2023年12月19日 2024年5月11日加筆修正
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