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『仮面ライダークウガ』第7話感想

第7話 傷心 (その4)

 建物の廊下を歩きながら「遠くまで済まない。一緒の方がいい気がしたんだ」と話す一条刑事。「ハイ」と返事をする五代雄介。遠くってどれくらいなのよと思ったところで、「千葉 科学警察研究所」の字幕が表示される。
 東京から千葉……どれほど東京に近い県境の辺りであってもバイクで来るにはまあまあ遠いよね……。そりゃ時間も11時をだいぶ過ぎるだろうさ。

 「ところで五代雄介」と早口で一条刑事が切り出す。「また青に変身して、第6号と戦った時より高く飛べるか?」
 普通なら何でそんなこと聞くんだとか言うだろうけど、五代は「分かりません」と必要最小限の答えだけを返す。聞いた方も聞いた方で何で分からないんだとかごしゃごしゃ言わず、「そうか」とだけ答える。そのまま廊下を進む二人。
 
 前にも言ったけど、何で一条刑事は五代のことフルネームで呼ぶの?雄介って呼ぶのはおかしいと思うけど、何で五代って呼ばないの?ねえ何で?

 ある一室。机に向かって座っている髪の長い人物が一人。「榎田さん」と呼ぶ一条刑事の声に振り返ったのは、メガネをかけた女性である。
 榎田さんは顕微鏡で何かを観察していたようだが、一条刑事の顔を見ると笑みを浮かべる。「久しぶり、一条君」そう言うと立ち上がる。

 「東京に戻ったんだって?」という榎田さんに、「長野県警からの出向です。警視庁の合同捜査本部に」と答える一条刑事。
 彼の顔を見ていた榎田さんが不意に「あら?その顔は彼女できた?」と尋ねる。「いえ、そんな」と何でもない口調で一条刑事は首を横に振る。
 そうね、彼女じゃなくて、まるで彼女どころか古女房のような部下がいるだけだよね……。

 「そぉお?」と疑う榎田さんにそうなんだという風に一条刑事がうなずく。「おかしいなあ……?」とまるで名探偵が謎解きに挑むように、榎田さんはあごに手を当てて考え込む。おかしいなと言われて気になったのか、一条刑事も自分のあごに手を当てて考え込む。
 一条刑事と榎田さんが話している間、五代は入り口近くに立ったまま、部屋の中を見回している。

 榎田さんが五代の存在に気づき、彼を手で示しながら「この方は?」と一条刑事に尋ねる。榎田さんが指すほうに目をやり、一条刑事が我に返る。
 五代と一条刑事は同時に「あ」と言い、五代が榎田さんの前に進み出て、ポケットを探ると「オレ、こういうモンです」と自分の名刺を差し出す。
 榎田さんが名刺を受け取る。

 名刺が大きく映し出される。「1999」がバツ印で消され、その上に大きく「2000!」と書いてバツ印に向けて矢印が引いてある。
 何と、技が1つ増えている!よもやその技って、クウガに変身することじゃあるまいな?

 名刺をしげしげと見つめた後、「ナニコレ?」と言う榎田さん。おお、思ったより普通の人の反応が返って来たぞ。
 榎田さんの反応の薄さに、それまで浮かべていた笑みが消え、分かりやすく五代が落ち込む。そんな五代の様子に思わず笑ってしまった一条刑事が、五代の代わりに「まあ、それは追い追い」と答える。

 「それより、分析の結果は?」と一条刑事が改まって榎田さんに尋ねる。榎田さんも口調も雰囲気も改め、「これを見て」と言うと、五代の名刺を置き、そこに置いてあった透明な袋を手に取り、二人に見せる。
 五代がのぞき込み、袋の中の物を見て驚く。「おっきな針ですねぇ!」
 思わず触ろうとした五代の手を榎田さんが容赦なくビシッと振り払う。

 五代が驚くのも当然で、大人の手の中指の先から手首までくらいはあろうかという長さ、飲み物用のストローかそれより一回り大きいくらいの太さである。タピオカは通らなそう、多分(そもそもストローじゃない)。

 榎田さんは一条刑事に向けて言う。「アスファルトの下から出てきたの」黙って針を見ている一条刑事と、「これが」と言って再び手を伸ばして、やはり再び手を払われる五代。
 榎田さんは針が入っている袋を一条刑事の胸に押し付けて持たせると、「分析の結果」と言いながら、自分のパソコンの電源を入れる。
 パソコンが起動すると、椅子に座り、キーボードを叩く。彼女の後ろに近づき、一条刑事と五代はモニターをのぞき込む。

 「ハチの毒針に極めて近いものだった」という榎田さんの言葉とともに、モニターに分析結果が表示される。詳しいデータはあとで見せると前置きし、榎田さんが説明する。
 被害者は全員アナフィラキシーショックで瞬時のうちに亡くなっていること、そこから考えてもこの敵はハチの能力を持った未確認生命体であるとみてもいいのではないかということ。
 彼女の言葉に、それぞれ考え込む一条刑事と五代雄介。

 はるか上空。羽音を響かせ、雲の上を飛んでいる。画面がまるで複眼のように分割されている。視点は雲の上から雲を突き抜け、ぐんぐんとまっすぐ下降する。分割された中央に、ハチのタトゥがある手の甲と、腕の中から出ている長い針が映される。

 東京・大田区内。
 田園調布駅(多分)の前を通りかかった男性の足が突如止まり、ブシュッと言うような音がして、足元の地面から煙が上がる。体全体が一瞬だけ硬直したようになり、その次の瞬間には逆に全身から力が抜け、持っていた本がバラバラと落ち、男性は前のめりに地表に倒れる。
 目を閉じた男性の表情は穏やかで、何の痛みも感じていないようである。彼の足元には、穴が開いていた。時刻は……午前11時37分。

 世田谷区内。
 女性が買い物が入った紙袋を抱えて道路を渡っている時、ブシュッという音がする。女性の手から買い物袋が落ち、ゆっくりと女性が道路に倒れる。たくさんのりんごらしき丸いものが、道を転がっていく。発生時刻は午前11時52分。

 中野区内。
 テニスコートで練習している女の子が、ブシュッという音の後に、ゆっくりと倒れる。発生時刻は午後0時7分。

 北区内。
 川の脇の公園の林の中を通り抜ける2台の自転車。ブシュッと音がして、2台目の自転車が数メートル進んだ後、不意に乗り手ごと倒れる。発生時刻は午後0時22分。

 千葉・科学警察研究所。
 携帯電話で情報を聞きながら、一条刑事が壁に貼ってある東京近郊の地図に、印をつけていく。数の多さと事件発生時刻の間隔の短さに「こんなに次々と、離れた場所で……」とうめく一条刑事。現在の情報を得られるだけ得ると、一条刑事は電話を切る。

 横でずっと見ていた五代が、待ちかねたように一条刑事に話しかける。「一条さん、気づきました?犯行現場と発生時間」確かめるように、五代が自分の腕時計をチラッと見る。
 一条刑事が五代の方を振り向き「ああ」とうなずく。地図を見ながら五代が言う。「時間はほぼ正確に15分おき」一条刑事もまた地図を見ながら言う。「そして移動範囲は、らせん状に規則的に広がっている」

 そしてごく当たり前に一条刑事は「行くぞ」と五代に声をかけ、五代もごく当たり前に一条刑事について行く。第7号から第13号を倒すまでの間に、より一層チーム感というかバディ感が増している。
 そして二人の会話がどういうことなのかを見て分からせるべく、地図がアップになる。つけられたバツ印が線でつながれていて、その形は渦を巻いて外側へとつながっている。なんて親切!

 まあ、彼女がいるのかと思われるほど、昔より一条刑事の雰囲気が変わったとしたら、昔なら一人で何でも背負い込んでたのに、今なら対等に話せる存在である五代雄介の影響が大きいだろうな……たまに無自覚にいちゃついてるとか、そういうこと言わない(誰も言ってない)。

 公園の中の公衆電話ボックス。
 その中でかなり思いつめた表情をしているミカちゃん。公衆電話の緊急用のボタンを見つめる。やがて受話器を取り、そのボタンを押す。
 呼び出し音が聞こえ、110番につながり、担当の警察官が応答する。

 ミカちゃんが話し始める。「合同捜査本部の人たちに伝えてください。第0号の捜査をすぐに進めてくれないと、あたし……」いったん言葉を切り、唇をかむ。「……死ぬかも!」ミカちゃんはそう言って受話器を乱暴に戻して電話を切ると、電話ボックスを出て、走り去って行く。

 ああ、ミカちゃんよどこへ行く……今、外をウロウロすると、ハチ型のグロンギに狙われちゃうよ!と、ハラハラしながらその5に続きます。

初出:2021年8月19日 2024年5月2日加筆修正
 
 
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