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『仮面ライダークウガ』第2話感想

第2話 変身 (その1)

 第1話、特撮ヒーロー、アクションは大前提として、古代文明、ミステリー、ホラー、刑事もの、バディ物……と、私が子供のころからの大好物がてんこ盛り。放送当時にも即座にハマっていたこと間違いなし。

 冒頭。逆光の中の天使像、教会の建物が映し出される。なんで夜ってだけで、こんなに不気味なのか、BGMのせいかな……と思っていると、屋根にどこからか飛んできたコウモリ型の生命体がへばりつく。屋根への降り方からもう怖い。

 コウモリ型生命体の目線のカメラから、教会の前の駐車場が見える。そこに一台の車が止まる。携帯電話で話しながら車を降りる女性(画面では顔を映さない半身像)と、それを見て、にやりと笑うコウモリ型生命体。その口から、鋭く長い歯がのぞく。ヤダー、もう何が起こるか分かっちゃったよう怖いよう!

 電話でのおしゃべりに夢中の女性。何も気づいてない様子に、何事かを呟くと、屋根の上から飛び立ち、音もなく空から忍び寄るコウモリ型生命体。
 気配を感じて振り返った女性の驚く顔。コウモリ型生命体が降り立つや、あっという間に女性を引き倒す……。ここまで1分かかってない!怖い!

 冒頭1分で被害に遭う女性なのだけど、親しい相手と話している声音や仕草、携帯電話につけているストラップなどで、話を進めるための名もなきモブ扱いではなくなる。この後の話でも、繰り返し未確認生命体に襲われた人たちの存在感を刻むことで、その他の数字でしか表されない被害者たちの重みを思い起こさせる作りは行き届いてると思う。ホラー作品かくあるべし。

 OP。1話・2話では、人間体にならないせいか、クモ型生命体の名前もコウモリ型生命体の名前もテロップにない。つまり、オンタイム放送時にクモ型生命体の名前を知ることができた人は限られたのではなかろうか。クモ型生命体の名前を知るには、東映の公式サイトの仮面ライダー図鑑か、ディアゴスティーニ(以下略)。

 第1話からそうなんだけど、ある場面の初めに時間と場所が字幕で示されるのは、ありがたい。明朝系の字体も、個人的にツボである。たまに時系列が分かりづらい作品の時、視聴者がいちいち考えなければならず、物語に集中できない。クウガの世界でも、場所から場所への移動で、その時間にそこに着くのかどうかといううっすらとした疑問はあるけど、それはまた別の話になるので置いておく。

 一夜明けた、長野市南長野の喫茶店(よく考えたらファミレス?)。持参したノートパソコンでニュースをチェックする桜子さん。〈不発弾処理〉〈クマ出現〉という、別の意味でパンチが効いたワードの並びにさすがの桜子さんも思わず「何それ……!」とツッコむ。

 桜子さんの向かい側の席では、それまで横になっていた五代雄介が、大きなあくびとともにのっそりと起きだし、窓の外の明るさに驚く。その様子に「11時間も寝てたんだから」と若干嫌みっぽく桜子さんが言う。え?桜子さんは徹夜なの?寝不足は美容と知的活動の敵だよ?

 久々によく寝たとあっけらかんと言い、お店の人にメニュー表をお願いする五代。それに対して、寝るどころじゃなかったといい、昨日の出来事を振り返る桜子さん。これによって、第1話で何が起きたか簡潔に説明される。親切。そして確かに寝られない。

 変身できるような体になったこと、戦ったことに対して心配する桜子さんと、死ななかったからいいとあっさり言う五代。そして彼はなぜこのタイミングで塩の味見をしたんだろうな。桜子さんじゃないが気楽すぎる。

 あのまま元の五代の姿に戻らないのではないかと不安だった、と話す桜子さん。自分のことだけを一気にまくしたてず、一つ一つ丁寧に話して、一つ一つ相手の話をきちんと聞く桜子さんは、本当に知的で理性があって、なおかつ真っ当な人間らしい心の動きもあり、五代雄介を良く分かってる人でもある。桜子さんをこういうキャラクターに仕上げたスタッフさん、魅力的に演じた俳優さんは素晴らしい。

 桜子さんに、変身した時の話をする五代。ざっくりした記憶なのだけど、昭和の仮面ライダーたちは改造人間だったりなんだったりで、ベルトも(一応)科学の産物だったりする。
 それに対し、五代が手に入れたのは古代の正体不明のベルトみたいな装飾品で、おまけに生身の体に吸い込まれるという、これまた仕組みが不明なもの。なので変身も「その気になる・ならない」がスイッチになるという、オカルトチックなこの物語ならではの方法である。

 五代は「分かりやすい」と面白がり、メニュー表が来ると何事もなく開いてメニューを見出す。五代が心配な桜子さんが早く東京に帰ろうというと、五代も「早くただの冒険野郎に戻れるといいよね」と返す。

 桜子さんが念を押すように「変身も戦いもしなくていいんでしょ」と言うと、何気なさそうに五代は「好きになれないからね、あの感触は」というものの、「あの感触って?」と問いを重ねる桜子さんに答えず、ただ強くこぶしを握り締めた。

 ここまでで開始3分ほど。情報多いけど、この喫茶店での桜子さんと五代の会話は、桜子さんと五代の関係性、桜子さんと五代それぞれのキャラクターの特徴が出ていて、これから起きるいろいろな事件や出来事で、二人がそれぞれどんな風に変わり、また変わらないかがクウガの見どころの一つ。

 ということで、その2に続きます。良かったらお付き合いください。

初出:2021年7月2日 2024年5月1日加筆修正

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