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『仮面ライダークウガ』第10話感想

第10話 熾烈 (その4)

 午後2時30分近く。文京区・茗荷谷駅前。
 若い女性が、駅から歩いてくる。手にした携帯電話からは呼び出し音が聞こえる。電話はすぐにつながり、「はい、ポレポレです」というおやっさんの声が聞こえる。
 女性はすかさず「あ、おじさん?あんな……」と関西弁で話し始めようとする。おやおや誰かな?

 ポレポレ店内。ニュースを読み上げる男性アナウンサーの声が流れている。
 電話に出たおやっさんは、相手が誰だか気が付いていない様子で、それはそれは早口で、今忙しくて電話に出ていられないなどとまくしたてるや、早々に電話を切ってしまう。客商売なのにいいのかw

 茗荷谷駅前。電話を切られた女性は、何を言っているのかと当然の不満を言い、もう一度電話を掛ける。強い。

 ポレポレ店内。電話が鳴っているが、おやっさんはテレビのニュースに夢中でそれどころではない。椅子に逆向きに座り、背もたれを腕で抱え込むようにして、食い入るようにテレビを見ている。
 ニュースの内容は、第21号ことイカ型グロンギによる事件についてのようで、隅田川に沿って犯行を重ねているという。アイツ、イカ型なのに淡水でも平気なのか?イカ「型」だからいいのか?

 鳴り続ける電話に耐え切れず、受話器を取るや、出前できないといきなり謎のお断りを告げるおやっさん。
 しかし、おやっさんは何故か一瞬固まり、我に返ったようになると「みのりっち?」と問い返す。

 わかば保育園。みのりちゃんが落ち着いた様子で五代は帰ってきたかとおやっさんに尋ねる。

 ポレポレ店内。五代は帰ってきていないが先ほど電話があり、警視庁に行くと言っていたとおやっさんが答える。免許の書き換えかな?とおどけるおやっさん。

 わかば保育園。兄の行き先を聞いたみのりちゃんは、元気よくお礼を言って電話を切る。立ち上がるみのりちゃん。

 午後2時50分過ぎ。警視庁・武道場。
 白の剣道用の面を被った五代雄介が、真っ正面から大きな声で「もう一度お願いします!」と叫ぶ。黒の面を付けた一条刑事が、これ以上ないほど厳しい表情で五代を見据えている。
 何事かと思った時、白と黒の剣道用の防具をそれぞれに身に付けた二人が、竹刀を構えて向かい合っているのを横から見ている構図に変わる。

 一歩、一歩と前に出る一条刑事。同じ分だけ後ずさる五代。先に動いた五代が、面を狙って竹刀を打ち込む。しかし相手は一条刑事である。難なく受け止め、その後は激しい打ち合いの応酬になるが、攻めていたはずの五代は気が付けば守るので精いっぱいの状況に追い込まれている。
 さすがの五代もどうすれば勝てるのかと思い悩む。

 受けてばかりの五代に、遠慮せずに攻めてこいと発破をかける一条刑事。そう言いつつも、打ち込む手を緩めない。それでこそ一条刑事なのだが……あの、攻め返す隙が見当たらないんだけども?
 攻撃を防ぎつつ、「遠慮なんかしてません!」と(もしかしたらキレ気味に)言い返す五代。一条刑事がガンガン打ち込みながら、防御に気を取られすぎているから攻撃がおろそかになる、と五代に助言をする。

 一条刑事の言葉に、五代は「そうか」と気付き、動きを止めて竹刀を下げる。一条刑事の鋭い一撃が、五代の面を打つ。閃きに思いを馳せていたのか、竹刀で強く打たれたせいか、五代の目が真ん丸になっててカワイイ。

 五代の様子に、一条刑事も手を止め、どうしたと声をかける。五代は真っ直ぐな目で「一条さん、オレ、分かりました!」と叫ぶ。問いかけるように見つめる一条刑事。そんな彼に、五代は何があっても攻撃を続けてほしいと頼み込む。

 部道場で打ち合う場面、迫力がスゴイ。色んな事が人間離れしている一条刑事、剣道の腕も相当なモノのはずなので、それを曲がりなりにも受けている五代も五代でヤバい奴である。もしかして、剣道は2000の技の一つに入っているのかな?

 金属製の階段を軽やかに降りてくる、白と黒のハイカットのスニーカー。黒いスパッツ、白い丈長のシャツ、胸元や袖の下で揺れる長いフリンジ……白いとんがり帽子をかぶったアイツ、イカ型グロンギである。

 どこかの設備の地下空間と思しき所。そこには、アジトの倉庫から逃げてきたグロンギたちがいた。事前に打ち合わせていたのか、それこそ臭いでもたどったのか、イカ型グロンギはそこにやって来たのだ。

 グロンギたちがそれぞれにイカ型グロンギに話しかける。イカ型グロンギは片腕を上げ、手首につけたカウント用の飾りを見せつつ成果を報告する。ショートヘアの女性型グロンギはその内容に満足そうに微笑みながらうなずく。ゴーグルのグロンギも「やるじゃないか」みたいな表情を見せる。網シャツの男性型グロンギも「さすがだ」というようにニヤリと笑う。

 ただ一人、第3号だけは苛立たし気に歯をむき出しにして睨みつけている。いや、お前は嫉妬するとか悔しがるとか以前の問題の気がするぞ???
 バラのタトゥの女がイカ型グロンギに顔を向け、静かに微笑む。その場の全員の反応に、イカ型グロンギもまた、自信に満ちた笑みを浮かべる。

 警視庁・武道場。
 五代雄介は、構えを解いて両腕をゆったりと下げ、自然体で立つ。一条刑事が竹刀を構え、五代との間合いを詰める。五代もまた一条刑事との間を詰めるように前へ出てくる。一条刑事の竹刀が五代の面へと振り下ろされる。五代の面を打つ竹刀の音が響く。五代は防御をせず、静かに立っている。

 五代の振る舞いに戸惑い、問うように呼びかけた一条刑事に、五代は真剣な眼差しで「いいんです、続けてください!」と答える。
 一条刑事は竹刀を構え直し、掛け声とともに鋭く五代の面を打つ。五代は悠然と立ったまま、その竹刀を受ける。そして、ゆったりと足を踏み出す。

 五代の言う通り、面に竹刀を打ち込み続ける一条刑事。しかし五代は攻撃など受けていないかのように、ゆっくりと歩を進める。五代が前に出る分だけ、一条刑事が後ろに下がる。先ほどと変わって、攻撃をされている五代の方が優位に立っているように見える。

 後退させられ続けた一条刑事の背中が、とうとう武道場の壁に触れる。五代はその一瞬を逃さず、竹刀の柄を両手で握ると、下段から振り上げて一条刑事の竹刀を勢いよく跳ね上げる。当たった勢いの強さに、一条刑事の手から竹刀が飛ぶ。
 一条刑事が驚いて五代を見る。五代の裂帛の掛け声とともに、強烈な一撃が一条刑事の面に入る。武道場の床に、一条刑事の竹刀が落ちる。

 五代が武道場の床に倒れる。疲労困憊の様子で、倒れ込んだまま荒い息をしている。
 一条刑事は慣れた手つきで素早く面を脱ぐと、五代に「どういうつもりだ」と問いかける。五代と比べたらあまり疲れていないように見える。
 さすが警察官は鍛え方が違う、と感心すべきところなのだろうが、今までが今までだったので「だって一条刑事だしな」で納得してしまう……。

 体を起こし、床に座り直していた五代は面を外し、一条刑事の顔を見上げて答える。「アイツにも、よけずに攻めます!」
 イカ型グロンギの爆撃の強さを知る一条刑事は、五代に「紙一重の戦いだぞ」と念を押す。力強い眼差しで、五代がうなずく。

 警視庁内。一条刑事大好きな女性警官が、みのりちゃんを武道場へと案内している。武道場へと続く扉の前で、みのりちゃんがお礼を言って一礼をする。女性警察官もそれに応じて頭を下げる。
 女性警察官がみのりちゃんを追いかけて呼び止める。振り向いたみのりちゃんに、女性警官はうつむきながらも一条刑事との関係を尋ねる。
 そりゃそうだ、女っ気のない一条刑事を名指ししてくるんだもん。

 みのりちゃんは何の気もない笑顔で「兄がお世話になってまして」と答える。女性警官は「そうなんですか」と答えるものの、本当にそれだけなのかと疑うような表情をする。
 みのりちゃんはもう一度丁寧にお辞儀をしながらお礼を言い、女性警官の前を離れる。女性警官も立ち去ろうとするものの、そっと後ろを振り返る。一条刑事と親し気な女性へのモヤモヤが募り、頬を膨らませる。
 しかし、彼女の真の恋敵は別にいる。それは……皆さんのご想像にお任せしよう。

 グロンギたちは全員脱出に成功し、イカ型グロンギも無事に合流。得意気に成果を見せていましたが、私たちは知っています。それは……死亡フラグだと。
 みのりちゃんも、自分の中のモヤモヤと決着をつけるべく動き出します。
 そして、新たなる恋敵(?)の出現にモヤモヤする女性警察官。
 色々てんこ盛りになったところで、その5に続きます!

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