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『仮面ライダークウガ』第10話感想

第10話 熾烈 (その1)

 第9話はクウガとして戦う兄を心配するみのりちゃんや、グロンギたちに迫る一条刑事たち、そしてクウガの新しい姿の謎と、いつものごとく見どころ満載でした。
 そしてクウガとイカ型グロンギ、その対決の行方は……?

 ということで、第10話本編です。

 第9話の終わりと同じ、水辺の作業所。
 イカ型グロンギに後ろから組み付いた赤いクウガが、その背中に脇腹にと何度も拳を撃ち込む。しかしイカ型グロンギはまるで動じることなく、明らかにバカにしたように鼻で嗤う。攻撃が効いていない様子に逆にクウガの方が動揺する。

 イカ型グロンギが割と長めにグロンギ語で語る。きっと「お前の力はこの程度か」とか「オレ様に勝てると思ってるのか」とかそんなことを言ったに違いない(当てずっぽう)。というか言っててくれ。

 いきなり後ろ向きのまま、イカ型グロンギがしがみついたクウガごと勢いよく後ずさりする。積み上げてあった段ボールやら何やらの山を突き抜け、作業所の屋根の支柱にクウガを押しつける。支柱に取り付けてあったコンセントらしきものから、ぶつかった衝撃で火花が上がる。

 支柱にぶつけられたクウガの体が一瞬強張る。その瞬間、くるりとクウガに向き直ったイカ型グロンギが右手でクウガののど元を締め付ける。クウガを振り回すようにしてまた体の向きを変えると、左手でクウガの胸元を拳で突き上げる。宙に舞い上がるクウガの体。うわあああという叫び声と共に、クウガが先ほど突き破って崩れた段ボールなどの上に落下する。

 イカ型グロンギが口元に手をかざし、口から黒くて丸い物を飛ばす。それはクウガには直撃しなかったものの、クウガの周囲に着弾するや、そこここで爆発して炎を上げる。その衝撃に前へと倒れ込むクウガ。見た目よりもダメージは重いようで、クウガは起き上がることができない。
 どう聞いても「とどめだ」としか聞こえない言葉をつぶやき、近づいて来るイカ型グロンギ。危うしクウガ!

 イカ型グロンギが立ち止まり、最後の一撃を放つべく口元に手をかざす。絶体絶命の危機に、這いつくばりながらも身構えるクウガ。
 しかしその時、イカ型グロンギのシックスパックな腹部の左右に、いくつもの横向きのスリットが開き、そこから勢いよく白い煙が噴き出した!

 するとイカ型グロンギは誰が何と言おうと「命拾いしたな」としか聞こえないグロンギ語を吐き捨て、クウガの前を全速力で離れる。体を起こしてその行方を見るのがやっとのクウガ。
 勢いよく水の中に飛び込んでいくイカ型グロンギ。予想外の展開に荒い 息をつきながら「どうして⁉」と思わず問いかけるクウガ。

OP。やっぱりバラのタトゥの女以外のグロンギの名前はない。

 午後1時過ぎ。品川区内・倉庫が建ち並ぶ区画。
 どうにもこうにも見覚えがある倉庫の前に、駐車しているパトカー。その車内から刑事と思しき人影が降り立つ。

 その見覚えがある倉庫の向かい側、別の倉庫の陰から銃を構えて様子をうかがう桜井刑事。そのそばに警察官がつく。少し離れた所には、1台のパトカーと、無線で連絡を取っている警察官。その横に柴崎訓練士とミカド号が座って控えている。

 さらにそこに1台の覆面パトカーが静かにやって来て停まる。乗っていたのはもちろん一条刑事で、パトカーから降りると柴崎訓練士の元へ駆け寄り、お疲れ様です、と声を掛けてスッとしゃがみ込む。「よくやってくれた」とミカド号の頭をなでる一条刑事。

 柴崎訓練士が誇らしげに微笑みながら「頑張って訓練した甲斐があったな」と、ミカド号に語りかける。一条刑事も優しい笑顔でミカド号を見ている。褒められてうれしそうに見えるミカド号がカワイイ。
 ホントだよ、よく頑張ったよミカド号。

 一条刑事が立ち上がり、桜井刑事に近づいて状況を尋ねる。今は対グロンギ用の爆弾を待っていること、昨日から行方不明だった倉庫の社長がこの場所の裏手で遺体で発見されたことを桜井刑事が報告する。一条刑事の表情が一瞬だけ変わる。桜井刑事は、恐らく倉庫の中にいるであろうグロンギたちに殺害されたのではと推論を語る。
 油断なく、わずかにシャッターが開いた倉庫の入り口を見つめる一条刑事と桜井刑事。

 第9話で倉庫に来た男性、やはり殺されてしまったのか……合掌。グロンギの人類への容赦のなさと、「そういえばあの時のあの人どうなった?」をきちんと解決する作劇に、改めて恐れを感じるばかりです。

 水辺の作業場。五代雄介が倒れていたトライチェイサーをゆっくりと引き起こす。地面に落ちていたヘルメットと右側のグリップを拾う。右側のグリップをひねりながら差し込むとキュイーンという高い音が鳴り、トライチェイサーが起動する。すぐさま無線の音声が流れる。どうやら包囲作戦が進行中のようだ。
 五代はヘルメットをかぶり、トライチェイサーにまたがると、颯爽と走り出すのだった。

 品川区内の倉庫前。さらにワンボックスカーの警察車両が到着する。杉田刑事がアタッシュケースを手に降りてくる。一条刑事と桜井刑事に空いている方の手をあげてあいさつしながら、二人に駆け寄って来る。カッケェ。
 遅れてすまん、と詫びる杉田刑事。専用防護服の到着が遅れたと理由を話す。杉田刑事の言葉に合わせ、ワンボックスカーから防護服を着た刑事たちが降りてくる映像が流れる。時間の省略の仕方がうまい。もう何度褒めればいいのか。

 「これで奴らがいなかったらシャレにならんぞ」と言う杉田刑事に、ムッとした顔で柴崎訓練士が「います!絶対に」と反論する。
 一条刑事たちが一斉に振り返る。杉田刑事はバツが悪そうに「こりゃ、失敬」と謝る。
 三人が顔を見合わせる。桜井刑事が「でも、不気味なくらい静かですね」と倉庫に視線を送る。

 倉庫の中。赤い照明の中で、ゴーグルのグロンギがグロンギ語で中にいるグロンギたちに語りかける。最初に「リント」と言っているので、人間どもに見つかったらしいみたいなことを言ってるのだろう。多分。
 網シャツのグロンギが険しい顔で短く話す。最初の一言が「何故だ?」にしか聞こえないので、続けて「どうして見つかった?」と言ってることにする。最後に短く話しながら、まるで誰かの判断を仰ぐように視線を向ける。

 歩み出たバラのタトゥの女は、一言グロンギ語を口にした。それはサイ型グロンギに向けられたもののようだが、彼女は彼には目もくれないまま、無表情で語りかける。彼女の初めの一言に、サイ型グロンギが「何だと?」としか聞こえないグロンギ語で問い返す。
 バラのタトゥの女は構わず話し続ける。彼女が話し終わるとサイ型グロンギが下を向いて自分の臭いを嗅いでいたので、多分「お前から発する臭いでリントがゾロゾロやって来た。お前の責任だ」みたいな感じで叱られたのだろう。

 バラのタトゥの女がサイ型グロンギのそばから立ち去るのと入れ替わりに、第3号がサイ型グロンギの死角から現れ、小馬鹿にした笑い声を立てながら、これ見よがしに胸から腹にかけて体をかがめながらスンスンと臭いをかぐ。やがて体を起こした第3号は、サイ型グロンギと目を合わせると、ニヤリと笑う。お前、根性悪いぞ。
 当然むかっ腹が立ったサイ型グロンギは、怒声を発して第3号の首根っこの辺りをグイっと押しやる。押された第3号は勢いに負け、ショートカットの女性体グロンギの横までよろめいてしまう。自業自得だ。

 サイ型グロンギが興奮した様子でグロンギたちが何かを記録しているらしいボードを手に取り、睨み据えながら叫ぶ。流れから察するに「リントはみな殺しだ」みたいなことを言ったのだろう。
 ショートカットのグロンギがボードに手をかけ、サイ型グロンギに「何する気だ、バカ!」的な言葉をかける。しかし、サイ型グロンギがたくましい体つきにふさわしい力でボードを奪われまいと自分の方に引き寄せる。ボードを引き寄せ合う2体。成り行きを見守る第3号。お前、相変わらず卑怯……(だがしかし、それでこそ我らが第3号!)

 熾烈な爆撃と防御に優れた体になす術無かったクウガ。それなのにとどめを刺すのをやめ、イカ型グロンギは何故去って行ったのか?
 グロンギたちのアジトを突き止めた警察の突入作戦は成功するのか⁉そして、五代雄介は警察の突入作戦に間に合うのか?
 様々な謎が生まれたところで、その2に続きます!

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