FX戦略検討~プライスアクションその2
たけパパです。
前回に引き続き、1時間足の高値安値が上位足の高値安値となる場合のバーの形について考察していきます。
記事の記載内容には十分注意しておりますが、誤記や認識間違い等あるかもしれませんのでご容赦ください。また、投資助言や勧誘にあたるものではありません。本記事の内容に基づいた投資結果については、一切の責任は負わないものとします。投資は自己の判断のもと、自己責任でお願い致します。
高値と上髭長さの関係
主要28通貨ペアで、2007年1月1日~2024年11月1日までの18年弱の期間で、1時間足、4時間足、日足、週足の高値に対し、100MAで規格化した上髭の長さの分布をプロットしました。分かりやすいようにヒストグラムの面積が同じになるように規格化しています。上髭が長いほど、上位足の高値となる確率が高いことが分かります。
1時間足の高値が4時間足、日足、週足の高値になる確率を上髭の長さに対してプロットしたのが下のグラフです。上髭が長くなるほど、上位足の高値になる確率が高まっていることがはっきりと分かります。
スパイクハイのプライスアクションを定量化できたといえるでしょう。
平均的な上髭の長さ(median)は0.0006~0.0008程度であるので、ざっくりですが0.0006のbinを基準として規格化してみましょう。
上髭の長さが0.0006の時に1時間足高値が日足の高値になる確率を1とすると、例えば上髭の長さが0.003の時に日足の高値になる確率は3倍以上、週足の高値になる確率は4~5倍高いことが分かります。
気を付ける必要があるのは、長い上髭・下髭が発生した場合、確かにその高値・安値が上位足の高値・安値となる確率が高いのですが、髭の長さが確定した終値の段階でかなり値が戻ってきてしまったことを意味するので、そこでエントリーしても優位性が得られない可能性がある点です。
戦略の検証
では、実際に上記の戦略でトレードして優位性が得られるのか、バックテストで試してみましょう。
エントリーポイントの直近の高値・安値の髭の長さから、ロット数を上の相対確率のグラフに従って算出するようにしてみました。まだ上髭の分析しかしていませんが、ひとまず下髭にも同じグラフで調整をかけてみましょう。
単純に上のグラフで計算してしまうとトータルのロット数が増えてしまうので、上髭長さの頻度分布を対数正規分布で、相対確率を多項式で近似したうえで、総ロット数が変わらないように適切なファクターを掛けています。
結果を見てみましょう。
一番左のベース戦略に比べて、髭が長いほどロット数を増やす戦略では合計利益が大幅に伸びています。さらに、ドローダウンの増加よりも利益の増加の方が大きいため、ゲインペインレシオも改善していますね。
プライスアクションすげぇ。
ただ残念なのは、最大必要証拠金が特に週足で大幅に増えているため、資金効率が悪くなっていることです。総利益が増えても、必要証拠金も多いため年次リターンが小さくなってしまいました。
平均的なロット数は一定になるように調整しているので、一時的に総ロットが増えている可能性があります。証拠金の推移を見てみましょう。
証拠金の推移をみると、平均的には100万円強で、200万円を下回っている期間が多いのですが、時折スパイク的に証拠金が積み上がり、1000万円以上の証拠金が必要になる時期があることが分かりました。
証拠金が多い時期で利益が伸びることも多少はありそうですが、一番証拠金が積みあがっている時期はあまり利益に貢献していないようです。
ここではやや恣意的ですが、証拠金が300万円を超えている場合には新たなトレードをやめるようにして結果を見てみます。
恣意的に設定しているので当たり前と言えば当たり前ですが、最大証拠金を抑えながら、利益はそこまで減っていません。
最大ドローダウンがベース戦略からかなり大きくなっているのはいただけませんが、ゲインペインレシオは改善しており、証拠金に対する年次リターンも30%を保っています。
戦略としてはかなり有望と言えそうです。
まとめ
28通貨ペアを使って上髭の長さと上位足の高値となる確率の関係性を算出し、エントリー時の髭が長いほどロットを増やすという戦略を試してみました。まだまだ改善の余地はありますが、これだけでもかなり損益が改善する結果となりました。
今後は髭の長さだけでないローソク足の形状に対する考察や、損切を小さくする方向での検討もしてみたいと思います。
今回の記事は以上です。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。