《全文掲載》白瀬ゆり先生に聞く*ヴァイオリン再開術
※初出について:この記事はTaKE NOTEs.0号に掲載した記事です。(一部修正有)
子どもの頃、学生時代に弾いていたヴァイオリンを久しぶりに再開させたい。そういう方も多いはず。そういうとき、どのようなことに気をつけるとスムーズに再開することができるか。ヴァイオリン指導者の白瀬ゆり先生にそのコツを聞きました。
略歴
●しらせ・ゆり 国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒。多田正子、田中千香士に師事。在学中よりフリーで演奏活動、指導を行い現在に至る。白瀬ヴァイオリン教室主宰。1991年より東京・杉並区の私立幼稚園にて「楽器遊び」を指導している。
まずは楽器の状態を確かめよう
かつて習っていたヴァイオリンを久しぶりに再開するとき、まずは自宅で保管している以前弾いていた楽器のことを考えると思います。
楽器を手放してしまった方は、レンタルや購入を考えなければなりませんし、早い段階でやめてしまって手元にあるヴァイオリンが分数楽器の場合は買い換える必要があります。その場合は、師事する先生に相談すると良いでしょう。
注意が必要なのは先に挙げたご自宅で保管していた楽器を再度弾き始める場合です。ヴァイオリン経験者であれば、弾き始める前に弦を張り替えて、弓の毛替えをする、ということに考えが行き着くと思います。しかし、それだけでは準備が不十分。長年眠っていた楽器は傷みが生じていることが多く、そのままの状態で弾き続けてしまうと、その状況を更に悪化させてしまうこともあります。ですので、弾き始める前に弦楽器を取り扱っている楽器店に、まずは調整に出してください。
傷みの例としては、弦の圧力で駒が歪んでしまっていたり、指板が下がっていたり、板の剥がれなどが挙げられます。
魂柱が痩せていたり、ずれていたり、見た目には分からない傷みが生じていることもあります。
私がこれまでに遭遇した中には、子どもの頃に弾いていたときの癖が影響して弓が曲がってしまっていた、という例もありました。それから、弓を緩めずに張ったまま放置し、湾曲がなくなっていた、という例も。
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