氷室開きの話
こんちゃ。小石川です。
六月の気合が入りすぎてます。
毎年毎年「今年の夏の暑さは異常です。」ってニュースを耳にします。今年も例外でなく。
でもさ、まだ六月よ?暦の上では夏だけどさ。うん、分かるよ、夏至だったしね。夏に至るって漢字なんだからまあ「もう夏だよ!」って言いたい気持ちも分かるよ。
いやね、違うのよ。六月氏。急に来られても僕ら対応できないのよ。大抵の人間は梅雨入り→夏至→梅雨明け→夏→猛暑!!のサイクルにもう仕上がってんのよ。
はい、質問です。六月君の担当は?
そう、梅雨入り→夏至だよね。うん、うん。
先輩方の仕事までやっちゃってるのよ。しかもゲシモウショッ!!!くらいのスピード感なのよ。「あ、先輩!先にやっときました!!」じゃないのよ。「自分夏も行けます!!」じゃないのよ。シフト制じゃないのよ。そんなことしたら先輩方も頑張っちゃうんだから。熱くてしょうがないんだからあの人たち。先輩たちも自分の担当は自分たちでやってくれないとさ。「六月~残業お願いしてもいいかな?」はダメなのよ。
今まで何とか耐えてこれたのは六月君が徐々に僕らの体を夏モードにしてってくれるからなのよ。あいにく僕らの体まだ梅雨モードなのよ。ね?そんな時に猛暑!!(イントネーションは勝訴と同じく)って突きつけられるとどうなるかな?
・・・
違う!!!!こんな話をしたいんじゃない!!!
失礼しました。ゴホン、本日は6/30日。なんの日か分かりますか?
そう、氷室開きです!!!
と、自信満々に叫んだわけですが金沢で暮らし始めて三年目、恥ずかしながら今日初めて意味を知りました。小石川、失態。
そもそも氷室ってなんじゃいっていう話ですわな。簡単に言うと「氷を保存しておくための小屋」です。
何のためにってか?今から説明しますんでね。←こういう受け答えをする先生は苦手でした。
まずですね、氷作るのってめちゃくちゃ大変なんですよ。今だったら冷凍庫でギャンッてやればすぐですが、もっと昔の話です。せっかく作っても暑いとこに置いとくとすぐ溶けちゃいますしね。だから夏に氷を手に入れるなんてことはほぼほぼ不可能だったんです。
だけど偉い人ってのは無いものを欲しがるんでしょうね。
「ああ~暑い暑い、ひんやり涼みたいものじゃのう」
『さすれば水浴びなどいかがでしょうかっ?』
「あのように温い水など涼んだ気にならんわっ!・・・ああ、そういえば~氷というものがあるそうじゃのう。のう?」
『ですが殿っ、このような暑い中で氷などはとても・・・』
「のう?」
『・・・』
「そういえば~娘が生まれたそうじゃのう?」
『すぐにご用意いたします』
こうして夏に氷が必要になったわけです。(多分違う)
しかし電力が無い時代に氷を作るなんてできません。ってなると「どこかから取ってくる」必要があるわけです。日本の中で一年中氷点下のところを探してそこから氷を取ってくる。現実的じゃないですよね。
それじゃあどうしたらいいか。
冬の間に出来た氷を夏まで保存しておけばいいんだ!
こういう発想なわけです。ってなると冬に雪が多く降る金沢に氷室の文化が出来たのも納得ですな。
しかし、いくら涼しいところでも年中氷点下なんて場所はほとんどありません。冬にせっせと氷室に運んだ雪も大部分が溶けてしまいます。つまり夏に手に入る氷は非常に少ないんですな。
その氷は誰が欲しがるの??
当然さっきの偉い人たちです。というか偉い人達しか氷なんか手に入れられなかったんです。それだけ貴重だったので。
要するに、
夏に氷室を開けてお殿様に氷を献上する。
これが氷室開きなわけですな。江戸時代なんかは加賀藩は氷を江戸幕府に献上してたらしいですよ。どんだけすげえんだよ氷。というか江戸に着くまでに溶け切らないか心配ですけどね。そしたら水だもんな。なんなら去年の冬の水だもんな。処されるぜ多分。
長々話してきましたが、この氷室開きって庶民の生活にも影響を与えてるんです。その一つが「氷室饅頭」ですね。まあ文字通りお饅頭なんですが、実は氷室饅頭って「氷室開きの日に売られるお饅頭」なんです。今でいうと超限定商品。
さっきも言った通り、夏=暑い→涼みたい→氷が欲しいっていう流れで氷室開きの文化が出来上がりました。しかし当然庶民には氷なんて手に入りません。でも庶民の人たちも暑いんですよ。夏は。多分。偉い人たちだけ暑かったらそれはそれで面白いけど。
暑いけど氷は手に入らない。じゃあ氷無しでどうやって夏を乗り切ろうか?ってなった時に作られたのが「氷室饅頭」だったんですね。夏場に必要なエネルギーが含まれているので甘味よりも塩味の方が強いそうですよ。
夏本番が始まる前に氷室饅頭を食べて夏が来ることを意識する。
そんな文化が習慣として残っているのかもしれませんね。
分かったかよ六月ぅぅぅぅうう!!!!!????
期間限定だった氷室饅頭も、今は一年中買えるようです。大体の氷室饅頭が甘いお饅頭になったそうですが、今も伝統的なレシピでつくっているお店もあるみたいですよ。とりあえず大学帰りに和菓子屋さんに寄ろうと思います。
そいじゃ次の記事でお会いいたしましょう
ではまた!
いただけたら牛丼に半熟卵とかを躊躇なくつけます。感謝の気持ちと共に。