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インソムニア①〜夏の終わり、恋の終わり〜
ちかちかと赤い火花を散らして線香花火がゆっくり燃え尽きようとしてた。
夏の終わりを感じさせる、肌寒い風がボクらの間を通り抜けてゆく。
ボクは息を殺して、線香花火に照らされ赤く色付く友里香を眺める。
友里香はうつむいたまま、線香花火の先端を見つめていた。
何を考えているの?
ボクはその言葉を飲み込む。
線香花火が、ボクらの関係の終わりを暗示しているような気がして、やるせない想いを抱えたまま・・・
晴れ渡った夜空には無数の星が輝いていた。
明日はきっと晴れだろう。
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線香花火を持つ、友里香の髪が風なびいて、ボクと同じシャンプーの匂いがした。
二人歩んできた短いけど、濃厚な時間をボクは思い出す。
5月くらいから、友里香とは付かず離れずの距離が続いていた。友里香にオトコの影を感じたコトもあったし、
ボクにもそういう関係の女の子はいたけれど、
二人そこには触れようとせず、寂しさを埋めあうように抱き合った。
「私たちって、体の相性がいいと思う・・・」
いつだったか、友里香は飲みながらそんなことを言った。
ボクも、言葉にこそださなかったけれど、その“相性”ってのにはすごく賛成だった。
明らかにボクと友里香は「カラダの相性」がイイ。
何でも、ボクのモノが挿入されると、友里香は体中のありとあらゆる性感帯が快感を覚えるのだという。
特に、正上位でゆっくり動いた時の、ボクのモノの付け根の骨が、友里香の一番気持ちのイイ部分を刺激するからだ、と言って友里香は笑った。
ボクも友里香の性技にはメロメロだったし、何よりボクらは良く、「イク」タイミングが合った。
友里香が短く痙攣を始める頃にボクは果て、友里香の中で波打つボクのモノが友里香を絶頂に導いた。
「何でこんな、飽きないんだろ・・・」
裸のまま、友里香はタバコを吸ってはよくそんなことを言った。
ボクは何も答えない。
いや、答えられない。
だからこそ、微妙な距離でここまでやってこれたんだと思う。
どちらかの質問に答え合わせをしてしまった瞬間、ボクらの関係も終わってしまうような気がして怖かった。
触れてはいけない、とても大切なものを抱きかかえたまま、ボクらは夏を迎え、秋の足音を聞いていた。
ボクの仕事が忙しくなって、友里香からオトコの影が消えた頃から、
ボクらの微妙な距離はその不安定な距離を保てなくなっていくのだけれど・・・
【続く】