食ったり食われたり
最近、TikTokで鳥の子育ての様子を何気なく見ることがある。
TikTokは問題として記事になることもあるけれども、単純に風景や自然、動物の動画も多い。そうした動画をぼーっと見ているからおすすめにも類似の動画が表示されてくる。
そうすると、鳥の巣の中を撮影している動画が流れてくる。親鳥が虫や蛙など色々な生き物を捕まえてきては、巣に運んでくる。雛鳥はじっと眠っているような様子だったのに、親鳥が帰ってくると口を大きくあけて食事をねだりだし、親鳥は雛鳥の口に食事を入れている。雛鳥はだいたいすぐに糞を出す。親鳥はその糞を食べたり、たまにくちばしにくわえたまま飛び去り、また次の食事を探しに行く。
自分も子育てをしている身ということもあるからだろう。かいがいしく子育てをしている親鳥たちを見ていると、そちらも同じですなぁと何か共感のようなものを感じる。また、一生懸命口をあけている雛鳥は、お乳を求め必死に母乳を飲む赤ん坊のようにも見え、これもまた愛らしく感じたりする。
いつものように散歩をしながら写真を撮っていると、ちょうど地面から地上に迷い出てしまったミミズを見かけた。おやおやと思いながら、何とも言えないあの体の伸縮で移動する動きを眺めていた。
その時、あの親鳥が雛鳥に食事を運んでいる動画が頭に浮かんだ。ミミズにしてみれば食べられてしまう恐怖シーンだろう。実際、恐怖を感じているかどうかはわからないけれど。
かと言って、ミミズを可愛そうだと地面の中に帰るのを手伝ってやれば、親鳥から食事を奪うことにもなり、雛鳥はミミズを食べることができず腹を空かして泣いたままだろう。
食ったり食われたり。
私は何もできず、伸縮を繰り返している目の前の生き物をただ眺めているしかなかった。