「京都大学アカデミックデイ2022」見聞録04:23.原子核を活用した超精密な分析と応用
2022年06月19日、私は「京都大学アカデミックデイ2022〜創立125周年記念〜」(以下「アカデミックデイ2022」、ロームシアター京都にて開催)に一般客として参加した([1])。
「アカデミックデイ2022」内の「ノース6 原子核を活用した超精密な分析と応用」で、北尾真司 複合原子力科学研究所 准教授(以下敬称略)らは、原子核と放射線、ならびに、原子核を活用した超精密な分析と応用に関する最新研究を解説した(図23.01,[2],[3],[4])。
また、北尾らは、分子模型(図23.02)、原子核のイメージ模型(図23.03)、格子振動の模型(図23.04)、日立アロカメディカル株式会社 GM管式サーベイメータ、および、無害な低線量放射性物質(図23.05)を展示した。
一方、「京都大学 宇治キャンパス公開2022」([5])で、京都大学 大学院 工学研究科 原子核工学専攻 量子ビーム科学(3-1)加速器グループは「公開ラボ 5)放射線を見る」で、株式会社 島津理化 高温拡散型霧箱 WH-20とランタン用マントルを用いて、マントル内のトリウムとトリウムから作られた様々な原子核から飛び出してくるα(アルファ)線の飛跡を提示した(図23.06,[6],[7],[8]))。
なお、放射線を知るためには最初に科学そのものを知る必要がある。ここで、放射線やその元となる科学を知るために必須な文献を以下に示す。
1.左巻健男 編著.新しい科学の教科書 I 現代人のための中学理科 第3版.第3版 第2刷,株式会社 文一総合出版,2014年04月10日,316 p.
2.左巻健男 編著.新しい科学の教科書 II 現代人のための中学理科 第3版.第3版 第1刷,株式会社 文一総合出版,2012年01月31日,312 p.
3.左巻健男 編著.新しい科学の教科書 III 現代人のための中学理科 第3版.第3版 第2刷,株式会社 文一総合出版,2014年04月10日,320 p.
これらの書籍は中学生向けであるが、年齢を問わず、科学の初学者にはお勧めの良書である。
とりあえずは、これらの本を読んで、自然科学の基礎知識を学ぶべし。
4.若林文高 監修.元素のすべてがわかる図鑑:世界をつくる118元素をひもとく.初版 第6刷,株式会社 ナツメ社,2018年09月10日,256 p.
本著は元素、元素を使用した身近な製品、および、最新の話題や研究などを詳細に解説している。まさに、元素に関する名著の1つである。
放射線や放射能を理解する前には、まず元素を必ず理解する必要があるからね。
5.齋藤勝裕 著.生きて動いている「化学」がわかる.初版,有限会社 ベレ出版,2013年12月25日,272p.(BERET SCIENCE).
本書は、「化学の基本部分」を分かりやすく解説しているだけでなく、化学と産業の関わりを簡潔かつ詳細に記載している。
本著から、水素燃料電池は「意外と使えない」ことを知った。その一方で、元素戦略プロジェクトの重要性を痛感した。
6.早稲田大学 本庄高等学院 実験開発班 著.魅了する科学実験.第1刷,株式会社 すばる舎,2015年08月24日,208 p.
7.早稲田大学 本庄高等学院 実験開発班 著.魅了する科学実験2.第1刷,株式会社 すばる舎,2018年05月28日,176 p.
これらの書籍は、まさに素晴らしい科学実験集である。
これらの科学実験は読むだけでも十分楽しい。実際に実験したら、更に楽しいだけでなく、科学の面白さ、リスク、そして、リスク管理も知ることができる。但し、これらの科学実験は、十分に経験を積んでいる人と一緒に行うように!
8.菊池誠 著,小峰公子 著,おかざき真里 絵とマンガ.いちから聞きたい放射線のほんとう:いま知っておきたい22の話.初版 第1刷,株式会社 筑摩書房,2014年03月15日,200 p.
本著はまさに、放射線・放射能の「ほ」の字も知らない素人や何となく放射線・放射能に不安を抱いている人にも詳しく理解できるように、これらに関することが記載されている。まさに、最高の書籍である。「これ中学校の教科書にした方がいいよ。ニッポンの場合。マジで。いやホント。」と、しりあがり寿が言ったが、私は小学生から読ませるべきだと思っている。
9.日本アイソトープ協会 編.改訂版 放射線のABC.改訂版 第1刷,丸善出版株式会社,2011年03月22日,100 p.
本著は初学者向けで、放射線に関して簡潔にまとめている。ページ数が少ないので、片手間でも読んでおく方がよい。
10.児玉一八 著.図解 身近にあふれる「放射線」が3時間でわかる本.初版,有限会社 明日香出版社,2020年02月27日,328 p.
本著は、放射線などに関する基礎知識を簡潔かつ詳細に記載している。また、写真、図、および、表は、非常にわかりやすい。
放射線に関する事柄を知るためには、必読である。
11.藤高和信 著.基本を知る 放射能と放射線.株式会社 誠文堂新光社,2011年07月29日,143 p.
本著は、放射線や放射能に関する初学者向けの本である。
12.多田順一郎 著.放射線・放射能がよくわかる本.第1版 第1刷,株式会社 オーム社,2011年07月10日,176 p.
13.多田順一郎 著.疑問が解ける 放射線・放射能の本.第1版 第1刷,株式会社 オーム社,2014年03月10日,151 p.
いずれの書籍は上級者向けで、8~11を読破した人こそ、読むべきである。放射線・放射能に関することが、詳細に記載されている。
14.藥袋佳孝 著,谷田貝文夫 著.今知りたい放射線と放射能 ―人体への影響と環境でのふるまい―.第1版 第1刷,株式会社 オーム社,2011年12月25日,264 p.
本著は放射線の生物学的影響、特に人体に対するそれを懇切丁寧に解説している。
それ故、その内容を完全に理解するためには、時間を要する。しかし、完全に理解すれば、放射線・放射能デマにはそう簡単に惑わされない。
15.大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK).“暮らしの中の放射線”.KEK 放射線科学センター ホームページ.一般の方へ.https://rcwww.kek.jp/public/kurasi/,(参照2022年12月13日).
本ページは初学者向けで、放射線に関して簡潔にまとめている。
16.国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構.“原子力百科事典 ATOMICA ホームページ”.https://atomica.jaea.go.jp/index.html,(参照2022年12月13日).
原子力に関連する幅広い情報を得る際に、非常に役に立つ。
17.環境省.“放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和3年度版、 HTML形式)”.環境省 ホームページ.政策分野・行政活動.政策分野一覧.保健・化学物質対策.放射線健康管理対策.放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料の作成.放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和3年度版)の掲載について(お知らせ).https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r3kisoshiryo/r3kisoshiryohtml.html,(参照2022年12月13日).
本資料は放射線の基礎知識と健康影響に関する科学的な知見や関係省庁の取組に関して、1項目につき1ページでまとめている。
なお、本資料はPDFファイルを、以下のサイトで一括ダウンロード可能。ただし、各ファイルは非常に読み応えがある。
環境省.“放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和3年度版)の掲載について(お知らせ)”.環境省 ホームページ.政策.政策分野一覧.保健・化学物質対策.放射線健康管理.https://www.env.go.jp/chemi/rhm/r3kisoshiryo.html,(参照2022年12月13日).
参考記事
参考文献
[1] 国立大学法人 京都大学.“アカデミックデイ2022”.K.U.RESEARCH ホームページ.アカデミックデイ.https://research.kyoto-u.ac.jp/academic-day/a2022/,(参照2022年12月13日).
[2] 国立大学法人 京都大学 複合原子力科学研究所 粒子線基礎物性研究部門.“最近の主な研究成果”.核放射物理学研究室 ホームページ.研究.https://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NRP/research/results.htm,(参照2022年12月13日).
[3] 国立大学法人 京都大学.“原子核を活用した超精密な分析と応用”.K.U.RESEARCH ホームページ.アカデミックデイ.アカデミックデイ2022.https://research.kyoto-u.ac.jp/academic-day/a2022/a2022-p023/,(参照2022年12月13日).
[4] 国立大学法人 京都大学.“2022_24_poster.pdf”.京都大学学術情報リポジトリ KURENAI ホームページ.900 京都大学シンポジウム・公開講座等.アカデミックデイ.アカデミックデイ2022.ポスター/展示.原子核を活用した超精密な分析と応用.2022年06月19日.https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/275950/1/2022_24_poster.pdf,(参照2022年12月13日).
[5] 国立大学法人 京都大学.“京都大学 宇治キャンパス公開2022 ホームページ”.https://www.jimu.uji.kyoto-u.ac.jp/open-campus/2022/index.html,(参照2022年12月13日).
[6] 国立大学法人 京都大学.“公開ラボ”.京都大学 宇治キャンパス公開2022 ホームページ.https://www.jimu.uji.kyoto-u.ac.jp/open-campus/2022/publiclab.html,(参照2022年12月13日).
[7] 国立大学法人 京都大学 大学院 工学研究科 原子核工学専攻 量子ビーム科学(3-1)加速器グループ.“加速器グループ ホームページ”.http://www.nucleng.kyoto-u.ac.jp/Groups/Gr3/index.html,(参照2022年12月13日).
[8] 国立大学法人 京都大学 複合原子力科学研究所.“京都大学原子炉実験所 アトムサイエンスフェア 実験教室B 放射線を見る道具を作る(霧箱を使った放射線の観察)”.アトムサイエンスフェア トップページ.実験教室.実験教室 開催履歴.第16回.アトムサイエンスフェア 実験教室2017.飛行機雲を作ろう! 拡散霧箱実験.http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/public/atoms/JIKKEN/kiribako/KiriBako.pdf,(参照2022年12月13日).