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3-5 シュレーディンガー方程式で化学を語ろう(量子系分子科学研究チーム):理化学研究所 神戸地区 一般公開2023 R-CCS わくわく「富岳」 その06

2023年11月03日、私は理化学研究所 神戸地区(以下神戸地区) 計算科学研究センター(RIKEN Center for Computational Science:R-CCS)を訪れ、一般客として理化学研究所 神戸地区 一般公開2023 わくわく「富岳」(以下「わくわく富岳」,[1][2])に参加した。なお、神戸地区 一般公開は、神戸医療産業都市 一般公開2023の一環でもある([3])。


「3-5 シュレーディンガー方程式で化学を語ろう(量子系分子科学研究チーム)」で、量子系分子科学研究チーム(以下同チーム,[4][5][6])は、ポスター「シュレーディンガー方程式で化学を語ろう」(図06.01)で、同チームの目標・研究、ならびに、量子力学、水素原子のエネルギー、および、分子構造とエネルギーの関係を紹介した。

同チームの具体的な達成目標は、次世代分子理論に基づいた理論分子科学の展開、超並列計算機環境に資する分子科学計算ソフトウェアの開発と提供、ならびに、ハイスループット・コンピューティングによる新材料設計の3点である。

同チームの研究内容は、独自の分子理論の開発と量子化学ソフトウェア 「NTChem」である。

図06.01.ポスター「シュレーディンガー方程式で化学を語ろう」。


同チームは、調和振動子のシュレーディンガー方程式の解と二酸化炭素分子のコンピュータ グラフィックス(computer graphics:CG)を展示した(図06.02,[7])。

図06.02.向かって左から、ホワイトボード「調和振動子のシュレーディンガー方程式の解」と二酸化炭素分子のCG。


有機無機ペロブスカイトは次世代の太陽電池・発光デバイス材料として注目されている。しかし、光を照射することで組成や構造が変化するなど、化学的安定性の向上が課題である。

2021年10月19日、神戸大学分子フォトサイエンス研究センターの立川貴士准教授のグループと、国立研究開発法人物質・材料研究機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の冨中悟史主幹研究員を中心とする研究チームは、複数種のハロゲン化物イオンを含むペロブスカイトを対象に、光照射による発光特性の変化がサブオングストローム(Å)レベルのごく僅かな結晶構造の変化によって起こることを見出したことを発表した。また、この構造変化は、結晶表面の格子欠陥を不活性化することで抑制できることが分かった。これらにより、様々なハロゲン組成を有するペロブスカイトを用いたデバイスの応用開発が進むことが期待される。

本研究は、理化学研究所計算科学研究センターの中嶋隆人同チーム チームリーダー、松岡貴英特別研究員、高輝度光科学研究センターの尾原幸治主幹研究員らとの共同研究であり、この成果は令和03年10月12日(現地時間)に米国化学会誌「ACS Energy Letters」のオンライン版で公開された([8])。

 

私自身はもともと量子力学やシュレーディンガー方程式に関心があるが、この研究紹介でさらに関心が強くなった。とはいえ、量子力学やシュレーディンガー方程式は非常に難しい。


参考文献

[1] 国立研究開発法人 理化学研究所 神戸事業所.“理化学研究所 一般公開 in 神戸 2023 ホームページ”.https://www.kobe.riken.jp/event/openhouse/23/#outline,(参照2024年06月17日).

[2] 国立研究開発法人 理化学研究所 神戸事業所.“わくわく「富岳」 南エリア”.理化学研究所 一般公開 in 神戸 ホームページ.R-CCS わくわく「富岳」.https://www.kobe.riken.jp/event/openhouse/23/ccs_ja.html,(参照2024年06月17日).

[3] 公益財団法人 神戸医療産業都市推進機構.“神戸医療産業都市(KBIC) 2023 一般公開 ホームページ”.https://www.fbri-kobe.org/kbic/ippankoukai/2023/,(参照2024年06月17日).

[4] 国立研究開発法人 理化学研究所.“計算科学研究センター 量子系分子科学研究チーム チームリーダー 中嶋 隆人(D.Eng.)”.理化学研究所 ホームページ.研究室紹介.計算科学研究センター.https://www.riken.jp/research/labs/r-ccs/comput_mol_sci/,(参照2024年06月17日).

[5] 国立研究開発法人 理化学研究所 計算科学研究センター.“量子系分子科学研究チーム”.理化学研究所 計算科学研究センター トップページ.研究活動.研究チーム紹介.https://www.r-ccs.riken.jp/research/labs/cmsrt/,(参照2024年06月17日).

[6] 国立研究開発法人 理化学研究所 計算科学研究センター 量子系分子科学研究チーム.“Research”.量子系分子科学研究チーム ホームページ.https://molsc.riken.jp/research.html,(参照2024年06月17日).

[7] 三好 明.“4章 講義ノート”.三好 明 ホームページ.講義ノート.物理化学II(東京大学工学部 化学・生命系3年生).2011年度 物理化学 II.I 分子構造と分光学.4章 - 多原子分子の振動と回転.講義ノート、資料.http://akrmys.com/PhCh2011/docs/note/note04.pdf,(参照2024年06月17日).

[8] 国立大学法人 神戸大学.“有機無機ペロブスカイトの光誘起構造変化を観測 次世代太陽電池の性能向上に期待”.神戸大学 ニュースサイト トップページ.カテゴリー.プレスリリース.2021年10月19日.https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/2021_10_19_01/,(参照2024年06月17日).

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