03.失った視覚は取り戻せる!―バイオニックアイで見える未来―:「大阪大学共創DAY@EXPOCITY 2024『キラめく科学・トキめく未来』」見聞録03
2024年06月29日、私は「大阪大学共創DAY@EXPOCITY 2024『キラめく科学・トキめく未来』」(以下同イベント)に一般客として参加した([1])。
「失った視覚は取り戻せる!―バイオニックアイで見える未来―」で、医学系研究科 視覚機能形成学寄附講座は人工網膜を用いて失明した患者の視覚機能を再建する研究を紹介した。
詳細を以下に示す(図03.01,[2])。
1.人工網膜システムの研究開発、視機能評価法およびリハビリテーション法の研究開発。
2.眼疾患に対する神経保護の研究。
3.眼疾患の機能修復や病態解明に関する研究。
4.眼疾患に対する視機能解析と治療。
また、人工網膜シミュレータを用いて、バイオニックアイによるものの見え方を示した。
大阪大学では、視覚機能形成学寄附講座だけでなく、統合生理学教室も人工網膜に向けた基礎研究に携わっている([3])。
大阪大学以外でも、奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 物質創成科学領域 光機能素子科学研究室はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)-LSI技術を用いて網膜刺激チップの研究開発に取り組んでいる([4])。
また、岡山大学では、大学院ヘルスシステム統合科学研究科の松尾俊彦教授と大学院自然科学研究科の内田哲也准教授は、光電変換色素を定着させたポリエチレンの薄膜を用いる人工網膜を開発している([5])。
民間企業では、株式会社 ニデックは脈絡膜上経網膜刺激型(STS(suprachoroidal transretinal stimulation)方式)による人工網膜システムの上市モデル開発を推進している([6])。
失明した患者の皆様が人工網膜を用いることで、光を取り戻すことを期待してやまない。現時点では、物のシルエットが分かる程度だが、将来は人の表情などを読み取り、かつ、映画などを楽しめるようになれば、何も言うことはない。
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参考文献
[1] 国立大学法人 大阪大学 共創機構.“大阪大学共創DAY@EXPOCITY 2024『キラめく科学・トキめく未来』”.大阪大学 共創機構 ホームページ.NEWS&TOPICS.2024年06月07日.https://www.ccb.osaka-u.ac.jp/news/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E5%85%B1%E5%89%B5dayexpocity-2024%E3%80%8E%E3%82%AD%E3%83%A9%E3%82%81%E3%81%8F%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%AD%E3%82%81%E3%81%8F%E6%9C%AA%E6%9D%A5/,(参照2024年07月01日).
[2] 国立大学法人 大阪大学 大学院医学系研究科・医学部.“視覚機能形成学寄附講座”.大阪大学 大学院医学系研究科・医学部 トップページ.学部・研究科紹介.講座一覧.寄附講座.https://www.med.osaka-u.ac.jp/introduction/research-2/endowed/advanced-visual-neuroscience,(参照2024年07月01日).
[3] 国立大学法人 大阪大学 大学院医学系研究科・医学部.“統合生理学”.大阪大学 大学院医学系研究科・医学部 トップページ.学部・研究科紹介.講座一覧.生理学.https://www.med.osaka-u.ac.jp/introduction/research-2/physiology/integrative,(参照2024年07月02日).
[4] 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 物質創成科学領域 光機能素子科学研究室.“研究”.光機能素子科学研究室 ホームページ.https://mswebs.naist.jp/LABs/pdslab/research_j.html,(参照2024年07月02日).
[5] 国立大学法人 岡山大学.“No.20 失明した患者さんに再び光を-新方式の人工網膜の実用化に向けて”.岡山大学 ホームページ.研究・産学連携.FOCUS ON.2019年11月15日.https://www.okayama-u.ac.jp/tp/research/focus_on_20.html,(参照2024年07月02日).
[6] 株式会社 ニデック.“これまで、そしてこれから”.ニデック ホームページ.企業情報.人工視覚の研究開発.ニデックの挑戦.https://www.nidek.co.jp/company/artificial_sight/challenge_artificial_sight/history.html,(参照2024年07月02日).
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