「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」鑑賞記
2022年01月29日~02月13日、京都市京セラ美術館 新館 東山キューブで、「KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション」(以下同展)が開催された(図01,[1])。
同展は、アーティストと企業・研究機関が共同で制作した作品を展覧し、表彰する、日本で類を見ない形式の国際コンペティションである。
2020年度中に実施した公募にエントリーした41件の企業・研究機関と111件の作品プランの中から、審査会によって11組のアーティストと企業等の組合せが選抜された。この11組が「アート×サイエンス・テクノロジー」の可能性を体現することを目指し、コラボレーションを行った。
同展では、上記の作品11作が展示された。
2022年02月04日、私は同展に参加し、以下の11作品を鑑賞した。
宮田彩加(以下敬称略)×株式会社SeedBank(以下SeedBank)は、「この視点×珪藻曼荼羅」(図02)とオブジェ(図03)を多数展示した([2])。なお、オブジェはSeedBankで、培養、実験、および、調査のために使用されてきた消耗品から作られている。
佐藤壮馬×KYOTO’s 3D STUDIO株式会社は、「Of flowers」を展示した(図04,[3])。
興梠優護×株式会社堀場製作所は、「龍猫図」を展示した(図05,[4])。
三原聡一郎×mui Lab株式会社は、「空気の研究」を展示した(図06,[5])。
山崎阿弥+マイケル・スミス-ウェルチュ×Konelは、「lost in the wind rose」を展示した(図07,[6])。
三木麻郁×国立病院機構 新潟病院 臨床研究部 医療機器イノベーション研究室は、「とほく おもほゆ」を展示した。この作品は3Dプリント人工呼吸器に接続したパイプの中に、アコーディオンのリードを組み込んで、空気を流して人工呼吸器を動かすと同時に音を出すもので、同展でグランプリを受賞した(図08,[7])。
金森由晃×株式会社フジックスは、「Pillar of light」を展示した(図09,[8])。
大西康明×福田金属箔粉工業株式会社は、「石と柵」を展示した(図10,[9])。
Kikoh Matsuura×株式会社島津製作所は、「Fragment of Evolution」を上映した。なお、この作品には、機能的近赤外分光分析法が使用されている(図11,[10])。
金子未弥×有限会社丸重屋は、「失われた全ての記憶を讃えるために」を展示した。このオブジェは同展で準グランプリを受賞した(図12,[11])。
川松康徳×国立研究開発法人 理化学研究所 植物-微生物共生研究開発チームは、「NARRATIVISUAL:β ある植物学者のパラノイア 前頭葉に発芽して欲望を食べる無花果」を展示した(図13,[12])。
実を言うと、私は科学技術に非常に興味がある一方で、美術・芸術に対する興味比較的低かった。
しかし、同展で展示されている作品に接することで、科学技術と美術・芸術が協同することで、素晴らしい作品が生まれることを、思い知らされた。言い換えれば、同展で、拙美術・芸術観が変わったわけである。
その意味では、同展に非常に感謝している。
参考文献
[1] KYOTO STEAM-世界文化交流祭-実行委員会.“KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション”.KYOTO STEAM-世界文化交流祭- ホームページ.プログラム.https://kyoto-steam.com/program/event01/,(参照2022年02月11日).
[2] 一般財団法人 ニッシャ印刷文化振興財団.“KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション 第5回:顕微鏡とミシン アナログとデジタルの狭間で「未知なるもの」に触れる インタビュー:宮田彩加×石井健一郎(株式会社SeedBank)”.AMeeT ホームページ.TECHNOLOGY テクノロジー.2021年12月22日.https://www.ameet.jp/digital-imaging/3751/,(参照2022年02月12日).
[3] 一般財団法人 ニッシャ印刷文化振興財団.“KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション 第10回:花に触れれば——触覚性が拓く3Dスキャン技術の可能性 インタビュー:佐藤壮馬(アーティスト)、KYOTO’s 3D STUDIO株式会社”.AMeeT ホームページ.TECHNOLOGY テクノロジー.2022年02月09日.https://www.ameet.jp/digital-imaging/3834/,(参照2022年02月12日).
[4] 株式会社堀場製作所.“アーティスト 興梠 優護さんとHORIBAの「はかる」技術のコラボレーション作品が 京都市京セラ美術館で展示”.堀場製作所 ホームページ.HORIBA Talk.その他.2022年02月02日.https://www.horiba.com/jpn/company/about-horiba/horiba-talk/detail/news/2/2022/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%88-%E8%88%88%E6%A2%A0-%E5%84%AA%E8%AD%B7%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%A8horiba%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%8B%E3%82%8B%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%9C%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E4%BD%9C%E5%93%81%E3%81%8C-%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E4%BA%AC%E3%82%BB%E3%83%A9%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8%E3%81%A7%E5%B1%95%E7%A4%BA/,(参照2022年02月12日).
[5] mui Lab株式会社.“アーティスト三原聡一郎 x mui Lab _Kyoto Steam 2022 にて『空気の研究』を展示中@京セラ美術館(〜2/13まで)”.mui Lab トップページ.Journal.Exhibition.2022年02月08日.https://muilab.com/journal/kyotosteam-studyofair2022/,(参照2022年02月12日).
[6] 株式会社 PR TIMES.“人を見つけてざわめくインスタレーション《lost in the wind rose》がKYOTO STEAM 2022にて展示”.PR TIMES トップページ.プレスリリース.株式会社コネル.2022年01月31日.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000057032.html,(参照2022年02月12日).
[7] 独立行政法人 国立病院機構 新潟病院.“宇宙電送と無重力環境下での動作試験にも成功した「3Dプリント人工呼吸器モデル(3D Printable Ventilator model)」に関する情報提供および実用化プロジェクトについて”.独立行政法人 国立病院機構 新潟病院 ホームページ.その他の情報.当院で行っている研究班等に関連する情報.2022年02月01日.https://niigata.hosp.go.jp/info/covidventilator.html,(参照2022年02月12日).
[8] 株式会社フジックス.“KYOTO STEAM2022 国際アートコンペティションに出展”.株式会社フジックス トップページ.新着情報一覧.2022年01月29日.https://www.fjx.co.jp/news/detail.php?id=159,(参照2022年02月12日).
[9] 一般財団法人 ニッシャ印刷文化振興財団.“KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション 第3回:作品を通して物事の表裏を眼差す インタビュー:福田金属箔粉工業株式会社、大西康明(美術作家)”.AMeeT ホームページ.TECHNOLOGY テクノロジー.2021年12月08日.https://www.ameet.jp/digital-imaging/3730/,(参照2022年02月12日).
[10] 一般財団法人 ニッシャ印刷文化振興財団.“KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション 第6回:人類の進化の軌跡 インタビュー:Kikoh Matsuura(美術家)、黒澤範之(株式会社島津製作所コーポレート・コミュニケーション部/株式会社島津アドコム宣伝部)”.AMeeT ホームページ.TECHNOLOGY テクノロジー.2022年01月15日.https://www.ameet.jp/digital-imaging/3781/#page2,(参照2022年02月12日).
[11] 有限会社丸重屋.“有限会社丸重屋 ホームページ”.https://www.marushigeya.jp/,(参照2022年02月12日).
[12] 一般財団法人 ニッシャ印刷文化振興財団.“KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティション 第2回:アートとサイエンス、対話の可能性 インタビュー:川松康徳(アーティスト)、市橋泰範(理化学研究所バイオリソース研究センター)”.AMeeT ホームページ.TECHNOLOGY テクノロジー.2021年12月01日.https://www.ameet.jp/digital-imaging/3683/,(参照2022年02月12日).