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地球研コンポスト かき混ぜて、見て、におってみよう:地球研オープンハウス2024 訪問記 07
2024年11月03日、総合地球環境学研究所(地球研)は地球研オープンハウス2024(以下同イベント,[1])を開催した。私も一般客として参加した。
都市と農村の有機物質循環プロジェクト(以下同プロジェクト)は堆肥(コンポスト)を使って有機物を循環させる活動を以下の各地で実施している。
1.ザンビアでの都市の食品ごみとブタを利用したコンポストによる栄養の循環。
2.ウガンダでの主食のバナナの皮やローカル資材を利用したコンポスト作り。
3.日本(京都府)でのホテルの食品ごみからの堆肥作り。
4.ガーナでのチョコレートの原料となるカカオ林における荒廃した土地の再生。
研究の目的は以下に示す通りである(図07.01,[2])。
1.地域・環境に即したコンポストのあり方の模索。
2.有機ごみを活用した荒廃地の養分回復・砂漠化防止。
3.有機ごみの焼却処分から分解、そして循環への転換→都市と農村の間の有機物循環システムの構築。
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図07.01.都市と農村の有機物循環プロジェクト。
「地球研コンポスト かき混ぜて、見て、におってみよう」で、同プロジェクトは簡単な資材と動物糞を使用したドライ コンポストという生ゴミ処理の技術を紹介した。
ドライ コンポスト作りにおいて、加工・加熱食品やバナナの皮などは、分解しやすい。一方、鶏、牛、および、豚の骨、卵の殻、にんじんや大根のへた、ならびに、オレンジの皮などは、分解しにくい。また、トマト、カボチャ、アボガド、きゅうりなどの植物では、種が発芽することがある。なお、コーヒー フィルターやティーバッグなどは除去されるべきである(図07.02,図07.03,図07.04,2,[3])。
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図07.03.ドライ コンポスト。
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上記のドライ コンポストは、資材の温度と水分のモニタリングによってゴミの投入時期を決め、すばやい生ゴミの処理を可能とする。この自然過程は恒温動物の腸内細菌が関与し、夏季ではその基本温度は35~37℃のあいだが最適である。このアイディアにそって、ホームセンターなどで市販されている鶏糞や牛糞、ならびに、京都市動物園で飼育されているアジアゾウ、キリン、カバ、シマウマ、トラ、チンパンジー、ゴリラ、および、フタユビナマケモノなど9種の動物糞を用いて、同プロジェクトはホテルで廃棄される生ゴミを処理する技術やレシピを確立しようとしている(図07.05,図07.06,2)。
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2024年度での同プロジェクトの大きな成果は、以下の3点である。
1.ドライ コンポストの技術によって、京都市内のホテルの有機性ゴミと京都市動物園の動物糞をつかって堆肥をつくり、その機序の解明、および、温度管理による技術・レシピの確立。
2.企業、京都市動物園、京都府教育委員会、小学校、および、農家とのネットワーク。
3.京都府内の小学校においてドライ コンポストの考え方、技術、および、レシピを紹介し、環境問題への対策を考えるきっかけを作り出したこと。
同プロジェクトだけでなく、地方自治体も市民と協働して、生ごみを未利用有機資源として活用し始めている([4])。
これらの生ごみを未利用有機資源として、ドライ コンポストなどの堆肥として活用する試みを、私は期待する。
参考文献
[1] 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所.“地球研オープンハウス2024”.総合地球環境学研究所 ホームページ.イベント.2024年度.2024年11月03日.https://www.chikyu.ac.jp/rihn/events/detail/230/,(参照2024年11月25日).
[2] 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所.“有機物循環プロジェクト”.総合地球環境学研究所 ホームページ.研究活動.研究一覧.実践プログラム.環境文化創成プログラム.https://www.chikyu.ac.jp/rihn/activities/project/detail/25/,(参照2024年11月29日).
[3] 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所 都市と農村の有機物質循環プロジェクト.“都市と農村の有機物質循環プロジェクト ホームページ”.https://organic-rihn.chikyu.ac.jp/,(参照2024年11月29日).
[4] 一般社団法人Earth Company.“生ごみを未利用有機資源として活用する自治体と市民協働の取り組み事例”.Operation Green ホームページ.取組紹介.2023年01月30日.https://operationgreen.info/case_compost2/,(参照2024年11月29日).