映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS

本作は2020年代におけるシンとタエ(両者は夫婦)の回想譚である。
ポスターを見る限りは、本作はシンと猫又の友情物語であると私は思っていた。しかし、実際はシン、イツキ、および、タエの友情物語であった。猫又などの妖怪は只の脇役や武器扱いだし。シン達人間と猫又達妖怪の友情が詳しく描写されなかったことが悔やまれる。
夜叉エンマ対空亡の戦闘では、タエの出番はほとんどなかったわけだし、シンと妖怪の間の絆も取ってつけたような感じがするし…。
先代閻魔大王は立場上、息子の紫炎を厳しく育てざるを得なかった。しかし、紫炎は父の発言などに隠された真意を読み取ることができずに、ただ力のみを追い求めた。その結果、彼は空亡に心身共に乗っ取られた…。
そして、空亡に乗っ取られた紫炎は玉藻前を使って、数多くの人間の魂を奪い、糧とした。それらの犠牲者には、シンの母とイツキの姉が含まれた。
また、姉を救おうとしたイツキ自身も命を落とした。もっとも、イツキはククリ姫のおかげで仮初の命を得ることができたわけだが。
空亡は紫炎を完全に取り込んだ。しかし、先代閻魔大王の助けを得たイツキは紫炎の良心と融合し夜叉エンマに進化した。最期に、夜叉エンマは空亡を倒した。そして、シンとイツキに別れと再会を告げて、消滅した。その後に、夜叉エンマが現エンマ大王に転生できた。これが紫炎とイツキにとっての救いとなった…。当然、紫炎に囚われた人々の魂や体は救われた(エンドカードでシンの母とイツキの姉の生存が確認された)。
親族であることは自明とはいえ、タエと光江の関係は不明。
ヤマンバァ(正体はツクヨミ)はキネに取り付いてまでも、キネの家を守るか?この時、キネは暴走しているわけだし。なお、おはぎは彼女と夫にとっての思い出の食事のようである。
シンの守護霊であるスーさんの正体がスサノオであることが分かった。シンといい、イツキといい守護霊が日本神話の神々であることは、凄くないか!
猫又達の強化変身は、デジモンシリーズでのデジモンの進化を連想させる。
臼田さんの正体はウィスパーの分身?
1960年代にトイレの花子さんやじんめん犬が存在していることは、余りにも意外である。
1960年代では、カラーテレビは高級品であり、また、琺瑯看板が多くみられた。
酒呑童子はこの時から野心を抱いているようである。
カラス天狗は只の外道である。
エンディングは『妖怪ウォッチ』と『妖怪ウォッチ シャドウサイド』の出来事、すなわち、シン達が守った未来の出来事である。
シンはイツキと別れた後、企業家として活躍する一方で、世界各国の貧困地域に住む人々を救ってきた。また、タエはシンと結婚した。
2020年代、シンとタエはイツキの生まれ変わりである現エンマ大王と再会した。この時、シンは進行/転移がん(劇中ではぼやかされている)を患っており、自分の死期を悟った。しかし、エンマ大王に励まされたことで、その治療を受けることにした(エンドカードを見れば一目瞭然)。
1960年代ならがんは死の病とされていたが、2020年代では優れた治療法が登場しているだろうしね。

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