藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ
01.『おれ、夕子』
鈴木夕子は事故で亡くなったが、鈴木(夕子の父)は佐藤弘和の体を依り代とすることで、彼女を復活させたわけである。但し、その復活は一時的なものでしかなかった。
もしかしたら、鈴木が笛木奏『仮面ライダーウィザード』の元ネタの1つかもしれない。
鈴木親子が互いに愛していることが分かったことは、せめてもの救いである。
弘和が気の毒である。一方、刈野勉吉は大手柄である。
02.『メフィスト惨歌』
もしかしたら、メフィストが最も良心的なキャラなのでは?
原作(1979年)では魂1個の総予算は3千万円だったが、ドラマ(2023年)では8千万円に上昇した。
高木健は、原作ではアイバンクに自分の角膜を登録していたが、ドラマでは万能細胞研究所に自分の細胞を提供していた。
また、高木は原作では『スペース インベーダー』の様なシューティング ゲームを製作していたが、ドラマではゲーム『人生大改造』を製作していた。
高木が非常に狡猾かつ強かなので、メフィストが気の毒に思える…。
メフィストの上司(巨漢)は厳しいからな…。
03.『定年退食』
本作は非常に辛辣である。しかも、加藤茶(老人役、以下敬称略)と井上順(吹山役)は非常に芸達者だから余計に…。
原作は1973年に発表されたが、結果的に現代(2023年)の社会問題を予見している。もっとも、70年代は20年代と異なり、個人情報保護という概念がなかったけどね。
1970年代は公害が社会問題になっていたからね(実際、本作の世界では、公害のせいで、食糧生産量が減少している)。
また、インコ型ペット ロボットの存在も時代を予見している。
いつの時代であれ、どの社会であれ、吹山の様な陰謀論やデマに惑わされたり騙されたりする御仁は非常に多いからなぁ(呆れ)。
無髪(丸刈り)族が反体制の証であることが70年代を痛感させる(1960~70年代では、アフロ ヘア、長髪(モッズ ルック)、および、マッシュルーム カットが話題になっていた)。
04.『テレパ椎』
鳥留梨男(兄)・栗男(弟)兄弟、ならびに、桃絵の様な凡人風情がテレパシーの様な超能力を使えても、碌なことにならないということでw。
皮肉にもテレパ椎のおかげで、鳥留が与脇夫妻等から嫌われていることが分かっただけでも、収穫さね。
05.『昨日のおれは今日の敵』
本作はタイム スリップ回であるが、漫画家の様な凡人風情がタイム スリップ能力を適切に扱えるわけがないということで。また、本作は藤子・F・不二雄による自虐ギャグ マンガでもある。
元はと言えば、アシスタントを大切にしなかった漫画家が悪い。
ただただ、石田と新婚夫婦が気の毒である。
実写で、同じ人間(漫画家)が3人同時に存在する展開は非常にシュールである。
06.『親子とりかえばや』
本作は定番の1つである人格の入れ替わりものである。
相良鉄男(父)と甚六(息子)の人格が入れ替わったことで、前者(中身は後者)が亀田佐吉の心情を、後者(中身は前者)が春子の心情を知ったことは収穫である。その後、両者は和解した。
相良和代(母)は蚊帳の外だった。
07.『流血鬼』
バルカン半島で発見されたウイルスは、1カ月で全世界に蔓延し、全人類を「新人類」へと「進化させた」。なお、「新人類」は吸血鬼と同様、高度な再生能力を得るだけでなく、夜行性になる。
ということは、文化はどのように変化するのだろうか?
主人公は「旧人類」として抵抗したが、結局「新人類」に進化した。
原作は1978年に発表されたが、2020年代以降では洒落にならない。
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