ウルトラマントリガー エピソードZ

本作を含む『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』こそが『ザビルの悲劇』である。

闇の巨人襲来の際、地球星警護団の科学者ザビルはエンシェント・スパークレンスを作ろうとしていたが結局間に合わなかった。

闇の巨人により、ザビルは多くの同胞達だけでなく、ユザレも失った。

ザビルは「いとも簡単に」闇の巨人を封印したように見えたトリガーを見て、「同胞達の死は無意味だったのか」と悲嘆に暮れただけでなく、トリガーに嫉妬した。

最終的に、ザビルは「自分達(人類)が光になればいい」という考えに至り、歪んだ感情で光を渇望するようになった。

その後、ザビルは闇の巨人の復活を見越し、上記の出来事を石板に記した。これが、アキトが研究していた石板である。

ザビル(とんでもない長寿)はトキオカ・リュウイチと名乗り、シズマ・ミツクニに近づいて、彼からの信頼を得た。

そして、ザビルはトリガー(ケンゴ)に闇の三巨人を倒させて、エタニティ・コアを安定させた後、ケンゴの救出と同時にトリガーの光を奪う計画を立てた。一方、保険として、「コアから分離したトリガーが光を失う」可能性を予期し、『ウルトラマンZ』の世界から逃げてきたセレブロと結託することでウルトラマンゼットを『ウルトラマントリガー』の世界に誘った。また、自分の手駒として、ライラーを結成し、イブラを纏め役に仕立て上げた。

言い換えれば、ザビル(リュウイチ)は自分の目的のために、TPU、特にGUTS-SELECTを利用したわけである。要は、『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』での出来事自体が、彼の策略の結果である。なお、アブソリューティアンやキリエル人の介入は不測の事態である。

ケンゴが光の化身である(=人間ではない)がゆえに、ザビルは彼に嫉妬したわけである。なお、「人類自らの手で地球を守れなければ意味がない」というザビルの考えは正しいが、やり方が間違っているんだよなぁ。ま、蛇倉正太(=ジャグラスジャグラー『ウルトラマンオーブ』、『ウルトラマンZ』)とは境遇が異なるから、仕方がないか。

ザビル自身は本来温厚な人物だが、闇の巨人のせいで運命が狂ってしまったわけである。彼は典型的な「哀しき悪役」である。

GUTS-SELECT隊長代理としてのリュウイチこそがザビルの本来の姿のはずなのに、実は只の演技であるとわかった以上、哀れみしか覚えない…。

セイヤは情報局へ異動したが、後にGUTS-SELECT隊長として復帰した。

ザビルの策略とはいえ、GUTS-SELECTがエンシェント・スパークレンスや人工衛星SOLを使って、ケンゴを復活させる展開は、燃えるね。

ゼットはセレブロを追って、『ウルトラマントリガー』の世界に来たわけである。

アキトはお化けが苦手である。

パゴス、ガゾート、ゲネガーグ、および、デスドラゴは只のやられ役。

イグニス(トリガーダーク)はなんだかんだと言って、美味しいところを頂いている。

セレブロは暗躍し、ザビルにイーヴィルトリガーの力を与えただけでなく、ゼットに寄生した(ゼット レッドダメージ)。もっとも、ケンゴの決死の説得に呼応した遥輝(ゼット)の体から排除された後に、イブラに寄生して、デストルドスに変身したが、結局はゼット、トリガーダーク、および、トリガーに倒された。そして、ヒマリに捕獲されただけでなく、遥輝によって『ウルトラマンZ』の世界に連行された。遥輝は立場上、セレブロを問答無用に処分できないからなぁ。

ザビルはイーヴィルトリガーに変身し、ゼット、トリガーダーク、および、トリガーを追い詰めたが、結局は倒された。ザビルは死に際に本心を取り戻したことが、せめてもの救いである…。

結局、「孤独ゆえ強い光を求めていた」ザビルは、「仲間がいるので、光かつ人間でいられる」ケンゴに勝てなかった。だからこそ、「どんな強い光も1人じゃ輝けない」というケンゴとミツクニの指摘は非常に重いわけで。

ケンゴが第2回「ケンゴ、お帰り会」で再度歓迎されたという落ちは、まさに本作らしい。ちなみに、第1回「ケンゴ、お帰り会」はケンゴの救出後に催されたが、中断された。

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