Ghost of Tsushima 聖地巡礼2023 - Day2
2日目 マップ
以下、[A]〜[I]の文字は地図上の場所を指している。
Map 拡大図
朝
民泊IL.SOGNOの超絶リッチな朝食😃 [A]
朝からすごいボリューム。これを食べておけばお昼は抜いても大丈夫なのではと思うほど量が多い。多いだけでなく美味しい🤤
一番上の列は左から、魚のマリネ、漬物二種類。
真ん中の列は、穴子、ちくわ胡瓜、ソーセージ、貝のソテー、フキの煮物。
手前の列は、ごはん、超具沢山の鯛入りお味噌汁、鯛のチーズ焼き。
特徴的なのはお味噌汁の器で、対馬では他にも具沢山のお味噌汁をこのように深い皿で出してくれる宿があった。具沢山というレベルを超えており、味噌味の鍋からあらかじめ一人が食べる量の二、三倍をとりわけたもの、といったほうがしっくりくる。
よく考えたら前の日は白いご飯を頼むところまで辿り着かなかったし、昼抜きで朝夕の2食だけだったので、久しぶりのお米のご飯だった。
※この三泊四日で対馬で食べた大量の魚からタンパク質を摂取し、しばらく体調が良かった。
白嶽登山
白嶽(しらたけ)登山へ![B]
ご夫婦に別れを告げて、ガイドさんとの待ち合わせ場所、サイキバリュー 美津島店 駐車場に向かう。
今日の登山ガイドさんは「対馬グリーン・ブルーツーリズム協会」にご依頼した。前年の7月に金田城に登った時のガイドさんにご紹介いただいた、信頼できる女性の方だ。
サイキバリュー 美津島店は9時開店なので、開店に合わせて待ち合わせし、お昼ご飯を買ったりお手洗いを借りたりしてから、車2台連れ立って白嶽の登山駐車場に向かう。
白嶽登山口(第一駐車場)[C]
登山の説明をうけながら登山口の駐車場へ。ここがトイレのある最後の駐車場となる。10台以上は停められる広い駐車場で、観光バスが来てトイレ休憩していったほど。私が運転してきた車はここに駐車しておき、ガイドさんの車でもう一つ上の駐車場まで送ってもらう。
なお、ここを出たあとの途中の道幅はとても狭い。
ゴーストオブツシマの境井仁役のモデルをしたダイスケ・ツジ氏も、Twitchの配信で、「対馬に行った時レンタカーを借りて走り周り、登山もしたんだけど、ところどころ道がとても狭かった」と言っていた。私など普段から車の運転しないような者は対面走行は絶対無理な細さである。
白嶽登山開始
用意してきた装備
・ユニクロのヒートテック上下
・トレパン、長袖シャツ、ウインドブレーカー
・雨用ポンチョとズボン
・ローカットのトレッキングシューズ
・登山用靴下
・帽子
・飲料水(500㎖2本)
・保険証
・常備薬(いつも持ち歩いてる頭痛薬)
・トレッキングポール
トレッキングポールは、下山時に使うとだいぶ楽だった。ガイドさんも使っていた。持っておくと安心だろう。持っていない人は、登山口に備え付けの杖を借りることもできる。
白嶽の植生は、ふもとから頂上に向けて3種類に分かれる。
(1) 一番下、植林された杉が中心の林
(2) 真ん中、人間が炭焼きなどで伐採してきた広葉樹林
(3) 白嶽神社の鳥居から先、神域とされ伐採を禁じられた原生林。
約200万年前より約1万年前までの氷河期に、ユーラシア大陸と地続きだったので、大陸系植物と日本系植物が混生している。
なお、一番下のパート(1)は見渡す限り杉なので、杉花粉症の人は春にはこない方がいいだろう。
オーム岩
白嶽の登山道に、対馬の対馬のマニアック情報サイト「エヌの世界」のエヌさんが名付けた有名な「オーム岩」があった。大きい。オームは「風の谷のナウシカ」の王蟲からとった名前とのこと。たしかにこの角度から見ると、正面を向いた王蟲の成虫によく似ている。
白嶽 第二階層
杉林が終わると第二階層にさしかかる。
以下の写真は昔は炭焼きをしていた穴で、直径は2mくらいあり、今は土砂で埋まっているが子供の背丈くらいの深さはあったろう。ここに椿の薪を積み上げて炭を焼き、馬に乗せて麓に下ろしたそうだ。
馬はもちろん対州馬(たいしゅうば)だ。小柄だが馬力が強く、登山道でも重い荷を積んで登り降りできる。この炭焼き小屋が使われていた時代には、整備されていない道もあったはず。そんな道でも登ってしまう対州馬の強さにおどろかされる。
白嶽 第三階層.. 断念
説明を聞きながら楽しく登ること1時間半ほど。第三階層の原始林の前に立つ、白嶽神社の鳥居の前についた。ここから先は傾斜が急になる。
せっかくここまできたのだから、多少無理しても登るべきなのだが、
対馬に来る2〜3週間前にぎっくり腰をやってしまい、足腰の調子が万全ではなかったので、ここで引き返すことにした。いずれリベンジしたい。
白嶽にまつわるよもやま話
下りの道を歩きながら、ガイドさんは私を気遣って、土地の民俗風習など様々なことを教えてくれた。
たとえば、道端にはよく黒いものが落ちている。ガイドさんが木の枝でつついてほぐし、中身が小さな木の実であることから「テンの糞ですね」という。
さらに、その付近に落ちていた紫色の小さな実がびっしりとついた枝を示し、テンはこういうものを食べているという。さっきのフンのサイズにぴったりだ。
参加が1人だけだったのでガイド料は18,000円とけして安くは無かったが、私のような猛烈な方向音痴でも迷わずに行けたのに加えて、いろんな話を聞けて良かった。
地層の説明
ガイドさんは岩石の説明もしてくれた。これが非常に面白かったので要約してお伝えしたい。
白嶽は、大部分は堆積岩でできているが、頂上だけは石英斑岩の巨大岩でできている。なお白嶽だけでなく対馬全体において堆積岩と石英斑岩が多い。土は浅く、特に山だと岩の上に被さった浅い土に木がへばりついていて、わずかな土から養分を吸収している。)
白嶽の写真でよくみる山頂の白い部分は石英斑岩。石英斑岩は火成岩で、マグマが冷えて固まった岩。
山頂以外の部分は堆積岩で、深海の堆積物が固まった岩。白嶽だけでなく、対馬全体の95%は堆積岩である。
対馬では、堆積岩の上に火成岩が乗っている。昔の学説では、堆積岩を貫通してマグマが噴き出たものと考えていたが、穴を掘って調べたところ堆積岩は5kmもの深さがあり、マグマが吹き出せる厚さではなかった。そのため、石英斑岩の元となるマグマがどこから来たのかは不明である。
5kmもの分厚い堆積岩が堆積するのに、4600万年前〜1400万年前の3200万年間かかったと考えられていたが、近年の研究で1800万年〜1600万年前の200万年間で形成されたことがわかった。堆積するスピードがめちゃくちゃ速い理由は謎。
不思議な島だ。
「エヌの世界」さんのYoutubeチャンネルにも説明があるのでぜひご覧いただきたい。
対馬楽講座・第3回(その2)「対馬の岩石と地質」
https://www.youtube.com/watch?v=-16yylRprdE
山で飲むコーヒーは激うま
こまめな給水の他、上りと下りで一度づつ座って休憩をとった。2回ともガイドさんがリュックから水やランプ、コーヒー、お菓子などを取り出して、手際よくお茶の用意をしてくれた。
この場所でレギュラーコーヒーが飲めるなんて、とんでもない贅沢である。もちろんゴミは全部持ち帰る。だからガイドさんのリュックは行きも帰りもぱんぱんなのだった。
上の岩の隙間は、実際我々がお弁当を使った場所だが、大人2〜3人が横になっても大丈夫なほどに広い。昔は修行中の行者が雨宿りをしたことだろう。
岩棚の脇には小さな石積みの灯籠があった。風情がある。 修験者が手頃な石を組み上げたのだろうか。
下山時にみたモミジの葉。大小の葉を並べてみたら、まるで志村と子供仁のようだった🥺
豊玉の神社巡り
ダイソー 対馬美津島店[D]
山からおりて豊玉に向かって車を運転していると、巨大な駐車場のあるダイソーが見えたので、ふらりと立ち寄り爪切りを買い、缶コーヒーを飲んだ。
2〜3時間くらいトレッキング程度の登山道を歩いただけなのに、はげしく疲れていた事を自覚した。いいところで休憩できて助かった。
迷子&パンク[E]
Google Mapで豊玉の阿麻氐留神社へ向かう道を設定したところ、なぜか赤島の方へ向かう道を案内されてしまい、絶対ここじゃないと思いながら、道が細過ぎて切り返しもできず、海沿いの漁師さんの脇の細い道をくねくねと走っている間に、縁石を擦ってパンクしてしまった。
レンタカーを借りた店舗に電話したところ、助けにいくから場所を教えてくださいとのこと。赤島に向かう道で真珠の養殖場に近い等、つっかえつっかえ説明したら、それだけで大体わかったとおっしゃって、しばらくして来てタイヤ交換してくれた。本当にたすかりました🙏
車を降りてぼんやりしていたら、お散歩のおばあさんが心配して声をかけてくれた。Xにツイートしたらお友達がいろいろアドバイスしてくださり、それもとても心強かった。
後でこの旅行を振り返る時、いろんな神社を回ったり美味しいものを食べたことよりも、ここでパンクの修理を待ちながら「やっちまったなぁ..」と呆然と海を見ていた時の方を思い出す。
限られた時間を無駄にしてしまった後悔、助けが来るとわかっている安心感、穏やかな海の美しさ、対岸に見える晩秋の山、意外と歩くのが早いおばあ、、都会の喧騒をわすれ、エアポケットのように時がゆっくりながれた。
阿麻氐留(あまてる)神社[F]
阿麻氐留(あまてる)という名は「あまてらす」とよく似ており、この地方の神名における「天照神」だったと考えられている。
興味深いのは、この神社の祭神が「天日神命(あめのみたまのみこと)」であり、男性の神様であることだ。我々が良く知る古事記の天照大御神(あまてらすおおみかみ)は女性の神様であり性別が違う。
Wikiには以下のように書かれている。
「古代航路の拠点に鎮座する古社。『日本書紀』顕宗天皇紀によると、遣任那使・阿閉事代が神託を受け、対馬のアマテル・ タカミムスビを磐余(現在の奈良県)に、壱岐の月神を歌荒巢田(現在の京都府)に遷座させていることから、対馬・壱岐の祭祀集団(卜部)を中央に移動させる政治的意図があった可能性がある。」
卜部(うらべ)というのは神祇官に仕えた職員で、亀甲占いなどの卜占 (ぼくせん) による吉凶の判断をつかさどった。いわば占いを職業とする国家公務員である。
757年に大和朝廷の発した「養老令」に卜部は20人と定められていた。その後平安時代になって書き記された細則により、伊豆5人、壱岐5人、対馬10人が採用されるルールだったことが判明した。半数が対馬出身の卜部だったわけだ。
対馬・壱岐から招聘された卜部が「アマテル」を大和王朝にもたらし、やがて「アマテラス」になったと考えると興味深い。
「対馬神社ガイドブック」というパンフレットに、アマテラスとアマテルの関連性についてシンプルに図式化されている。
なおこの「対馬神社ガイドブック」は、対馬にある大小さまざまな130社もの神社を紹介した、対馬観光物産協会発行の36ページからなる無料パンフレット。こんなに濃い内容の無料パンフレットは見たことがない。神社巡りをする方にとって予備知識を仕入れるのに最高の教材なので、現地に行く前にPDFで読まれる事をおすすめする。また、ふれあい処つしまで現ブツを入手できる。「これがあの!」と叫ばないように注意しよう。
和多都美神社[G]
潮の満ち引きによって海中にたつ鳥居の足元が水没することで有名な神社。
神社の境内には足が三本ある「三柱鳥居」という非常に珍しい鳥居がある。
・2022年7月の線状降水帯の時、和多都美神社の駐車場から撮った動画
目の前の三柱鳥居、雨量と満潮により鳥居の足元が水没している様子。
・同じ日に少し雨が止んだので神社を参詣した時の動画
境内が水につかり、玉砂利が水没して、海とつながった様になった。
もっと水位があがれば、境内にある木の船も浮き上がるだろう。
この写真の撮影のように、潮が満ちた時に一の鳥居〜三の鳥居と直線に並ぶところに立つと、何かがすーっと頭の中を吹き抜けていくように感じる。
また、奥のほうにある「豊玉姫命の磐座」はパワースポットだ。
私語厳禁で、写真もとってはいけない。私は神霊的なものには疎い方だが、ここは鳥肌が立ってびりびり来た。
烏帽子岳展望所[H]
駐車場から展望所まで、階段を一気に登ったので息が切れたが、360度の眺めは格別だった。
駐車場から山の中腹に向かう道が車一台通るのがやっとな狭さなのだが、その狭い道の途中でマイクロバスが切り返しをはかっていて、みているこっちが怖かった。無事に切り返せていた。
宿泊
日が落ちきる前に千尋藻方面にいそぐ。今晩の宿は東の海岸線、鑓川の近くにある民泊。
民泊吉栄の、おさかな天国な夕飯 [I]
10部屋以上ある広いお家。東京でこの広さだと何億円するんだろう。
ご主人はイカ漁師さんということで、新鮮な海の幸が食卓に並ぶ。当日の客は私一人で、お食事処の部屋でテレビを見ながらゆっくりいただいた。
サザエ含むお刺身4種盛り、ひおうぎ貝の焼き、白身魚のお寿司、ボイルイカサラダ、茶碗蒸し、天ぷら、ろくべえ、ご飯。
せんだんごは、けっこう複雑な工程を経て作られる。
さつまいもを収穫後にすぐ食べるのではなく、保存して1年中食べるために編み出した手法。
このように途方も無い手間をかけて作った「せん」の団子を削り機で削り、煮たら黒い麺のようになる。これを「ろくべえ汁」として食する。
日本酒の銘柄は「白嶽」だったと思う。燗酒と刺身の取り合わせは最高すぎる。
次の日に舟志の紅葉を見に行く旨を伝えたら、他にも見所があると教えてくださった。ありがたい。
反省会
お酒が余ったので、部屋でちびちび飲ませてもらいながら、今日の反省をした。
・白嶽の山頂まで登れなかった事
・阿麻氐留(あまてる)神社に向かう途中、Google Mapに騙されて細い道を走り車をパンクさせてしまった事
・サイキバリュー美津島店であなご亭のチルド穴子丼を買いそびれた事
長い1日が終わった。
足に湿布を貼るなど、翌日に疲れを残さぬようケアしてから就寝。
(二日目、ここまで)
メモ:
行ったところリスト
小茂田 IL.SOGNO(イル・ソーニョ)
サイキバリュー 美津島店
白嶽登山口(第一駐車場)
オーム岩
白嶽
ダイソー 対馬美津島店
阿麻氐留神社
和多都美神社
烏帽子岳展望所
民泊吉栄