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「滋賀の家展」勝手にスピンオフ|『滋賀からの戦後住宅』妄想目次

7月から9月にかけて滋賀県立美術館にて開催された企画展「滋賀の家展」。今回、おそれ多くも企画協力する機会を得ました。

その関連で、企画展の図録に「戦後の住宅需要をささえた「プレハブ生産工場のメッカ」」を寄稿いたしました。

展示構成の「第2章 住宅産業と滋賀」あたりのお話を、当時の住宅産業界の動向などもふまえてギュッと3頁に圧縮して紹介しています。今回の執筆は、“滋賀から住宅産業をみる”という貴重な機会になりました。

この「滋賀の家展」図録は、美術展でよくある展示品の写真と解説といった内容ではなくって、どちらかというと展覧会の概要と企画展の後半、「第3章 建築家の実践」以降のパートについての記録・副読本として楽しめる一冊。

ただ、それゆえに、前半パートの「家と暮らしの転換期」や「住宅産業と滋賀」については、掲載された会場写真にチラ見えする程度になっています。企画展が終了したいま、その内容がどんなものだったのかは、展示品リストからうかがうしかありません。

ならば!この戦後滋賀の住まいの転換や滋賀と住宅産業の関係といった前半の展示内容を文章として書き下し、さらにボツネタとなったあれこれも勝手に増補したら楽しいのではと。ということで恒例の妄想目次を。

『滋賀からの戦後住宅|別荘・プレハブ・ベッドタウン』

はじめに|滋賀から日本へ
 ・琵琶湖鳥観図の視点
 ・白洲正子と近江
 ・西山夘三と滋賀
 ・上田篤と菅浦
1章 楽屋裏|工場・観光・別荘地
 ・東洋レーヨン外人社宅
 ・琵琶湖とナチス「びわ湖休養船」
 ・占領軍家族住宅「皇子山ハイツ」
 ・名神ハイウェイサイドタウン
  コラム①通奏低音としての自動車
2章 実験場|家とくらしの転換
 ・大中の湖干拓入植者住宅
 ・ヤンマー農村工業
 ・びわこ大博覧会と近江イエポリス
 ・ホテル紅葉/紅葉パラダイス
  コラム②伊勢湾台風復興住宅
3章 ふる里|プレハブ生産工場のメッカ
 ・積水ハウス滋賀工場
 ・ナショナル住宅と屋根シリーズ
 ・住宅産業とニュータウン
 ・職住近接の試み「湖南工業団地」
  コラム③小堀林衛と長浜
4章 Made in SHIGA|カプセルとユニット
 ・レジャーブームと「フローラ」
 ・積水化学工業「ハイムM1」
 ・ユニット住宅の極北「SNSU」
 ・アルナ工機の開発・製造アシスト
  コラム➃レジャーブームとカプセルハウス
おわりに|滋賀からのパースペクティブ
 ・上田篤ふたたび
 ・成瀬のあかり
 ・滋賀からの戦後住宅史

伊勢志摩もそうですが、歴史のある地域の文化が語られる際、近世までが重点的に語られがちで、明治から昭和戦前期がようやくとりあげられるようになりました(滋賀はヴォーリズ建築があるのも大きい)。でも、戦後の展開を重点的にとりあげる機会はまだまだ少ないのが現状です。

むしろ戦時から戦後にかけて、近世までの歴史文化が再編されていったことを思うと、戦後の展開をふまえ、さらにそこから近世以前へと遡行していく作業が必要なのでは中廊下と。

そんなふうに思わせてくれる「滋賀」との出会いが、今回の企画展でした。お声かけくださった滋賀県立美術館の皆さま、そして会場にお越しくださいましたたくさんの皆さまに感謝します。

(おわり)


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