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【セクシー田中さん】調査結果

ドラマ『セクシー田中さん』に関する問題で、日本テレビより調査結果のプレスリリースがありました。

90ページに渡る調査結果、及び、別紙にて時系列まとめ、ドラマ制作者へのアンケート等がリリースされています。
長いけど、全部読ませていただきました。

ざっくりとまとめると、

『日テレ側と小学館側で、認識の齟齬があり、それが最後まで解消されなかった』

ということです。
この『認識の齟齬』というのが、そもそもドラマ制作許諾の条件(原作に忠実に)や時期(日テレ側3/29、小学館側6月)から始まっており、言った言わないの水掛け論も見受けられます。

出版業界、ドラマ制作業界とは関連のない素人から見ると、「何故、事前に契約書を交わしていないのか」と不思議に思うのですが、動画配信や円盤化(二次利用)の都合上、ドラマ制作の途中〜終盤、もしくは終了後に雛形を用いて契約書を作成するのが慣例となっているそうで、今回もそのような流れだったそうです。
また、脚本家に対しても発注する時点では契約書がないことが普通で、全話分の脚本が上がってから契約書を作成するとのこと。
一般社会からすると、かなり変わっています。

今回のリリースで初めてわかったこととして、『クレジット問題』があります。
原作が未完であるため、ドラマでは原作にないオリジナルで終わることが決まっており、そこで原作者が内容に納得できず、自ら脚本を書いたこと、それが脚本家にとって不本意であり、トラブルに発展した、というのが当初の問題であったという認識でしたが、実際のところ、最後の9、10話の脚本クレジットは原作者のみ、脚本家が『監修』『協力』などとしてクレジットされることを、原作者が拒否した、というのがトラブルの引き金であったようです。

脚本家としては、(オリジナルに入る)8話までの段階で自分が脚本を書いた、アイデア出しをしたのだから、クレジットされることは当然である、という主張。
一方、原作者はそれまで数々の指摘、修正をしたにも関わらず、当初の許諾条件であった『原作に忠実に』が守られなかったことに対する不信感が募り、脚本家を一切信用できない状態であったため、脚本家を降板させることを条件に最終回までの脚本を書いた=脚本家の監修、協力は受けていない、という認識であった。そういうことだろうと思います。

ここまで拗れたのは、原作者と脚本家の間で直接的な意見交換がまったくなく、プロデューサーと小学館の担当者との間でやり取りがされており、その際には『失礼のないように』指摘を推敲したものが伝えられ、また脚本家が『原作者の指摘が辛い』とのことで、プロデューサーが表現を柔らかく伝えるようにしていた、という、伝言ゲームがなされていたことが原因と考えられます。
それぞれの忖度が悪い方向に作用したと言えるでしょう。

こうなると、原作者だけでなく、脚本家もある意味被害者であった、と言えるのかもしれません。
(個人的には、けして擁護はできませんが)

今回のプレスリリースは調査結果の報告が主であり、具体的な再発防止策にはほぼ触れていません。
別紙のアンケートでプロデューサー経験者の意見として、『原作者と直接会って話をするべきだ』という言葉はありますが、日テレが今後どのような対策を取るのかについては言及がありません。

また、芦原先生を追い詰めた主な原因であろうSNS での誹謗中傷については、疑念の残るものでありました。
発端となった脚本家のSNS での発言は、『クレジット問題』に端を発するものであり、法的措置を取る姿勢も認められたため、日テレ側としては強く出ることは出来なかった、という印象を受けます。
これは、契約書による明記があれば防止できたことだろうと思えます。

素人考えではありますが、これら認識の齟齬を生んだこと、SNS での炎上に発展したことのそもそもの原因は、『時間の不足』にあるのではないでしょうか。

企画を通し、原作者の許諾を得るために十分な時間をかけられない、見切り発車な部分があったことは明らかであると思えます。
また、日テレ側から制作途中で『キャラ表があれば提出してほしい』という要望に、芦原先生は『キャラ表はない』と返答しています。これも、制作までに十分な時間があれば、芦原先生にキャラ表を作成してもらい、現場との認識の齟齬を解消することは可能だったのではないでしょうか。
(芦原先生もご多忙であったとは思いますが、ここまでの双方の話から、原作に忠実に進めるための資料を作成することを拒否するようには思えません)

時間が足りない、ということは、準備に十分な時間をかけられない、ということです。
どのような仕事であろうと、良い仕事をするためにはしっかりと準備することが重要です。

テレビ業界も人手不足であることは理解できます。
特殊な業界であるため、必要とされる能力も作業量も高い(多い)のだろうと思います。
実際、アンケートではプロデューサーの仕事が多い(広い)と回答されています。
これは一朝一夕で解決できる問題ではなく、今後も業界が抱える問題でしょう(テレビ業界に限った話ではありません)。
なあなあで済ませることなく、真摯に問題に向き合い、再発防止に努めていただきたいと思います。

今回は日テレのプレスリリースを受けてのまとめと、個人的な感想を書かせていただきました。
小学館側も今回の問題を重く受け止め、再発防止に努めていただきたく思います。
けして繰り返してはならない問題です。

また、疑念の残るSNS での誹謗中傷について、個人的には脚本家には訂正をしていただきたいと感じました。何故なら『クレジット問題』には触れず、原作者批判を煽る内容であったためです。
プロとして、社会人として、著しく品位を欠く行動であると感じます。
謝罪もなくアカウントを消して逃亡するなど、プロとしても社会人としても恥ずかしいと思っていただきたい。言葉を使うプロならば、きちんと自身の言葉で説明するべきなのではないでしょうか。

何を言っても芦原先生は帰ってきませんが…

当事者だけでなく、同じ業界の人達がこのことを同じように重く受け止め、今後、同じことがないように業界全体で考えてくださることを願います。

そして、ファンを使って誹謗中傷をさせるような、卑怯なやり方はけして許すことはできません。
今回はあくまでも疑念でしかありませんが、もし、自分がファンの立場であって、推しが同じことをしたら、けして瞬間の感情だけでなく、状況を正しく把握し、人を追い詰めるような行動に加担しないよう、重々心に刻みたいと思います。

たかがSNS 、たかが言葉、でもそれは時として人を追い詰める凶器になることを、けして忘れてはならない。

同時に、どんなに心酔している推しであろうと、推しもまた弱さを持つ人間であり、推しに過剰な期待を押し付けるようなことはしてはならないことも、忘れず心に刻んでおきたい。
盲信は自分にとっても推しにとっても、危険であることは間違いありません。

最後に。
芦原先生はこのように声を上げる人間がいることを、快く思われないだろうと思うと、本当に申し訳ない気持ちです。
下界でガチャガチャしてるのなんか気にせず、天国で安らかに過ごされていますように。
ご冥福をお祈り申し上げます。

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