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innesについて

「ちょっと突然語りだしてなんなんだオマエ」という自己ツッコミは自分でも感じてる。というのは時間管理的にもお小遣い管理的にも引き締めざるえないので言うほど現場に行けてなかったし、さらにチェキなんて数えるほどだったし、名前を覚えてもらえているだけラッキーなオタクだったから。

2023年8月6日、下北沢・Flowers Loft。innesというアイドルグループが解散した。

散り際というかラストライブがお見事だった。小ぶりな箱でなんの仕掛けもなく和気あいあいとしたMCを挟みつつひたすら全曲披露して、そしておしまい。でもそこには彼女たちのお互いを信頼する姿があって、彼女たちが見せたいステージとオレらオタクが彼女たちに見せたい風景としてのフロアーがシンクロしていた。

innesは公式的に「1期 / 2期」という分け方は(メンバーが被っている時期もあったので)していないが、ラストライブを締め括った3人、夢野くる、神立千夜歌、伊東ナギはいわゆる2期メンバー。

最初の6人はアイドル経験者が大半だったので最初から華やかで力強かったし、メンバー間の関係性の良さも透けて見えてくるのが魅力だった。

その後、後発で加わった3人はアイドル未経験者だけに妙に危なっかしさを感じさせるところも確かにあって、「だがそこがいい笑」的な視線でオレは見ていた。でも地下アイドルをのびのび育てることには定評のあるトラッシュアップなだけあって、彼女たちも徐々にキラキラ感を身につけていった。

「なんかバラバラそうだけどまとまんの?」とかちょっと思ってもいたが、実は彼女たちも固い結びつきを大切にしている様が伝わってきたし、終盤はリアル「けいおん!」っぽいバンド形態になったりしてなんかこの1年(たった1年なんだよ!)の成長感が頼もしかった。

ラストライブ、ほんとに綺麗で潔い終わらせ方だったな、と。笑って手を振って遠くに行ってしまう姿とか。

蛇足的に2つ話したい。

ひとつは同じトラッシュアップ所属のSAKA-SAMAの楽曲カバーである「聴こえる」。

SAKA-SAMAが7人体制という賑やかな編成になった頃の作品だが、雑誌のインタビューで当時の在籍メンバーのあいうえまし子(現・ダダダムズ mashi)さんは「聴こえる」についてこんなことを言っている。(MUSIC MAGAZINE 2018年12月号より)

MUSIC MAGAZINE 2018年12月号より

歌詞の上で明確に表現されてはいないがこの曲は「『地下アイドル』という若干特殊な青春」への賛歌だとオレは思ってる。だからinnesがこの真夏のラストライブで「いつかこの夏を思い出して / やけに懐かしいなって思う時が来ても」と歌った瞬間感極まって涙ぐんだし、いつか彼女たちが自分たちが歌った歌を懐かしく思い出す平穏な日が来ることを願わずにはいられなかった。

もう一つはラストライブのアンコールの2曲。「真夏のなにか」〜「イネスワンダー」。

選曲的に恣意的なものではないのかもしれないが、両曲ともすずめ園さん(元・SAKA-SAMA Dr.まひるん)の作詞。すずめ園さんの文芸ユニットの相方である出雲にっきさんがinnes在籍中という縁で書いた詞を、事務所在籍が被っていないくる・ちょーか・ナギがきっちり歌って締め括ってくれたことをとても嬉しく思う。

フロアーにはかつての在籍メンバーやトラッシュアップ所属メンバーが見に来ていて、先のインタビューの元SAKA-SAMA・まし子さんはダダダムズに加入して奇跡の事務所帰還を果たし、惜しくも解散するinnesは文芸に転じた元SAKA-SAMA・Dr.まひるんの詞を歌い、そして事務所残留を決めたくるさんは友人と共にダダダムズ加入。頭の悪い感想でしかないけど、めちゃくちゃエモい流れじゃないですか。さすがアイドル虎の穴・トラッシュアップ。

最後に、innes、真夏の素敵な思い出をほんとにありがとう。

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