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Nolan Schanuelはどう生きるか

はじめに

本noteを開いて下さり、ありがとうございます。
870と申します。
今年も自身のアウトプットの場として、また同じくMLB観戦を趣味とする皆様との交流の機会としてnoteを自分なりのペースで書いていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

今回は2024年に初めてのフルシーズンを終えたNolan Schanuelについて個人的に思うところを書いていこうと思います。
お時間のある際にでもお付き合いいただけますと幸いです。
タイトルは完全に思い付きです。


2023年のNolan Schanuel

2023年のドラフトでエンゼルスに一巡目指名されたのち、マイナー出場わずか22試合で爆速メジャーデビューを果たしたSchanuel。
未だ記憶に新しい方も多いと思いますがこの年は大谷翔平ラストイヤー、そしてTDLでのオールインという決断もあり、異例中の異例だったSchanuelのメジャー昇格。
これにはいくらなんでもやり過ぎだとの評が大半でしたが、結果的にはデビュー後10試合連続安打を含む29試合連続出塁で2023年シーズンをフィニッシュ。
Zach Neto、Logan O'Hoppeらと共にヤングコアへの成長を期待され、めぼしい対抗馬も不在だったことからレギュラーとして初のフルシーズン挑戦の一年として迎えた2024年シーズンでした。

次項ではそんなSchanuelの2024年成績を振り返りたいと思います。

Nolan Schanuel 2024年主要成績

MLB.comより
baseballsavantより
FanGraphsより

147試合 519打数 打率.250 HR13本 54打点 10盗塁 四球68 三振103
OBP.343 SLG.362 OPS.705 wRC+104 WAR0.7 BB%11.2 K%17.0 BB/K0.66
DRS1 UZR-1.4 OAA-5


所感

打撃面に関しては予想以上に良くやってくれた一年だったというのが率直な感想です。
目を引く指標は以下の通り。

  • 四球 68個
    ア・リーグ9位(MLB全体28位)

  • OBP(出塁率).343
    ア・リーグ15位(MLB全体31位)

  • BB%(四球率)11.2%
    ア・リーグ5位(MLB全体18位)

  • BB/K(四球に対する三振の比率)0.66
    ア・リーグ6位(MLB全体12位)

特に四球や出塁に関する指標が高く、起用の多かったリードオフとしての期待に応えたと言ってよいかと思います。
元々大学時代から選球眼やアプローチの評価は非常に高かったSchanuelですが、舞台をメジャーに移してもその長所を活かして活躍してくれたことはファンとして素直に喜びたいところです。
前述したようにほとんどマイナーを経験しておらず、下手をすればメジャーに適応できずそのままフェードアウトしてしまう最悪の可能性もあっただけに、差し当たり打率.250の打力と上記の出塁能力を示してくれたことは彼の才能と努力を存分に示したといえると思います。

課題

反面、近年重視される傾向にあるBarrel %Hard-Hit %などはかなりの低水準であり、これらはSchanuelの特徴でもある極端に遅いスイングに起因します。

Schanuelの平均スイング速度は65.2マイルとMLB平均を大きく下回り、これは2024年に規定打席に到達した全214選手の中で5番目に遅い。

守備負担が比較的少ない1Bでは基本的にHRを量産するようなパワーが求められることが多く、Schanuelの長打率(SLG).362は2024年規定打席に到達した一塁手の中で最低です。
一応HRは13本放っており、恵まれた体格もあって全くのノーパワーという訳ではありませんが長打が少ないという点は現在のメジャーリーグにおいて明確なウィークポイント。
また出塁型の選手にしては足が速い訳ではないので長打不足を足で補うことも難しいのが辛いところ。
加えて現状1B専の割に守備の指標もマイナスとなっています。
一応走塁に関してはスプリントスピードこそ平均以下ですが今季10盗塁と塁間の走塁は無難にこなしている印象ですが、守備は明確に改善していく必要があるでしょう。

更なる飛躍のために

課題は多いものの、個人的には大きな怪我もなく初のフルシーズンでこれは立派な(というか奇跡に近い)成績だという感想です。
ミナシアンGMも2024年の成果としてSchanuelを含む若手選手の存在を挙げており、何事もなければ来季以降もエンゼルスの1Bを担うことが期待されます。
個人的にも非常に期待しているので、来季に向けて個人的に彼に求めたい点をまとめていきたいと思います。

打撃面

Barrel %Hard-Hit %などの指標を持ち出しはしましたが、Schanuelのスタイルとしては基本的にこのままでよいという認識です。
シーズンを戦い抜ける体力や高速化の進む投手の投球に負けないフィジカルは必要不可欠ですが、一方で(繰り返しになりますが)フルシーズン初挑戦の年で13本打てる最低限のパワーは持ち合わせているSchanuel。
私の希望的観測も入っていますが、来季以降メジャーレベルの投球に適応してHR数を伸ばす可能性は大いにあると思います。
それを加味しても1B専の選手としてはパワー面で少々の物足りなさを感じるとは思いますが、変にパワーフォルムへシフトチェンジするよりは現在の出塁能力を落とさず、さらに磨きをかけることが来季に限らず彼のキャリアを通したストロングポイントになり得るのは間違いないでしょう。
タイプは異なりますが、現SDのLuis Arraezのようにパワー一辺倒でない独自の一塁手像を築いてほしいところ。

指標傾向的にはSchanuelと類似点も多いArraez。それにしても尖りすぎてる。

守備面

上記でも触れましたがこちらに関しては明確に今後改善して欲しい分野で、守備のよくない1B専の選手はどんなに打撃がよくても(エンゼルスに限らず)後々チーム編成上必ず足枷になる時期が来るでしょうし、長打が少ないとなれば尚更打撃以外での付加価値が求められます。
Shanuelは大学時代に1B以外に3B,LF,RFを守った経験があり、個人的には今すぐとは言わないまでもいつかはメジャーの舞台でも1B以外のポジションに挑戦してほしいなと思います。
1B以外にもう一か所ポジションを守れるようになれば、(その出来はさておき)チーム編成に与える柔軟性はぐっと上がります。

将来に目を向けると近年故障に悩まされるMike Troutへの守備負担を考慮し、エンゼルスフロント陣が外野のコーナーに限らずより負担の少ない1Bへのコンバートを検討する可能性もゼロではないでしょう。
もっともTrout自身はCFに強いこだわりがあることは度々報じられているところであり、今オフやっとコーナーへのコンバートが検討されている段階ですので今すぐどうこうということはないと思いますが、いずれにしても今年23歳とまだまだ伸びしろが期待できる年齢なだけに、今後Schanuelにとって柔軟な選択肢が生まれるとよいなと思います。

直近のエンゼルス一塁手事情

余談に近くなりますが、エンゼルスの近年の1B事情を振り返ると2021年当時契約最終年だったAlbert PujolsをDFAとするまでにJared Walshが台頭し、その年オールスターに選出されるほどの活躍を見せましたが、その後2022年以降は胸郭出口症候群、神経障害、新型コロナウイルス感染などに悩まされ成績が一気に下降し定着できず。
(個人的に好きな選手だっただけにこれは本当に悲しかったのですが…。)

2023年当時はもはやドラフト直後のSchanuelに頼らざるを得ないほど一塁手の人材に余裕がなかったことや冒頭で述べた諸事情もあり、現在Schanuelが守備面で抱える不安は本来選手としての可能性や精度を高めるためのマイナーリーグでの準備期間を彼が経験できなかったマイナスの側面と言えるでしょう。

終わりに

2024年シーズンを無事完走し、派手さは無いものの来季への期待を十分に抱かせる活躍をみせてくれたSchanuel。
コンテンドの姿勢を続けながらも徐々に若手主体のチームへと移行しつつあるエンゼルスの将来のコアとなれるよう、更なる活躍を期待したいですね。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
末筆になりますが、本年もよろしくお願いいたします。


2025/1/15追記

年が明け、この記事を投稿しようかと思った矢先にエンゼルスがPete Alonsoに興味という報道が俄かに立ち上りました。
ニューヨーク・ポスト紙のJon Heyman記者の報じたもので、確たる交渉内容や状況などには触れられておらず現状Heyman氏の憶測の域を出ないものですが、Schanuelの立場はこういった一般にパワーヒッターと呼ばれる部類の選手獲得の煽りを受ける側の立場だということを再認識させられました。
実際にPete Alonsoとエンゼルスが合意する可能性は限りなく低いと思われますが、来季以降の更なる活躍で今後自身の立場を確固たるものにして欲しいと願うばかりです。


参考


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