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祖母、18歳になる。
⚠️ このお話はあくまでもフィクションであり、実際の人物、団体とは一切関係ありません。
蝉の声がうるさくなってきた、梅雨明けの7月21日。
突然、見知らぬ電話番号から着信があった。
「下田隼人さんの携帯でお間違いないでしょうか?」
僕「はい。下田隼人は僕ですが。」
警察官「こちら渋谷警察署の者ですが、こちらの女性が話をしたいという事なので、お電話代わります」
僕「は?はい。」
ここ最近、女性と関わった記憶もなければ酒を飲んで記憶をなくした経験もない。怖くなりつつ電話に出た。
僕「もしもし。」
謎の女性「もしもし、私が誰かわかるね?」
聞き慣れない声だったが若い女性の様だった。
僕「いや、分かりませんが、どちら様でしょうか?」
謎の女性「ばあちゃんたい、わかる?」
僕「は?いたずらなら切りますけど?」とだけ言い電話を切った。
少ししたら同じ番号からまた着信が。
婦人警官「こちらの女性、下田様がお迎えに来ていただけないでしょうか?」
僕「え?なぜ僕が?」
婦人警官「下田様の携帯電話しか覚えていらっしゃらない様ですし、訳ありの様ですので。一応…」
面倒臭そうな案件なので、僕に全てを押し付けてしまおうといういかにも警察らしい対応と思いつつ
僕「僕には関係ないので…」と電話を切ろうとした瞬間…
謎の女性「ばあちゃんっていよっど。まだわからんとか、バカタレが…」
声は若いが口調は祖母そのものだった。
祖母とは中学の頃から23年間、暮らしていたが、数ヶ月前に他界していた。
僕は当然、信じられるはずもなく、一方的に電話を切った。
翌日、インターホンがなった。
警官「渋谷警察署の者ですが、下田さんはいらっしゃいますか?」
僕「はい。何か御用ですか?」
警官「昨日、お電話した件なんですが、こちらの女性がどうしてもと仰るもので当事者同士で話をされた方がいいかと思いまして」
僕「いや、面倒臭い案件を人に押し付けようとしているだけなんじゃないですか?これだから警察は…」
僕の頭に衝撃が走った。
謎の女性「まーた、人ば見下す様なことを言って。いっちょん変わっとらんね」
謎の女性は、こう言いながら僕の頭を叩いた。
僕「何するんですか!」
と、思わず叫んでしまった。
謎の女性「もうよかです。帰ります。」
とだけ言うと、その女性はバタンとドアを閉め去って行った。
翌日、近くのスーパーで買い物をしていると、その謎の女性がカートを押しながら買い物をしていた。
怖くなった僕はさっさと買い物を済ませ家路を急いだ。
家に帰りついて、しばらくするとインターホンが鳴った。
恐る恐る出てみると昨日の女性だ。
謎の女性「ばあちゃんたい、はやくん、ドアば開けなっせ」
声は若いが恐ろしいほどに祖母の口調に似ている。
恐る恐る出てみると
謎の女性「信じられんとは思うけど、話ばさせてくれんね?」
と頭を下げられたので、
僕 「話だけなら…」
と言い、その女性を部屋へと案内した。
年齢は大学生くらいだろうか、今風のファッションではなく、落ち着いた印象だ。
その女性は大量の買い物袋を置き椅子へと座った。
謎の女性「ちゃんと食べとるかい?ちょっと痩せたろ?」
僕「は、はぁ」
謎の女性「彼女はできたかい?」
僕「いや、いないですけど。というより、いきなり失礼ですね。」
謎の女性「まだ信じとらんごたるね。まぁ、信じられんのも無理はなか。ばあちゃんも信じられんけんね」
謎の女性「ご飯は食べたつかい?作ろうか?」
と言うので、適当に合わせて帰らせようと思った。
僕「本当に祖母だというなら高菜炒飯を作ってもらえますか?」
と僕が言うと、その女性は立ち上がり
謎の女性「じゃあ、すぐに作るけん」
と言い立ち上がりキッチンへと向かった。
謎の女性「ここはガスとたいね。ウチはIHだったけん、怖か。火をつけてくれんね」
と頼まれた。確かに祖母の家はIHだった。
ガスをつけると、その女性は僕の顔をじっと覗き込むなり、
謎の女性「あんたは髭が汚か。剃ってこんね」
と汚物でも見るような目つきで言われたので、洗面所に向かった。
確かに祖母は僕が無精髭を生やすのを嫌っていた。
「よか男が台無し」といつも言われていた。
髭を剃り終えると、高菜炒飯が出来上がっていた。
謎の女性「できたけん、テーブルば片付けて」
そう言われたので、片付けていると、再び僕の顔をじっと見て、
謎の女性「髭、剃ってきたね、うん、やっぱりよか男!」
生前、祖母が僕に言ってくれていた褒め言葉だった。
謎の女性「味噌汁も食べよらんと思ったけん、作った。ごじるたい。好きていよったろ?」
テーブルの光景を見て驚いた。
確かに祖母の高菜炒飯とごじるに似ている。
僕「じゃあ、いただきます。」
まず、高菜炒飯に箸をつけた。祖母の味と似ている…。
続いて、ごじるを飲む…
僕の目から涙が溢れていた…
僕「同じ味…」
謎の女性「当たり前たい。ばあちゃんだけん」
そう言うと彼女も泣いていた。
僕が大好きだった祖母の味噌汁。
その味と同じ味だった。
それでも信じられない僕は彼女に質問をした。
僕「味噌汁の隠し味は?ばあちゃんは引退前にどこに勤めていた?祖父の名前は?僕の生年月日と誕生した病院は?」
その女性は笑いながら答えた。
謎の女性「味噌汁はみりんをちょっとだけ入れるとたい。仕事は司法書士事務所の補助たい。じいちゃんの名前は友蔵たい。小森産婦人科、あたの生年月日は昭和61年10月20日、午前11時20分たい。ばあちゃんが取り上げたけん。あんたが元気の良すぎて石鹸を蹴り飛ばして、看護師さんから渡されたけんね。覚えとるに決まっとったい。」
そう言いながら、その女性はなんとも言えない顔で笑っていた。
僕は嗚咽が出るくらい号泣していた。母でさえ知らない味噌汁の隠し味まで言い当てた。
祖母だ!そう思ったが、信じられない自分もいた。
明らかに10代後半の女性が祖母なわけない…
でも、祖母しか知らない情報を言えるわけないし…
僕「ばあちゃん、なん?」
謎の女性「ばあちゃんたい。まだわからんとね笑」
なんとも言えない表情で太陽のような笑顔をした女性。
それはまさしく祖母の笑顔だった。
ブー…ものすごい音が鳴った。
謎の女性「あ、ごめん。屁の出た笑」
僕「なんかい!もう感動が台無したい笑」
2人で泣き笑いした。
祖母「冷えるけん、食べよう」
僕「うん、食べよっか」
そう言うと、小食の僕が珍しくおかわりまでして食べた。
目の前の女性が祖母だとして、どうして93歳で亡くなったはずの祖母が女子大生のような姿で目の前にいるんだろう…
僕「ばあちゃん、死んだ瞬間は覚えとるとね?」
祖母「うん、覚えとるよ。脳梗塞で喋れんかったろ?最後は呼吸ができなくて、きつくて、きつくてね。でもパッと楽になってね。そしたら宙に浮かんで、あんた達が泣きよったのを見よったとよ」
僕「そうね。俺は、あの光景がずっと頭に残って、精神がおかしくなっとった…。キチガイになりそうだった」
祖母「そうね、それはごめんね…」
そう言うと祖母は以前のように、優しく僕の頭を撫でてくれた。
僕は祖母にずっと謝りたいことがあった。
自分が亡くなったら、会って謝りたいことがあった。
それは救急搬送された前夜の事である。
祖母がせん妄状態となり、一晩中叫んでいたのを無視して寝てしまった事だった。
祖母は体調が悪くなってからは、ずっとせん妄状態で夜中は叫んでいた。
眠れない日が続き、介護疲れにより眩暈や吐き気がしていた僕はその日は耳栓を購入して寝てしまった。
その翌日、水分不足による急性心不全からの心房細動となり救急搬送、肝硬変だった祖母は肝性脳症と誤診され、結果的に脳梗塞になってしまったのだった。
僕「あの日、辛かったのに対応してあげられんで、ごめんね。俺がちゃんとしてたら死なんですんだのに。あれから数ヶ月、俺が死ねばよかったと何回も思いよった。ごめんね、ばあちゃん。ごめん。」
祖母「なーん、気にしとらんよ。はやくんは自分を責めんちゃよか。あんたは一生懸命、ばあちゃんを介護してくれた。それだけで、ばあちゃんは嬉しかったとよ。こちらこそ、ごめんね。」
祖母が去って以降、兄弟や親戚達は「よく頑張ったよ。誰でもできる事じゃない」と口先では僕らに言っていた。
生前、認知症になり徘徊もしだしていた祖母に会いに来る人間は誰もいなかった。
そんな祖母を母と2人で死に物狂いで介護をした。
しかし母も僕も限界だった。
何度も施設に入れようと母は言っていたが、僕は嫌がった。
祖母をこの家で看取る、それが祖母との約束だったから。
救急搬送された日も、昼に近所の公園に弁当を買って母と2人で食べた。
僕「まだまだ頑張ろう。ばあちゃんのために」
母「そうね、頑張らなんね」
母は妹が心配するくらいに痩せていた。
僕も目の下には大きなクマが出来ていた。
弁当を食べて、帰ったところ、声をかけても祖母から返事がない…
急いで救急車を呼んだ。
病院に到着し、コロナ禍ということもあり10分くらいだった面会時間。
意識が朦朧としている中、祖母の最期の言葉は「先生」だった。
なぜ先生なのかは分からないが、たぶん漢方を飲ませたり、血圧を測ったりしていたからだったんじゃないかなと思う。
その後、4回ほど会ったが二回目には脳梗塞となり、そこから会話ができずに最期を迎えた。
亡くなってから、ずっと後悔していた。
「俺が殺してしまった。失いたくなかった。家族は、ばあちゃんだけだと信じて生きてきたのに」
僕はそれからは何を目標にして生きていいのか分からなかった。
それからしばらくは祖母の家にいたが、思い出がいっぱいの祖母の家にいるだけで気が狂いそうになったので、東京に出ることにした。
祖母「ごめんね。ばあちゃんが追い詰めとったね。悪かったね。」
僕「そうじゃないよ。俺が悪かったとて。愛が足らなかったけん、ばあちゃんを死なせてしまったんよ」
僕は号泣した。
僕の頭を撫でながら祖母も泣いていた。
翌日
朝の支度をしていた祖母に起こされた。
祖母「はよ起きんかい。遅れるばい」
もう8時だった。重要な仕事の打ち合わせが入っていた僕は急いで支度を整えた。
僕「今日は早く帰るけん。ばあちゃんはどうするとね?学校?に行かなんと?」
祖母「93歳のばあさんが学校なんか行くね笑。買い物してから洗濯物でもしとくたい。昭子にも電話せなんけんね。」
僕「そうね。お母さんには俺から連絡するよ。俺からせんと信じんと思うけどね笑」
祖母「そうね、昭子より私の方が若返ってるしね笑」
僕「そうそう笑」
僕「じゃあ行ってきます!」
祖母「行ってらっしゃい!気をつけてね!」
久しぶりの行ってらっしゃいに泣きそうになりながら、打ち合わせ場所へと急いだ。
打ち合わせが終わり、昼の休憩中に母に電話することにした。
僕「もしもし、お母さん。あんね、話があるけん」
母「なんね、なんか仕事でよかことでもあったとね?」
僕「いや、仕事じゃなか。」
母「結婚すっとね?」
僕「いや、そうじゃない。俺が結婚したくないのは知っとるやろ。ばあちゃんの事たい。」
母「ばあちゃんがなんね?幽霊でも見たつかい?」
僕「いや、たぶん言っても信じんけん。こっちに来んね?」
母「なんね、なんか分からんけど…ちょうど用事があったけん。来週にでも来るよ」
僕「いや、明日、今日でも来てよ。びっくりするけん」
母「わかったけど、チケットが取れるか分からんけん。」
そういうと電話は切れた。
その30分後、最終便のチケットが取れたとLINEにメッセージが届いた。
仕事が終わった僕は、同僚からの誘いを断って家路を急いだ。
アパートのドアを開けると、ちょうど祖母が夕飯を作り終わったところだった。
祖母「今日はあんたが好きなカレーにしようと思ってたけど、豚が安かったけん。カツカレーにしたたい」
祖母は4年間、料理をできる状態じゃなかった為に、約5年ぶりに食べるカツカレーの味が嬉しくて僕は泣いてしまった。
ちょうど食べ終わった瞬間に、母からLINEがきた。
母【今から乗るけん、9時半ごろ着く】
僕【わかった。迎えに行くけん】
僕「お母さんから連絡来たけん、迎えに行ってくるね。」
祖母「わかった。気をつけて行かなんよ」
僕「じゃあ、行ってきます!ばあちゃんは隠れとってね笑」
祖母「わかった。でも、あんまり驚かすと心臓の止まらすかもしれんね笑」
僕「そうね。ほどほどにね笑」
そういうと僕は近くの駅へと向かった。
羽田空港に着くと、母はまだ到着していなかったので、自販機に行きいつものミルクティーを買ってソファに座って飲んでいた。
ぽんぽんと肩を誰かに叩かれたと思ったら、祖母だったのだ。
僕「なんで着いてくるとね!危ないたい。夜の東京は若い女性だったら危ないとばい」
祖母「なーん、ばあさんば襲う男なんかおらんたい」
僕「いや、今は若いやろ。」
祖母「なんね、よかおなごって事ね?」
そういうと、いつも見ていた祖母のくしゃっとした笑顔で笑った。
僕は照れ臭くなり、
僕「おってんおらんでんよかおなごたい」
と冗談を言うと、
祖母「言うと思った笑」
とまた2人で笑い出した。
祖母は僕のミルクティーを見るなり
祖母「まーた、そがんとば飲みよる。あんたは肝臓の悪かとじゃなかつかい。ばあちゃんみたいに苦しんで死ななん事になるよ」
僕「いいよ、死ぬ時は死ぬ時だけん笑。てか、蘇ってるし笑」
その時、母が到着口からこっちに向かってくる。
咄嗟に祖母と距離をとった僕に母が声をかけてきた。
母「あんたは東京に行って変わったね、親子くらい離れた子に声をかけてから。痴漢と間違われたら、どやんするとね」
僕「んー、なんと言って説明すればいいんだろ…」
母「はぁ?まさか彼女じゃないよね?」
僕「違う、違う笑」
祖母「昭子、久しぶりね。あんた老けたね。びっくりしたたい。」
母「は?失礼な子やね。なんなん?」
祖母「私たい、あんたの母親たい。わからんね?」
母「なんばいよると、この子は。ちょっと隼人!こっちこんね」
僕「あ、、、うん。」
そう言うと、母は僕を人気がない方へ連れ出してこう言った。
母「なんね、あの子は?頭のおかしい子やね。警察呼ぼうか?」
僕「いや、ちょっと待って。それはまずいって。びっくりするって話は、あの子の事なんよ。本当にばあちゃんなんよ」
母「いや、ちょっと待って。あんた、騙されとるとて。変な宗教でも入ったんじゃなかとね。」
僕「いやマジで、ばあちゃんなんよ。俺も最初は信じられんかったけどさ、じいちゃんの名前も、ばあちゃんが勤めていた場所も、俺が生まれた病院も全部知ってるんよ。ばあちゃんの味噌汁の隠し味も知っとるとよ。あり得んやろ、高校生くらいの知らない子が知ってるって。作ってもらった高菜炒飯と味噌汁、カツカレーもばあちゃんの味なんよ。」
母「そうね。確かにね。ちょっと、ここじゃなんだけん。あんたの家に行こうか。」
母は怪訝そうな顔をしながら祖母を見ており、祖母はそんな母を見ながらうっすらと目に涙を溜めていた。
3人でまた歩ける幸せを僕は噛み締めながら家路についた。
アパートに着くなり、祖母から話を切り出した。
祖母「昭子、信じられんのは分かる。私も信じられん。あんたと私しか分からん質問ばしてごらん」
母「わかった。私の生年月日、私が生まれた場所、隼人が生まれた時の体重、あなたが母なら分かるでしょ。」
祖母「簡単たい。あんたは昭和31年10月18日、生まれたのは虎ノ門たい。じいさんの転勤先の社宅たい。隼人が生まれた時は3000gだったかな。切迫流産しそうになって大変だったたい」
母「うーん…確かにネットには出てない情報ね。あんたが話をしたとね?」
僕「いや、話とらんよ。それに俺が生まれた時の体重とか知らんよ笑」
母「そうね。じゃあ私の好物は?あなたが母なら母の生年月日と姉妹、それから祖父母の名前も言えるよね?」
祖母「簡単たい、混ぜご飯やろ。山椒がうちに生えとったけんね。私の誕生日は昭和4年1月3日、妹が3人優子、妙子、郁恵それから私の母親は貴子、父親は六三郎たい。」
母「全部合ってる。嘘やろ…」
僕は驚いた母の肩に手をやり、こう言った。
僕「ばあちゃんよ。間違いなく。俺たちを騙したとして、何かメリットあるね。」
母「そうね、何もなかよね。」
祖母「やっと信じてくれたかい?お腹すいたろ、カツカレーがあるけん、昭子も食べんね?」
そう言って、祖母は立ち上がり、カツカレーをよそうと母の前に置いた。
母「ばあちゃんのカレーやね…」
そう言うと大粒の涙を流して泣き出してしまった…
祖母「あんたにも迷惑ばかけたね。介護は大変やったろ?悪かったね。ごめんね。」
母「大変だったよ、本当に…でも戻ってきてくれて嬉しい…」
それから祖母はお風呂に入り、僕と母は祖母の為に布団を買いに出かけた。
布団を買って帰ると、祖母が突然、話があると言い出した。
祖母「私が、なぜ若返って蘇ってるのか。東京にいるのかよう分からんとたい」
母「え?記憶がなかとね?」
祖母「いや、死んでからの記憶はあるとたいね。死んで、あんた達が泣いてて、立派な葬式もやってくれて、4人の孫の弔辞にも感動したし、美香の子供の蓮くんも見れたしね。満足して、あの世に行こうとしたら、いきなり人が現れて、なんか暖かい部屋に呼ばれてさ、ここにしばらくいてくださいって言われたんよ。」
祖母「それで、しばらく居たら、綺麗な白人の女の人がこらして、あなたは生まれ変わりたいか?それとも今の人生をやり直したいか?それとも故郷の星に帰りたいか?と聞かれたんよ。で、故郷の星ってそもそもなんだろって思ってね笑」
僕「それで、何て答えたと?」
祖母「それでね、隼人の顔が浮かんだとよ。生まれ変わったり、その故郷の星に帰ったら、もう会えなくなるしね。いつも、仏壇に手を合わせて「帰ってきてね」とずっと言ってくれてたから帰ろうと思って。でも、どうせなら若返りたいなって笑」
僕「そうね…それはよかった」
僕がまた泣き出すと
祖母「男のくせに泣いたらでけん笑」
といった祖母の目にも涙が溜まっていた。
落ち着いた僕を見て祖母はお茶を啜りながら、また語り出した。
祖母「それでね、若返って帰りたいって答えたら、明るい部屋に呼ばれてね。
眠くなって気づいたら、宇宙船のような空間の中で寝ていたんよ。で、その乗り物から降りるように言われたら、そこは横田基地だったんよ。それで、米軍の女性が「そこで待つように」って言わしたけど、怖くなってね。それで隠れてたら、ちょうど門が開いたったい。それで逃げてきた。」
その話を涙を浮かべながら聴いていた母が、
母「それで警察署に逃げ込んだって話?」
祖母「いや、近くの交番。そしたら、米軍の人が迎えにくるって話だったから慌てて、近くのコンビニに停車していた女性に「どこでもいいから乗せていってください」と頼んだら「渋谷ならいいですよ」と言われたつよ。で、渋谷まで乗せてもらうのはよかけどたい、お金がなかったけんどぎゃんしようもなくてね。仕方ないけん渋谷警察署までいって、隼人の携帯番号は覚えとったけん、電話したって話。」
僕「それでか。なるほどね。俺が東京におるて知らんかったろうによくわかったね。」
祖母「あの世からは見れるんよ。あんたの様子を。ずっと見とった。頑張ってたね。最初の一ヶ月は泣いてばかりいたけどね笑」
僕「そら、泣くわ笑」
また泣きそうになる僕の顔を見ながら祖母は
祖母「本当に帰って来れてよかった。」
母「もう遅いけん、明日また話そうか」
そう言うと、母は隠れるようにタオルケットを被り眠りについた。
嬉しかったんだと思う、抱きしめたかったんだと思う。
それを恥ずかしがっている母を見ながら、素直に抱きついたらいいのにと思ってしまった笑。
僕は、川の字で眠れる幸せを噛み締めていた。
翌朝
僕が起きると、母と祖母が重曹クエン酸水を作りながら談笑していた。
母「でも、若くなりすぎやろ?せめて60やろ?」
祖母「そうかね、でもまた嫁に行かなんけん」
母「もう嫁には行かんっていよったやろ?笑」
祖母「今度はじいさんと違って、優しい金持ちを捕まえんといかんけん笑」
母「またいいよる笑」
2人が冗談を飛ばしている光景は本当に幸せだなと思った。
祖母「隼人、もう時間やろ、早くいかんと遅刻するばい」
僕「あ、もうこんな時間か。2人はどうすると?観光かなんかすると?」
母「そうね、どっか美味しいものでも食べに行くね?」
祖母「じゃあ、隼人の奢りで鰻でも食べに行くか。」
僕「わかった。今日は特別に鰻を奮発するよ。昼に連絡するけん。浅草でも楽しんでくるたい。」
祖母「わかった。じゃあ行ってらっしゃい。気をつけて」
母「忘れもんはなかかい?気をつけて行かなんよ」
アパートの鍵を閉め、駅に向かって走る僕をじっとつけている人がいた。
怖くなり全速力で駅に入ると、その人は突然姿を消した。
なんだったんだろう、ばあちゃんが言っていた米軍関係者なんだろうか。
よくわからないけど、跡を付けられないように行動しようと思い、母に電話をかけた。
僕「さっきつけられたんよ、米軍関係者かもしれんけん。気をつけてね」
母「わかった。あんたも人気が無いところは避けて行動せなんよ。気をつけてね」
僕「わかった。昼にまた電話するけん」
仕事中につい、ニヤけてしまう僕にウチの社員である中村が
中村「はやさん、なんか今日は良いことがあったんですか?」
僕「うーん、あったといえばあったね。わかる?」
中村「わかりますよ。顔がニヤけてて、聞いてアピールしてますもん笑」
僕「そうだね。人生で一番嬉しい出来事かな笑」
中村「え?結婚ですか?」
僕「まぁ、そのうち話すよ笑」
午前中の仕事が終わり昼前になった。
予約していた鰻屋へと急ぐ僕に母からLINEが届いた。
母「ばあちゃんと買い物をしていたら道に迷ってしまったんよ。迎えにきてくれん。今、LINEで場所を教えるけん。」
僕「わかった。すぐに行くよ。」
浅草行きに乗り込むと電車内から視線を感じた。
朝に僕を追いかけてきた人物だった。
混んでいた車両から混んでいない車両へと移る。
その人も僕を追いかけて、車両を移ってきた。
その人は、僕の横へ座るなり耳元で、
謎の人物(以下、謎)「下田隼人様ですね?」
僕「はい、そうですが。何か?」
謎「こういう者です」
名刺を渡された。
名刺にはこう書かれてあった。
(アメリカ合衆国宇宙軍 B・チャン・山田少佐)
謎(以下、山田)「おばあさまの件で、お話がありますので、次の駅で降りていただけますか?」
僕「わかりました。祖母と母には危害を加えないでください」
山田「もちろんです。下田様にもお祖母様にも危害を加えるつもりは全くございませんので、ご安心を!」
次の神田駅で降りた僕を待っていたのは黒塗りのアルファードだった。
山田「お乗りください。お祖母様とお母様も後でお連れしますので」
僕「わかりました。」
抵抗しても無駄だと分かったので、危害を加えないと確信した僕はアルファードへと乗り込んでいった。
山田「ここからは機密事項になりますので、アイマスクとヘッドフォンを装着していただきます。」
そう言うと、山田少佐は、僕にアイマスクとヘッドフォンを渡してきた。
僕「ここからどこへ向かうんですか?」
山田「正確な位置や場所をお教えするわけにはいきません。上から強く言われているもので」
しばらくすると、車はある敷地内に入っていった。
ヘッドフォンが外されると、山田少佐が話しかけてきた。
山田「到着いたしました。お祖母様もお母様も既に到着されてます」
僕「わかりました。」
山田「アイマスクを外してください。このような真似をして申し訳ございませんでした。」
僕「いえ、必要なことでしょうから。大丈夫ですよ」
山田「さぁ、こちらへどうぞ」
山田少佐が基地施設内へ僕を招きいれた。
地下の様だが、開放感があり、様々な米軍の方だろうか、
忙しなく動いているが、みな挨拶が徹底されている。
なぜか日本語で挨拶される笑
奥の部屋に通されると、そこには母と祖母が既に座っていた。
僕「あ、もうついとったとね?」
祖母「そう。いきなり米軍ですって名刺を渡されてね、それで黒塗りの車に横付けされて。怖かったー…」
母「アイマスクとヘッドホンまで付けられて、何をされるんだろうと思ったよ…。まぁ危害は加えないとは言われたけど…」
そこへドアをノックする音が。
ドアを開け、入ってきた人物は、美しい女性軍人だった。
女性「はじめまして、ケイリー・マッカーシーと申します。
このような手荒な真似をしてしまい申し訳ございません。」
その女性は物腰は柔らかいが強い口調でこう言った。
女性「さて、この様な対応せざるを得なかったのには理由がございます。
嘉子さん、あなたはここにいてくれと言われているにも関わらず、何故に逃げ出したのですか?」
祖母「いや、ちょっと怖くて…」
ケイリー「そうですか。まぁいいでしょう。おばあさまの事、これからお話をする内容は国家機密ですので、書類にサインをいただけますか?」
書類がテーブルの上に置かれ、目を通すとNDA(秘密保持契約書)とそこには書かれてあった。
一通り書類に目を通しサインをした。
ケイリー「ありがとうございます。おばあさまの事、驚かれたでしょう?」
僕「はい。とても信じられませんでした…」
母「とても驚きました。夢じゃないかと何度も…」
祖母「私自身が驚いているので、2人が驚くのも無理はないかと思います。」
ケイリー「そうでしょうね。でも、間違いなくおばあさまはご本人ですよ。少し長くなりますが…」
そう言うと、彼女はコーヒーを一口啜ると祖母の目をじっと見つめてこう言った。
ケイリー「今からお話をさせて頂く話はとても信じられないと思いますし、皆さんの人生を否定し自我が崩壊する可能性もありますが、よろしいでしょうか。」
僕「はい。覚悟はできています。」
母「私も息子と同じです」
祖母「はい。お願いします。」
ケイリー「そうですか。それでは話を3年前に戻す事にします。2020年から、新型ファルソウイルスが流行り出したのは覚えていらっしゃいますよね?」
僕「はい。今でもマスクを手放せない人がいますからね。」
母「それが母とどの様な関係が?」
ケイリー「このウイルスは公式には存在していません。全て嘘であり、今回のパンデミックはインフォデミック、全て情報による感染でした。」
僕「いや、僕は大統領選で気づいていました。この病気はないんだなと。」
母「私もです。米国と中国が戦争になり、大変なことになる。イェーシュア大統領が再選しなければ、とんでもないことになると思って情報収集を行っていました。」
祖母「私は何のことかさっぱり」
ケイリー「そうですか、おばあさま以外はご存知だと。それは話が早いですね。それではファルソウイルスの裏では何が起こっていたのかをお話しさせていただきます。ファルソウイルスは表ではパンデミック、しかし裏で行われていたのはファルソウイルスを利用しての軍事作戦だったのです。なぜ、我々のような宇宙軍が創設されたのか、必要に迫られたから創設されたのです。」
僕「行方不明のお子さん達を救出するのが目的ですよね」
「大統領選が茶番だと気づいてから、ネットやSNSで情報収集してました。」
ケイリー「そうですね。そこまで、ご存知なら話は早いです。安堂首相が春節の時期に中国人観光客を受け入れ、満員電車や企業の動きは止めないで、何故に小中学生の子供達の登校を止めたのか。我々が行なっていた事は攫われた子供達の救出だったからです。」
ケイリー「世界では戒厳令が施行できますが、現行法では日本は戒厳令を敷くことはできません。それで緊急事態宣言を上手く利用し、我々は関係者の逮捕と子供達の救出、そして子供達を誘拐し監禁していた地下基地の殲滅作戦を遂行していきました。それが俗に言うTプランと呼ばれているものです。」
ケイリー「私達の敵は影の政府と呼ばれているものです。ソンブラステートと呼んでいます。」
僕「あ、よく大統領が言ってましたね。ソンブラステートって。
大統領の後ろにいた方が頭を抱えていたような笑」
ケイリー「そのソンブラステートは全世界の全ての頂点にいる組織です。俗にいうRKBと呼ばれている組織ですね。」
僕「なるほど。そのRKBと子供達との関係は?」
ケイリー「そのRKBが行っている宗教が問題なのです。デーモン崇拝はご存知でしょうか?」
僕「聞いたことはありますが、具体的に何がおこわれているのかよくは知りません。」
ケイリー「この世のものとは思えない残虐非道な儀式です。彼等が崇拝しているデーモンを召喚する際に生贄が必要であり、その生贄が子供達なんです。彼等が子供を拉致する目的は大きく分けて2つあります。このデーモン崇拝儀式ともう一つ、子供の体から採取することができるある物質のことです。」
僕「あ、アドレナミンですね…」
ケイリー「よくご存知ですね。人は亡くなる前に亡くなる衝撃を和らげる物質が脳内に生成されます。それがアドレナミンなんです。」
祖母「私も苦しくて苦しくて、ダメだと思った瞬間に恍惚感を覚えましたが、あれがアドレナミンなんですね。」
ケイリー「ご経験者がいらっしゃるので説明が早いですね。ありがとうございます。このアドレナミンの搾取こそがRKBの目的なんです。このRKB搾取こそが、様々な大企業の裏稼業だったんです。」
ケイリー「日本でも有名な青十字病院による献血により、アドレナミンの大量採取、それらを販売していたのは八葉フィルムです。
そして販売が公式HPで行われていました。」
母「え!?あの八葉フィルムが販売していた?」
僕「知ってます。」
祖母「八葉フィルムって、あの!?」
ケイリー「驚かれるはずです。有名企業ほど、この俗にいう人身売買システムに絡んでいました。」
ケイリー「アドレナミンは芸能界、政財界、いわゆる上級国民のドラッグ、主に快楽を目的として作られていました。その最大の犠牲者が子供達なんです。その子供達を救出するのが、Tプランと呼ばれている計画なんです。」
僕「そこまでは、僕も調べているので分かるんですが、それと祖母と何の関係があるんですか?」
ケイリー「そうですね。でも、お母様とお祖母様はご存知ないはずですので、順を追ってご説明します。ネット上でも我々はTと名乗り、様々な情報をデジタルソルジャーと呼ばれている方々と連携しながら拡散していきました。最初は9ちゃんねると呼ばれるサイトに匿名投稿したのが最初になります。」
ケイリー「そこから様々な情報を拡散していきました。我々が本格的に動き出したのは前大統領と言われている現大統領が出馬してからです」
僕「やっぱり今でも彼が大統領なんですね」
ケイリー「そうですよ。あんなおじいちゃんが大統領な訳ないじゃないですか。そもそも彼は出馬前に亡くなっていますしね笑」
母「ゴムですもんね笑」
祖母「ゴム?ゴムってなんね?」
僕「ハリウッドとかさ、ゴムを被って本人になりすましたりする技術があるとよ。そのゴムを第三者が被ってその人物になりすましてるって話」
ケイリー「我々が現大統領とされる人物になりすまし、表では一般の方々のお目覚めの為に色々やっています」
僕「申し訳ないですけど、多少やりすぎな面はあるし、気づいてる側からすると、もういいよと思いたくなる面もありますよ。」
ケイリー「それは申し訳ないです…ただ気づいていない方s向けですので笑」
僕「ひとつ、疑問があるんですが…」
ケイリー「何ですか?」
僕「未だに、フォルソウイルスのワクチンをアライアンスは止めていないじゃないですか?なぜ止めないのでしょうか?わざとですか?」
ケイリー「私達は自由意志を尊重しています。打つ打たないは本人の自由であり、人生です。」
僕「いや、自由意志って、国に強制的に打てって言われて打ってる人がほとんどですよ。」
ケイリー「私達はベビーシッターではないんですよ。それに亡くなってもリカバリーの方法もあります。」
僕「リカバリー?」
ケイリー「そうです。そのリカバリーの根拠が目の前にいらっしゃるじゃないですか?」
僕「祖母のことですか?」
ケイリー「そうですよ。おばあさまの存在こそが根拠です」
ケイリー「おばあさまは、宇宙テクノロジーの一つであるフェニックスを使用することにより蘇生されました。」
僕「フェニックス?なんですか?それは?」
ケイリー「隼人さん、メドベッドはご存知ですか?」
僕「はい。大統領が2020年にツイートされているのを見て、それから祖母も治療できるかもしれないという思いでずっと介護してきましたからね。」
ケイリー「そうでしたか…私共も責任を感じています…」
僕「いえ、僕にも色々と不備がありましたから…」
ケイリー「隼人様のご家族、それから何よりおばあ様に辛い思いをさせてしまい本当に責任を感じています。できれば重症者の方々に早くメドベッドで治療を!と思い、この数年間は我々も死力を尽くして来ました。言い訳になりますが、あまりにも残党が多すぎて、現在も手を焼いている状況なんです。」
僕「そうだったんですが、一年かそこらという情報を鵜呑みにしていましたから、まだ時間がかかるんだろうなという認識でいました。」
ケイリー「ですが、ようやく沼掃除も完了するという段階にきましたので、対象者には蘇生後にNDA契約を結んでいただき、緊急放送後にご自宅へ帰っていただくという方針でフェニックスを使用しております。」
母「そのフェニックス?ですか、それって一体何なんですか?」
ケイリー「ご説明します。フェニックスとは文字通り不死鳥を意味していまして、死者蘇生テクノロジーとなっております。仕組みはメドベッドという寝たままで臓器や細胞を修復していく装置があるんですが、そちらでまず火葬されたご遺骨から肉体を生成し、ソンブラステートが輪廻転生システム用に使用していた魂を自在に操るテクノロジーがありまして、その生成された肉体へ魂を転送し蘇生させる事が可能になるテクノロジーがフェニックスという訳です。」
僕「今、さらっと言いましたけど、輪廻転生って?」
ケイリー「あ!?申し訳ございません。輪廻転生が実在することをご存知なかったですよね…」
僕「実在していたんですね、やっぱり」
ケイリー「そうなんです。闇側の仕組みなんですが、この星が俗にいう刑務所であるという理由もここにあるんです。」
母「地球って刑務所だったんですか?」
ケイリー「そうなんですよ。地球の別名は宇宙刑務所。地球由来の魂は一つも存在せず、どの魂も故郷の星の犯罪者として、地球へとやって来ている訳です。」
僕「犯罪者…何をしたんだろう俺」
ケイリー「逮捕理由は様々です。政治犯、性犯罪者、芸術家などのその星の支配者にとって気に入らない人も含めてです。」
僕「僕は何をしたんでしょうか?」
ケイリー「私にはわかりませんが、もうじき隼人様ご自身でわかる時が来ます。魂の記憶が全て戻る時が近くやってきます」
僕「EVSですね?」
ケイリー「そうです。エマージェンシービデオシステムです。俗にいう緊急放送システムです。この放送はこれまでの闇側の悪事を暴露する意味もあるんですが、一番は皆さん自身の過去世の記憶を戻すことに意味があるんです。これが本当の意味での人類解放に繋がるからです」
僕「その宇宙刑務所に僕らは延々と囚われていたって話なんですか?」
ケイリー「そうです。簡単に説明しますが、人が亡くなると亡くなった体から魂が出てきます。その魂を検知し、捕獲するシステムが存在します。地球には天蓋と呼ばれるものがあり、俗名プラズマバリアと呼ばれているものです。このプラズマバリアはエーテル体(魂)を故郷の星に返さないための刑務所でいう有刺鉄線みたいなものです。」
僕「なるほど。そんなシステムがあったんですね。どこにあるんですか?」
ケイリー「魂はピラミッドで監視されています。ピラミッドはちなみにごく身近に存在していますよ。」
僕「え!?ピラミッド?」
母「わかった!山じゃないですか?」
ケイリー「そうです。よくお分かりになりましたね。山、なんですよ。ちなみに世界最大のピラミッドは富士山です。」
僕「富士山…そうなんですね」
祖母「富士山がピラミッドね…」
ケイリー「山にあるセンサーで肉体から出てしまった魂を検知し、捕獲。アガルタという地下世界に運び、捕獲した魂を40億Vという高電流で今世の記憶を全て消去してしまい、高度な催眠をかけて転生させるということを繰り返していたのが闇側の輪廻転生システムとなっています。」
僕「40億V?想像できないですね。アガルタ…というより頭が追いつかない…」
ケイリー「アガルタとは神話にも描かれていますが、地下世界です。そこでは地上の数千年先のテクノロジーが使用されており、人工太陽もあります。入り口はちなみに南極です。日本でも有名な漫画やアニメで何度も映画化されていますよ。」
僕「情報量が多すぎて理解できない…」
ケイリー「ちょっと休憩しましょうか。」
そう言うと、ケイリーは椅子から立ち上がり部屋を出て行った。
祖母「なんがなんかいっちょん分からん。あんた達はわかったとね?」
僕「なんとなくね。まぁ、色々調べてはおったけど、死者蘇生テクノロジーまであるとは思えんかった。」
母「そうね。隼人から聞かされてはおったけど、メドベッドも最初は信じられんかったけんね。」
僕「ちょっと外の空気を吸ってくる…」
僕はそう言うと外の空気を吸いに建物の外へと出かけた。
すると、大学生くらいの男性から声をかけられた。
男性「はや君、はや君だろ?」
僕「え!?どちら様ですか?」
祖父「じいちゃんたい!分からんとね?大人になったね!見違えたばい!」
僕「じいちゃんね、分からんかった笑。フェニックスで蘇ったとね?」
祖父「そうたい。なんかわからんばってん、白人の女の人から、ご家族がお待ちですから来てくださいって言われたとよ笑」
僕「そうね。ならはよ!ばあちゃんもお母さんも中におるよ!」
僕は無邪気に笑うと、祖父を祖母達が待つ部屋へと案内した。
部屋の中に入ると、2人が談笑していた。
母「わかったね?」
祖母「うーん、はや君に色々と聞かされてはおったばってん。まだイマイチね。」
母「そうよね、私も分からんもん笑」
2人の会話が止まり、こちらを見てきた。
母「隼人、どちら様?」
僕「うん。誰だと思う?」
祖父が名乗り出る前に静止した。
祖母「もしかして…じいさんだろ?」
祖父「なんでわかったつや?ん?もしかしてばあさんね?」
僕「そうよ。2人とも笑」
祖母の目から涙が溢れ出ていた。25年ぶりの再会である。
祖母「いやー、ほんなこつじいさんね?」
祖父「お前は若返ったなぁ、本当に笑」
僕「いや、2人とも若いよ。俺よりも若いしね笑」
つづく。